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レモン  烏の豌豆唐草カップ

 レモンは秋の季語なんですね。初夏のころ、なんともいえずいい香りの白い花をつけた柑橘の植物、柚子も橙も、みな実り始めています。つやつやした葉陰に黄金の実の輝くのは美しい。まさに非時香菓(ときじくのかくのこのみ)。

 他の果実の崩れやすさに比べると、檸檬の硬さは印象的です。自分の中に閉じこもって、充実して、瑕瑾のないもののよう。そしてその香りのすずしさ。田道間守(たじまもり )が常世から持ち帰ったという不老不死の木の実が柑橘系だったわけが良くわかります。秋の日の、午後の紅茶にみずみずしい檸檬を切って、そんな、よしなしごとを思います。うーん、ひたぶるに うら悲し。

 カップとお皿の唐草は道の辺の、雑草、カラスノエンドウとか、をデザインしてみました。日本の野原なら何処にでもある草の花です。檸檬のはいっているのは手捻りのバスケット。

二枚目のふけはじめけり檸檬噛み   おるか

2002・9・30

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