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じゅんさい 染付ゆらぎ徳利 染付盃

 暑い夏、よく冷やした器にじゅんさいはいかがでしょう。これまたよく冷やした日本酒で。

 じゅんさいは、その風味やプルプル、コリコリ感をそこなはぬようさっと熱湯に通すだけ。濃い味より薄い味。薬味も無いほうがいい。ごく薄い出汁と卵豆腐をあわせました。染付の徳利と盃。拭き漆の皿と盃台、どれも涼しげです。(オットセイ)

 世界中に分布しているのに、食用にするのは中国と日本だけだそうですね。美味しいのにね。

 万葉集にも歌われて古来から親しまれた食材のようです。長屋王の木簡にも鮎の塩漬けやらじゅんさいやら届けたとあります。高級食材だったのでしょうか。いまでこそじゅんさいの採れる水のきれいな沼は少なくなってしまったけれど万葉の昔なら、何処の池でもあったのじゃないかしらとおもいますけどね。初夏の青い池に袖を濡らして小舟にじゅんさいを取る万葉の乙女達!あぁ、きれいだったろうな。

 真間の手児奈の身を投げたのもじゅんさい沼という説があるらしい。ぷるぷる揺れやまないところから乙女心の喩えにされるじゅんさい。オフェリアも手児奈も折口信夫のいう水の乙女・ミズハノメの末裔なのかもしれませんね。

 卵豆腐とじゅんさいよくあいます。わたしは山葵を添えたほうが好きなんですけどね。

   じゅんさいの匙曇らする日照雨かな     おるか

2004年6月7日

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