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小鯛笹漬け 染付鉢

 染付の花鳥のなかに淡い紅白の手毬寿司。お雛様用に、小さめにつくりました。寒さがなかなか去りませんが日脚も伸びて、花屋さんには桃の花の明るい色があふれています。

 小さな貝雛や土雛を薄紙から出して飾りました。毛氈の緋や、飾りのきらめきが春の待ち遠しさをかきたてますね。

 子供のころの鼻の胡粉のかけたお雛様はどうしたんだろう。ガラスの箱の中のセットになってた小さなお雛様たちはまだどこかにあるのかしら。これから雛を買うことあるのだろうか。お雛様は人の形をしているから一層思い出が籠もります。昨年の地震で、壊れたお雛様も多いでしょうね。去年までのお雛様がいないと、どんなに淋しいことでしょう。でも、きっとそれは災厄を引き受けてくださったのかもしれません。

 それにしても、小さな人がたに穢れを移して川に流してやるなんて、かわいそうなことを考え付くものだなぁ。

 お雛様が立派になって、代々受け継がれるようになったら、今度は人のほうが、お雛様から見れば流れてゆくものに見えるのでしょうね。(おるか)

   雛飾るるるる流るるもの我も   おるか

 若狭の小鯛の笹漬けで手毬寿司を作りました。半分は梅酢でピンクに染めましたが写真から分かるでしょうか?小鯛に一塩し、杉の小さな桶に笹と共に押して漬けたもので、杉と笹の香りがついた、淡くも味わい深い小鯛の笹漬け。ぼくの好物です。(オットセイ)

2005年2月28日

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