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オクラ  水遊び小付け

 オクラと夏の香味野菜のとろろです。新生姜の針千本、茗荷、青紫蘇、胡瓜、そしてオクラ。冷やしておきます。熱いご飯にかけてどうぞ。他には、若布、若布のメカブ、うす切りしてアクを抜いて塩でもんだ茄子、苦瓜、など、いろいろ混ぜるものを変えるのも楽しいです。今回は塩だけで味付けしましたが、醤油を一滴足してもいいし、出汁を少々加えてもいいでしょう。夏ばても吹き飛ぶ美味しさです。器は、夏には毎日使いたい「水遊び」です。

 オクラはアフリカから来た野菜。日本にはアメリカ経由で入ってきたのかもしれません。ニュー・オリンズのアフリカ系の人たちがジャンバラヤやガンボなどに使うのでしょうか。エルヴィスもきっと食べたに違いない。キング・クリオールという映画はニュー・オリンズが舞台でした。

 そんなオクラなのに、何かしら日本風なのです。その味と共にその名前から僕は山上憶良をつい連想していとおかし、であります。そんな時代からあった野菜の雰囲気あると思いませんか。(オットセイ)

   しろがねの珠抱くおくらなにせむに   おるか

 ご存知山上憶良「銀(しろがね)も金(こがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」のパクリであります。この手で行くといくらでもできますね。

   うつし世の鳥にしあらねばおくらかな   

      (世の中は憂しと恥しと思へども飛びたちかねつ鳥にしあらねば)

   おくららの息嘯凝りたる山霧か

      (大野山霧たちわたる我が思ふ息嘯(おきそ)の風に霧たちわたる)

   おくら出て走り去りけり秋の暮

      (術もなく苦しくあれば井で走り去ななと思へど児等に障りぬ)

止まらなくなりそうなのでこの辺で。(おるか)

2006年7月17日

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