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酢橘 ちらし寿司  蛇の目文六寸皿  ぼたん付き片身替り長四方四足小付

 秋の楽しみの一つは、酢橘。毎年、徳島の(陶芸の)知り合いが送ってくれます。ちらし寿司につかいました。香りが最高です。具は、筍、きのこ、揚げ、絹さや、人参、新生姜の甘酢漬け。筍は真竹の筍の塩漬けを戻したもので、自分で採って来て作っておいたもの。(オットセイ)

 家にあるものだけの山菜散らし寿司ですが、酢橘の新鮮な香りが美味しい。簡単に作れてそのうえなんとなくお祭気分です。柑橘類のさわやかな香りがいやがうえにも食欲を刺激してくれます。酢橘もカボス柚子もそれぞれの個性がありますが。酢橘はいちばん癖がないような気がします。

 柑橘は花の香りもすばらしいですね。ときじくのかくのこみの橘が不老不死を約束してくれるのもこの香りあってのことでしょう。万葉集にも「橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の樹」とうたわれています。古今集の「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」もわすれられません。

 庭に古い柚子の木があって毎年黄金色の実をたくさんつけてくれます。殺虫剤などなにもしていませんから多少見てくれは悪くても安心です。枝から落ちて傷ついた柚子のみ一個が家中を香りで充たしてくれます。

葉隠れの柚子や金星軒にあり   おるか

2003・9・22

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