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焼き鯖  染付大皿

   皿の藍うるむがごとし鯖の旬  おるか

 焼き鯖とは鯖の丸焼きのことで、これが越前独特のものと知ったのは他の地方での生活をした後のこと。焼き鯖の特徴はというと、竹串をさし下からの炭火での丸焼き、塩焼きではなく素焼きであること。切り身の塩焼きはたいていの地方であります。もう一つの特徴は、越前での魚屋の在り様。魚を調理します。写真下左はその様子です。僕の子供の頃は、このような魚屋が町内に一つはあったものですが、現在はかぞえるほど。

 食べ方は生姜醤油が一般的です。買ってきた焼き鯖をほぐして小皿に分けていただきます。宴会やちょっとした集まりで写真のような大皿に四五匹盛って出せば豪快そのものですね。味は見ての想像の通り豪快で奥深い。焼きたての油がじゅうじゅうのところをつつくもよし。一日置いたものも味が落ち着いて、これもまたよし。どうしてもどちらかを選べといわれれば後者をとりたい。

 今回二軒の魚屋で取材したなかで印象に残ったのは、こういう焼き方に誇りをもっていらっるということ。僕の意見ですが、下火で焼くか上下から焼くか、丸焼きか切り身を焼くのかの違いは別の料理法で、「焼き鯖」と「焼いた鯖」の違いがあると思います。 (オットセイ)

   しただみて武生の古府に鯖焼く火  おるか

    

◎…画像をクリックして大きな写真をどうぞ

 最近人気の焼き鯖寿司について。僕個人の感覚では「なぜ?」という感じ。美味しいかもしれませんが、写真中のように焼いたものならばこのまま食べる以外を考える必要をを全く感じません。焼き鯖寿司の場合、三枚におろしてから焼くそうです。写真のように焼きあがった鯖を押し寿司の上に生えるように綺麗に三枚にはできませんね。しかし・・・さて、これでは「焼き鯖」ならぬ「焼いた鯖」ということにならないかな。(オットセイ)

2007年05月07日

取材後記 : 涎が出そうな焼き色でしょう。取材先(写真の魚屋)に大皿(直径40cm)を持っていって、店の写真の右側にある売り台の上で撮影しました。PCで写りを確認することが出来ず、大皿の上の鯖は迫力に欠けちょっと残念。三匹くらい盛って撮りたかったのですが・・・焼きあがったものが一匹しかなかった。火の上に、焼きあがったばかりのとこれからのものが並んでいたのは、幸運でした。(オットセイ)

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