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鱒寿司 染付芙蓉手大皿

 人気の富山の鱒寿司。芙蓉手の大皿(径36cm)に盛ったというよりただ置いただけですね。このまま皿の上で切って小皿にとってどうぞ。染付の器は傷つきません。(注意:色絵の器はナイフや包丁を当てないで下さい)

 押し寿司というのは以前と比べてずいぶん変わった気がします。東で握り寿司、西で押し寿司といわれたころはもっとぎゅっと強く押してあったような。全国的に握り寿司が人気の今、押し寿司も軽くなってきたのではないでしょうか。ぼく個人としては嬉しい変化です。

 この鱒は「桜鱒」です。桜鱒は山女が海にいって川に戻ってきたもの。鮭鱒類の大方が秋に産卵するのと違い桜の季節にします。癖がなく適度な脂肪分で日本では鮭鱒類の中で最も美味しいとされてきました。ただし、いまでは紅鱒が人気で値段も一番高いですね。紅鱒は鮭鱒類の中で最も肉が赤く脂肪が多い。押し寿司の押し具合、脂肪量、などの日本人の嗜好の変化です。(オットセイ)

   虹の根の辺りへ遡る鱒ならむ   おるか

 家の前の川に桜鱒が溯上したのを一度だけみました。溯上する流れを見つけたとき鱒はどんな気持ちでしょう。安堵でしょうか、不安でしょうか。生まれた所へ戻る回遊の生涯。完結ということを授かった者たちの姿は悲しいようにも見える。私の帰る水源はまだ、わからないなー。桜鱒は産卵の翌日、川砂に打ち上げられて死んでいました。(おるか)

2005年3月28日

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