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枇杷 染付橋上人物文木の葉形平鉢

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 枇杷はバラ科、中国原産なのに学名にジャポニカとついている数奇な運命の植物です。暖かい所が好きらしく、ここ北陸では、いままであまり実がなっているのは見かけませんでした。ところが昨今の温暖化のせいでしょうか、今年はこんなに豊作です。ベランダから身を乗り出して、もいでは食べしています。小鳥達も見慣れていないせいか、あまり啄ばみにきません。さくらんぼなどはこちらが食べる前にみんな小鳥に食べられてしまったものでしたが。

 御覧の通り、粒もそろわず、まだ青っぽかったりさまざまですが、それぞれにおいしい。また、枇杷の葉は大薬王樹と言われて古来から薬効があるとされています。葉にごく微量の青酸を含むと聞いたことがあります。毒と薬は地続きなんですね。写真の葉はそのままお風呂にいれて枇杷葉湯にしました。

 大きな葉っぱの形の器は何を盛り込んでも自然に受け止めてくれます。木の葉はきっと人間の最初の器の一つだったのでしょう。染付の藍と枇杷の実の明るい黄色はよく似合う気がします。

 市販のものでは長崎の茂木枇杷などが有名です。九州柳川出身の北原白秋の童謡には枇杷が色々出てきます。あの「ゆりかごのうた」でも「ゆーりかごーの上に枇杷の実ーがゆーれるよー」と歌われていますね。きっと懐かしい果物だったのでしょう。(おるか)

   わらべうた一人歌ひて枇杷甘し   おるか

2005年6月20日

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