旬の味と器 春 1 に戻る

松露  色絵染付色紙文  蓋付き小鉢

 松露は茶碗蒸がおいしい。卵の柔らかさと松露の歯さわり、とろりとしていながらしゃきしゃきと、不思議な感じです。香りはとてもよい、春の茸。海岸の松林のり、砂の中に埋っているので捜すのは難しい茸です。ごくわずかに砂の表面が膨れて亀裂があるような気配で捜します。地上からでも、はっきり分るようでは、たいてい成熟し過ぎていて食用になりません。左が松露、じゃが芋ではありません。(オットセイ)

波音や戦火を遠く松露掻く   おるか

 春に出るきのこもいろいろあります。、椎茸のはるごもかわいいしアミガサタケなどはとてもおいしいものですが、なんといっても松露が大好き。オムレツもいいけど、茶碗蒸の蓋をとった時の香りはなんともいえません。海岸の松林の中で、波音の風に乗って遠く近く響くのを聞きながら茸を探していると、古代の人のよう、楽しいような心細いような気分です。松葉や苔の中で、きのこは菌林といって輪をつくったり点々と一列になったり、家族のように集まっていたりします。砂の中で身を寄せ合って眠っている小さな松露を掘り起こすのはとても可哀想なことをしているような気がします。(おるか)

2003・4・7

旬の味と器 春 1 に戻る

sp-0208