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加賀醤油  染付垣通し葉形三足豆皿 吸坂釉木の葉浮彫小皿

 端からうろおぼえで申し訳ないが、たしか西脇順三郎の詩の中に「悲愴なお醤油の香」という一節があった。この悲愴感は、総じて日本文化はあまりに固有で普遍性は持ち得ないのではないかという時代の感性が窺えるだろう。しかし、今日、お醤油は世界中で親しまれている。他の日本文化、例えば俳句も各国に俳句協会のある盛況ぶりらしい。不思議なものだ。

 加賀醤油は仄かに甘く旨味がある。それと比べると日本中のスーパーにある大手のメーカーのお醤油は、非常にニュートラルなさっぱり味に感じられる。そのわかりやすさ癖のなさが量産向きで世界で受け入れられやすいだろう。だが、その方向だけではこれまでの大量生産大量消費のグローバリゼイションの波に乗るだけだ。しかし、このごろスロー・フードなどという言葉がよく聞かれるようになった。ヴェクトルを変えて、固有の風土性に根ざした味が再び脚光を浴びるのは嬉しい。地方の小さなお醤油屋さんの健闘を慶びたい。固有性を深めてゆけば真の普遍性に 出会えるのではないか。俳句もそうありたいものだ。(おるか)

   お醤油に魚脂のうすうす木の芽風   おるか

 左の画像をクリックして大きな写真(17インチモニターの場合、ほぼ実物大)をどうぞ。醤油は加賀の井村醤油醸造の濃い口しょうゆの「松」です。「加賀百万石の食文化とともに発展してきた醤油で、程良い甘さとまろやかさを持ち合わせています」(井村さんの商品しおりより)

2006年3月6日


醤油風味の鳥唐揚げ 染付チェック文大皿

少年や梅の枝折りて行方指す (しょうゆ隠し味折込)  おるか

 醤油で下味をつけた鳥肉の唐揚げです。骨付きの三種類は加賀醤油と、それぞれターメリック、胡椒、バプリカの香辛料で下味をつけてから小麦粉をつけて。左下のモモ肉はタカノツメ、ニンニク、胡椒そして醤油で下味を付け水で解いた小麦粉の衣で揚げました。それぞれの食感と風味が楽しめます。

 醤油のある成分(アミノ酸でしたっけ)が、焦げることによって化学変化を起し別の旨味に変わると聞いたことがありますが、それは誰もが経験として知っていること。焼き餅や焼き煎餅のおいしさですね。この唐揚げも色といい香といい美味しそうでしょう?大きい写真はです。

 染付チェック文大皿は直径27,5cmで普段使いの大皿として出番は多いと思います。写真で(上)ではフリルレタスをたっぷり敷いて肉もさらりと盛っているし、骨付きなのでかさばるということもあるので少な目の二人分という感じです。普通なら三から四人分くらいは盛れそうです。皿の大きい写真です。(オットセイ)

2006年3月13日

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