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焙じ茶  唐子遊文汲み出し茶碗 朱摺茶托 朱塗り小皿 (佐竹康宏作)

 秋晴れの休日を俳句ノートを片手に外で過ごした後、まだ十分に日の高いうちに帰ってミミズののたくったようなノートの文字を見て途方に暮れているうちに、おいしいお茶を淹れていただく。ほうっと暖かさが胸に降りてゆく。

 甘いものは血糖値を上げて脳の働きを活発にするのでと言いつつ、甘く小さくほっこりしたお菓子もいただく。これもおいしい。

 その朝、初めて観た北国の日照雨。雨が降っているのに、その雨を山から顔を出したばかりの太陽が照らしていてきらきらきらきらと光りつつ目の前の木々や川を隔てた向こうの山の緑に降り注いでいたのです。そんなことも思い出す。

 深呼吸。そして小さな句会を開く。とてもたのしい。

 夜、東京に戻って、おみやげにいただいた加賀棒茶を自分で淹れていただく。うまい。日照雨を辞書で引いてみる。日照雨の語源は「戯へる」で、「そよ風がやさしく吹く」「馴れてたわむれる。あまえる」「動物がじゃれる」という意味があるそうな。なんだか加賀の二日間は戯えの二日間であったなと思い、またおいしいお茶を飲みました。(とびお)

抜け出でて唐子遊べり星月夜   とびお

2003・9・29


◆ 「うつわ歳時記」の掲示板、「水族館」でお馴染みの、とびおさんが加賀にいらっしゃいましたので、今週の表紙を担当お願いしました。お菓子は、金沢の和菓子屋の洋風な一品で、「水族館句会」の、ひみこさんから頂きました。お茶は、加賀棒茶です。(おるか、オットセイ)

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