旬の味と器 春 1 に戻る

新じゃが芋 パセリ 青呉須手菓子鉢

 新緑の季節、ベランダのパセリも元気に真緑の新葉を伸ばしています。一年中売られているものですが、やはり旬は今。バターをたっぷり溶かした茹でたて新じゃがに添えてみました。マヨネーズでサラダはもちろんオニオンチーズで食べても美味しい。素朴な風味は取れたてなのがポイントですね。北海道旅行のときたべた新鮮なバターとじゃが芋の味は忘れられません。

 南米からヨーロッパそして日本と寒冷地の多くの人々に愛されてきたじゃが芋。花はなかなか綺麗です。パセリは地中海が原産だそうですが、寒さにもけっこう強い。家ではこの冬、雪の綿帽子を被って越冬しました。ザク切りにして緑の香りを楽しみます。

 うつわは径16センチほどの小ぶりの菓子蜂です。案外なんにでも使いまわせて便利な大きさです。肩のこらない線描の上を薄青の絵の具一色で塗りこめたこのような形式を青呉須手と言い習わしています。呉須赤絵同様、茶人の好んだものですが大陸の空のような薄青一色の清楚さと作ゆきの磊落さが同居して、味わいのある焼き物です。

 写真の図柄は私の好きな中国の詩人蘇軾の、西湖の景色を佳人西子の風情にたとえた詩「湖上にうたげす。晴れのち雨」に添えたもの。特別な、粗い素地を使っています。高台の中は半がけといって、わざと半分くらい釉薬をかけ残しています。どちらも砕けた気分をねらってのことですが、あまりこれみよがしになるとうるさいですし、どのくらいで抑えるかが、思案のしどころです。後はどう使ってもらうかですね。茶道具を日常に使いまわすのも、ちょっと豪奢な気分で楽しい。

   俎板にパセリさみどり西湖に雲      おるか

2004年5月10日

旬の味と器 春 1 に戻る

sp-0304