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加賀簾麩   拭漆平皿 佐竹康宏作  草花文陰刻輪花小皿

  

 加賀麩の中でも独特なのが「簾麩」。加賀料理じぶ煮にはなくてはならないものです。米粉が入っているので食感は普通の焼麩や生麩とはだいぶ違います。しっとりしていますね。向こう側が乾燥、焼麩ではありません。手前が生。

 見てください、涼しそうな形、質感を。じぶ煮は冬のものですが夏にも工夫していただきたいものです。フライパンに薄くごま油を塗り、水気を絞った簾麩を表面がパリッとなるように焼く。醤油と味醂をさっとからませて出来上がり。山葵をちょっとのせていただくのもおつです。 (オットセイ)  

太宰忌を過ぎて簾の揺れること    おるか

 簾は万葉の時代から詩歌にも歌われ、日本人の暮らしに身近なものでした。でも、最近はあまり見ませんね。
 煎茶席では夏は火を遠ざけて、簾越しにお茶を立てる点前があります。簾越しの人の立居は妙に儚げで、涼感の演出の美的な洗練はこの、すだれの透け感に極まれりという感じさえします。そんな簾がだんだん消えていってしまうのは残念ですね。

 写真の、照り焼きののっているのは細かな彫りと縁の輪花で白い芙蓉の花のような小さなお皿です。見込みにささやかな草の花を描いています。、磁器の白さも涼しいものです。(おるか)

2002・6・17

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