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真菰竹(まこもたけ)

 上の器は祥瑞(しょんずい)とよばれるものです。下は、古染付けの写し。両方とも中国の明時代の焼物がモデルですが、一説には日本からの注文でできたものといわれている、日本情緒溢れる器です。今回は、やはり中国原産の菰竹を盛りました。上はたっぷりお惣菜を、下はちょっとした珍味を少し盛るのにいかがでしょうか?(オットセイ)

 古代の人々が、敬っていた植物はいろいろあります。木ではタブの木、草ではハマユウなどなど。もちろん稲や桑は生活を支えるものとして大切にされていました。自然の恵みを当然のことのように、おろそかには扱わなかったんですね。そういう植物の中に、真菰もあります。ごらんのようにみずみずしく太い茎も美味しく、黒いお米のような実もなかなかの味です。おそらく救荒作物として昔はかなりたべられていたのではないでしょうか。万葉集にも歌があり、「真菰刈る」は枕言葉にもなっていますね。一説によると「かつみの花」も真菰といわれます。万葉集の「をみなへし咲く沢に生ふる花勝見かつても知らぬ恋もするかも」、いかにも水辺の秋風に吹かれるような心もちがしますね。(おるか)

恋歌や真菰の池に映りたく   おるか

 真菰竹(イネ科)はちょっとした珍味。同じイネ科の筍をうんと淡くしたような風味で、ずっと柔らかく、しかも、しゃきしゃきした歯ざわりがあります。上は、椎茸と帆立貝とともにさっと炒め、祥瑞花鳥文七寸皿に。下は、さっと茹でて芥子マヨネーズ合え、茄子形向付に。(オットセイ)

2003・10・6

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