俳句と、やきものと、季節の話題のサイトです。花や鳥のこと、染付、色絵、赤絵の四季折々の器のことなど、ごゆっくりどうぞ。「うつわ歳時記」は、2001年4月1日に開始しました。「今月の表紙」は毎月第一月曜日に、更新します。 石川県加賀市 橋本薫(おるか)

うつわ歳時記

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菊の香や


そろそろ重陽,九という陽の数字が重なるその日は菊の節句ともいわれていますので、、 菊花の文様の器を並べてみました。


[ 礼記] に「秋の季節は黄色の菊の花がある」、と書かれています。。紀元前から中国では菊が愛されていたらしい。古代には植物は、薬効とか有用性が記されることが多いので、花の美をめでるのはもっと後のことかもしれません。 菊が日本に渡来したのは奈良時代と言われています。奈良の古寺の丸瓦の 中央の丸から放射状に花弁が出ている模様を、てっきり菊の花だと思っていたら、蓮を真上から見たところなんですってね。 


蓮と菊の文様の紛らわしさについて、若桑みどり氏がとても興味深い考察をしています。  それによると、古代ギリシャ・ローマ、の調和的宇宙のシンボルである八つの放射状を持つ円環を始め、十六世紀の錬金術の宇宙図などに見られる丸い中心から放射状に広がる文様まで、それぞれの文化の持つ宇宙観と照応することが、円花文様の普遍的な伝搬力の真因ではないか。とかいています。まとめてしまうとやたら理屈っぽく感じられるかもしれませんが、 文化人類学の創始者レヴィ・ストロースが。ある南米原住民の複雑な全身タトゥーの文様が、交叉従妹婚によってくみ上げられた彼らの世界観に照応することに気づいたその時から、文様は、思考に適することが、わかったのでした。



 さて、写真手前のキノコと牛蒡御飯の飯碗は、内側に菊、外側は菊唐草に唐子。唐子は瓢箪をもっています。つまり菊慈童です。 御能にもあるように、その昔中国の周の穆王に使えた美少年が罪を得て流された山奥の、、菊の露を飲んで不老不死になったという物語。御飯もおいしく見えるのでは?


 その向こう。菊の葉型の向う付けにばい貝の御作り、呉須赤絵風の片口は湯葉としめじの炊き合わせ左の色絵色紙模様の中皿の淡い色合いの菊の花模様も食材の色を引き立てるような気がします。


中央の色絵のそば猪口に吸物を入れるつもりが忘れました。今回は紅葉を見せていますが裏側には桜が描いてある万花千葉文様です。 朴の枯葉の上にに胡麻団子。染付染付大皿は、秋の七草文様です。 果物、加賀梨と加賀キウイの山盛りに入っているのは呉須赤絵手大鉢。 秋の日の静かなランチ。何気ない日常のありがたさが身に染む昨今です。


  木漏れ日の床に音なき菊日和   おるか

台風の前の秋の日の静けさ。


2022 9月5日


ブログはこちらです。 はてなブログ「やきもの日和」山里の日々の暮らしあれこれ。御笑覧ください。

連句は、おなじ、はてなブログの「かがなべて」に。十月の歌仙更新しました。「ほととぎす」の巻名残の表。

エッセーは『とちの木の実」に。「須田菁華と魯山人」について九谷焼美術館での展覧会の折りのエッセーをアップしました。紅葉狩り 那谷寺 御笑覧ください。

「やきもの日和」表紙、更新しました。 

折々のことを里山歳時記として書いています。  今月の俳画。

里山のあれこれ更新中です。

「かがなべて」に以前の歌仙の清書を載せています。『青梅雨の巻」アップしました。

 

エッセーのブログ『とちの木の実」三島広志句集「天職」感想アップしました。素晴らしい句集です。写真は私信を撮っちゃいました。私の普通の手紙ですので。


遠山桜治らぬ人に触れてきし  三島広志  

    星へ打つ草矢一閃ひと日終ふ  三島『とちの木の実」に載っております。

なぜか、菊は、食べたり焚いたりする句の多い私。せめて菊枕の句つくりたい。


   遠山に日は濃し菊を食ぶる音   おるか        

久しぶりに菊の葉の天ぷらたべたくなった。

2021年11月10日


展示会のお知らせ
3月29日から4月9日まで日本橋高島屋で四季の味、春の食器展をしております。お知らせが遅くなりましたが御ついでの時にでもご覧になっていただけたら嬉しく存じます

詳しいことは後ほどお知らせいたします。