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柏餅 烏龍茶   赤絵唐子遊び汲出茶碗  拭き漆皿 朱摺茶托(佐竹康宏作)

 麗しの五月。水を張った田んぼの上に鯉幟が翻って、矢車の音がカラカラと降ってきます。夜になれば蛙の声も聞こえます。私の一番好きな月。木々の緑も一日ごとに深まって、毎朝、なにか新しい花が咲きだしている。
  家の裏の小流れで切った菖蒲の葉、まだそれほど長くはないけれど、本当にすっきりした姿と香です。こんなに多様な緑があるって素晴らしい。そして葉っぱに御餅を包むってなんて良い考え、なんて美味しそうなんでしょう。
 
 写真のお茶は烏龍茶といっても緑茶に近い、醗酵のすすんでいないタイプです。ほのかに花の香りがします。中国茶は奥が深いですね。村田喜代子の「雲南の妻」では、少数民族に伝わる貴重な茶葉の話などお茶にかんする薀蓄がおもしろかった。先日読んだ刑事もののミステリーでも河南省の貴重な白毫の緑茶が犯人の決め手としてつかわれていました。お煎茶の茶事に闘茶といって茶種を当てる趣向がありますが、中国茶で闘茶したら、おそろしく難しいことでしょう。
 五月五日は端午の節句、子供の日。唐子が元気に遊ぶ茶碗を柏の葉の緑に添えてみました。

柏餅役の行者も虫喰いに   おるか

2003・5・5

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