第4章 楽して稼げるコンボ完成までの試行錯誤の過程

コンボ① ~改良前のコンボ~
コンボ② ~序盤の形の改良~
コンボ③ ~終盤の形の改良~
コンボ④ ~トドメにエリアルヒットを付ける~(その1)
コンボ⑤ ~トドメにエリアルヒットを付ける~(その2)
コンボ⑥ ~トドメにエリアルヒットを付ける~(その3)
コンボ⑦ ~トドメにコア&エリアルを同時に付ける~(その1)
コンボ⑧ ~トドメにコア&エリアルを同時に付ける~(その2)
コンボ⑨ ~トドメにコア&エリアルを同時に付ける~(その3)


次に、コンボ集で紹介している種々のコンボが、どのような思考過程を経て組み立てられていったのか、その試行錯誤の過程を書き連ねていくこととします。

コンボ集の項目で紹介している各々のコンボは、最初からいきなり掲載した通りの完成形で組み立てられたわけではなく、様々なステップを経て改良に改良を重ねた末に、ようやく完成したものなのです。
以下では、地下遺跡・業火の部屋における落とし穴を使用したコンボを例に、如何にして稼ぎと決め易さの両立を図ったコンボを改良していったのか、その過程を紹介していきます。

【コンボ①……改良前のコンボ】

筆者は影牢の発売年に以下のコンボを開発し、地下遺跡ではこのコンボを多用していました。今にして思うと拙いコンボですが、多くの敵をこのコンボだけで葬り去ることができる便利なコンボでした。
まずはこのコンボが完成するまでの思考過程とコンボの大まかな流れおよびその目的を解説し、その後でこのコンボの問題点の洗い出すことにしましょう。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

【完成に至るまでの思考過程】

最初に、大まかなビジョンとして、落とし穴に複数回落とすことを決めました。それを実現するためには、一度落とし穴に落とした後、如何にしてもう一度落とし穴に落とすかという点が重要であり、まずはその点に重点を置いて研究しました。
このコンボの流れを大まかに分割すると、以下の3つの「ミニコンボ」に分けられます。

❶×クエイクボム❷△ヨウガンカビン比較的安定的なコンボ序盤の形
❷△ヨウガンカビン❻△アブラカビン一旦足止めしてから落とし穴へと歩かせる形
❻△アブラカビン❿落とし穴1度❼落とし穴に落とした後、
更にもう1度トドメに❿落とし穴に落とすまでの形

まず始めに考案したのは、③のトドメの刺し方を含む「終了型ミニコンボ」、すなわち、

❻△アブラカビン❼落とし穴→❽×スプリングフロア→Ⓐ□パワーマグネット→❿落とし穴
という形です(現時点では❾は欠番)。まずはトドメの刺し方から考える。これが全ての基本です。

次に考案したのは、中盤の②、「中間型ミニコンボ」のうちの一部である、
「❹×コールドクロー→❺□アタックウォール→❻△アブラカビン
とした部分です。この部分は、❹×コールドクローで足止めし❺□アタックウォールで方向転換した後、❻△アブラカビンを被せて、次に「終了型ミニコンボ」に含まれる❼落とし穴まで歩かせることを目的としています。

その次に考案したのは、序盤の①、「開始型ミニコンボ」である、 「❶×クエイクボム❷△ヨウガンカビン」 の部分です。
この部分を導入することにより、コンボスタートでいきなり△カビン系を被せるよりも、先に❶×クエイクボムを挟み敵を静止させるため、続く❷△ヨウガンカビンのヒットが格段に楽になります。また、❷△ヨウガンカビンを被せる位置は部屋の出入口であるため、狙いが定めやすいという利点もあります。

そしてその次は、「開始型ミニコンボ」と、『「中間型ミニコンボ」の一部』とを合体させる為に、「中間型ミニコンボ」を、

❷△ヨウガンカビン→❹×コールドクロー→❺□アタックウォール→❻△アブラカビン
のように拡張します。(現時点では❸は欠番)
しかしながら、「❶×クエイクボム❷△ヨウガンカビン→❹×コールドクロー」とつなげようにも、実際には△ヨウガンカビンの移動が速すぎて、2マス先に設置した❹×コールドクローのチャージが間に合いません。
そこで、❷と❹の間に、緩衝材として時間稼ぎのできる□マグネット系トラップのうち、拘束時間の最も長い□パワーマグネットを、既に「終了型ミニコンボ」で用いているため、これを流用してこの間に「❸□パワーマグネット」として挿入します。(後で用いているⒶ□パワーマグネットは吸引はすれどヒットはさせないので、Ark重複のおそれはない)
なお、この❸は、よりArk倍率の高い□コールドアロー(Ark倍率1.2倍)には置き換えられません。進行方向と垂直にコールドアローを射出せねばならず、この場合「追尾効果」(第2章参照)の弊害を受け必ずと言っていいほどアローは外れるからです。

以上をまとめると、

「開始型ミニコンボ」: ❶×クエイクボム❷△ヨウガンカビン
「中間型ミニコンボ」: ❷△ヨウガンカビン→❸□パワーマグネット→❹×コールドクロー→❺□アタックウォール→❻△アブラカビン
「終了型ミニコンボ」: ❻△アブラカビン❼落とし穴→❽×スプリングフロア→Ⓐ□パワーマグネット→❿落とし穴
となります。ここまでで9ヒットは確定しているので、残るは1ヒット。ここで、確定した設置トラップ(△天井トラップ/□壁トラップ/×床トラップ)の種別は、△天井が2個、□壁が2個、×床が3個です。
従って、最後に挿入すべきなのは、Ark倍率の高い△天井トラップのうち最高の倍率を誇る△オオタライです。挿入できる余裕のある箇所は、「❽×スプリングフロア→Ⓐ□パワーマグネット→❿落とし穴」の間しかありません。
よって、「終了型ミニコンボ」には、間に❾△オオタライが挿入され、「終了型ミニコンボ」は、
❻△アブラカビン❼落とし穴→❽×スプリングフロア→Ⓐ□パワーマグネット→❾△オオタライ→❿落とし穴
で最終確定し、十連コンボの完成と相成ります。


【コンボ①の問題点】

しかしながら、このコンボ①は数多くの問題点を抱えています。その中でも特に深刻なのは、次の3点です。

最初の❶×クエイクボム→❷△ヨウガンカビンの形は、❶×クエイクボムの起動タイミングを誤ると
停止位置が❷△ヨウガンカビンの設置したマスから外れて失敗するため、不安定である
Ark倍率が1.0倍と低い❸□パワーマグネットを当てているため、累積Ark倍率の伸び悩みを招いている
最もArkが稼げるトドメの❿落とし穴において、テクニカルボーナスが1つも付かない

まず①について説明すると、❶×クエイクボムを起動するために×ボタンを押してから実際に地震が発動するまでには0.8秒ものタイムラグがあり、素早い敵が相手の場合にはそのタイムラグの間に1ブロック以上移動することから、この最初の部分の成功確率が決して高くはない、すなわち不安定であるということです。
また、②と③について共通して言えるのは、獲得Arkが少なくなる、ということです。具体的には、②についてはArk倍率が1.0倍しかない❸□パワーマグネットを用いている時点で累積Ark倍率を増加させる機会を1回分失っているのに等しく、また③についてはせっかくの最大の稼ぎのチャンスであるトドメの❿落とし穴でみすみす稼ぎを逃していると言えます。
さらに、上記で挙げた他にも、×床トラップの中でArk倍率が最大(1.7倍)である×カタストロフボムを使っていないことも、獲得Arkの伸び悩みを招いている原因の1つとして挙げられます。
実際、このコンボ①の最終累積Ark倍率は57.5倍で、トドメ単独の獲得Arkは最大でもせいぜい1万Ark弱です。これらの数値が決して高くない値であることは、この後読み進めていただければご理解いただけるかと思います。


【序盤の形の改良 ~より安定的な形へ~】

上記のような様々な問題を抱えているため、筆者はこのコンボ①をより安定的に、かつより稼げる形へと改良することを考えました。その手初めとして、まずは序盤の形の改良を図りました。

上のコンボ①では、コンボの開始位置を、敵が必ず通るマスである出入口に設定しました。しかし、敵が必ず通るマスは出入口だけではありません。右図の左端と右端にある幅1マスの階段も、敵が必ず通るマスです。
また、上のコンボ①では、❷△ヨウガンカビンを被せてから2マスしか歩かせていません。コンボの組み立てに余裕を持たせるためにも、最大移動距離である5.03ブロック(5マス)を歩かせきった方が何かと得策です。

そう考えて出た結論が、コンボの開始位置を、左上図(再録)における階段上の☆の位置に変更することでした。この☆の位置は、❹×コールドクローの設置位置からちょうど5マス離れた位置であり、△ヨウガンカビンで移動させる効果が切れる最終到達地点です。
また、❷△ヨウガンカビンを階段上で被せるのですから、第2章で紹介した、×カタストロフボムの地震効果が設置したマス(の中央)よりも高所には及ばない性質を利用してコンボの開始位置を正確に定める方法が使えます。
その方法をもう一度具体的に説明すると、右上図に示すように、❷△ヨウガンカビンを設置する側の階段とは反対側の階段であって❷△ヨウガンカビンを設置するマスと同じ高さのマスに❶×カタストロフボムを設置することで、図において青色で示した領域を歩いている間は地震の効果が及ばずそのまま歩き、青色で示した領域の境界線(マスの中央、赤線部分)に到達したところで初めて地震の効果が及び、その境界線上の位置で停止します。
つまり、多少❶×カタストロフボムの起動タイミングが早まっても、敵は必ず❷のマスの中央の位置で停止します(但し、❶×カタストロフボムの起動が遅れた場合はその限りではない)。

この方法を採用することにより、先のコンボ①における懸案の1つ(①)であった、コンボの序盤が不安定であった問題は解消されました。また、コンボの序盤をこの形にすることにより、次につなげるトラップである×コールドクローのチャージを溜める時間が確保され、その結果Ark倍率の低い❸□パワーマグネットは不要となります。これにより、もう1つの懸案(②)であった累積Ark倍率の伸び悩みも解消されました。

さらに、この方法はコンボ①とは異なり、1ヒット目の起動タイミングを誤り❷△ヨウガンカビンを被せるのに失敗しても、やり直す度にいちいち部屋を出る必要がなく、同じ部屋の中に籠って何度でも部屋内をループしてやり直せるという利点もあります。

よって、コンボの序盤の形は、❸□パワーマグネットを省略して、

❶×カタストロフボム→❷△ヨウガンカビン→❸×コールドクロー(左上図における❹の位置)
と変更され、これによりコンボの序盤の安定度が飛躍的に増しました。
ついでに、×クエイクボム(Ark倍率:1.5倍)を×カタストロフボム(Ark倍率:1.7倍)に変更することで、累積Ark倍率も上昇し、より多くのArkを稼げるようになりました。
この変更を反映させて改良したコンボが、以下に示すコンボ②です。コンボ①から❸□パワーマグネットを省略した分、落とし穴に落とせる回数が1回増え、落とし穴のヒット回数は合計3回となりました。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ②における最終累積Ark倍率は97.7倍で、コンボ①に比べ倍近く上昇しました(コンボ①は57.5倍)。また、トドメの獲得Arkは最大約25,000Arkにまで上昇しました。さらには、落とし穴に落とす回数を1回増やしたことで、仕留められる対象に騎士などのHP・防御力の高い敵も加えることができるようになりました。
しかしながら、このコンボ②においても、上述した問題点のうち3番目に挙げた「トドメにテクニカルボーナスが1つも付いていない」という点については、何ら改善されていません。つまり、まだまだ改良の余地が残されているのです。


【終盤の形の改良 ~よりダメージを大きく~】

上記のコンボ②よりも落とし穴に落とす回数を1回増やして合計4回とし、殺傷能力を更に高めたコンボもついでに紹介しましょう。
以下に示すコンボ③は、コンボ②から特段必要ない3ヒット目の❸×コールドクローを省略することで、落とし穴に落とす回数を1回増やして合計4回(❺❽❾)落とし、コンボ②のように落とし穴に3回(❻❾❿)落としただけでは死なない敵にも対処できるようにしたコンボです。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ③における最終累積Ark倍率は104.7倍で、トドメの獲得Arkは最大32,500Arkです。Ark倍率はコンボ①に比べおよそ2倍に上昇し(コンボ①は57.5倍)、コンボ②と比べても約7%上昇しました(コンボ②は97.7倍)。さらには、落とし穴に落とす回数をコンボ②と比較してさらに1回増やして合計4回としたことで、ガーディアン、将軍、国王といったHP・防御力の著しく高い敵も仕留められる対象に加えることができるようになりました。
(このコンボは、第7章で紹介している「汎用コンボ」と同じものです。)
しかしながら、このコンボ③においても、コンボ②と同様、上述した問題点のうち3番目に挙げた「トドメにテクニカルボーナスが1つも付いていない」という点については、これも何ら改善されていません。つまり、これでもまだまだ改良の余地が残されているのです。


【トドメの❿落とし穴にテクニカルボーナスを付けるには】

×スプリングフロアで落とし穴にエリアルヒット

【図4-5】×スプリングフロアで落とし穴にエリアルヒット

更なる稼ぎを目指すのであれば、最もArkが稼げるトドメのヒット(❿落とし穴)においてテクニカルボーナスを最低1つは付加せねばなりません。
そこで、筆者はまず落とし穴の4マス先から×スプリングフロアを用いて落とし穴に放り込むことを考えました。トドメの形を「❾×スプリングフロア→❿落とし穴」とすることで、トドメの❿落とし穴にエリアルヒットが付くからです。
しかし、9ヒット目に❾×スプリングフロアを用いるということは、これまで構築してきたコンボ①、コンボ②、コンボ③の終盤を大幅に変更せねばならないということを意味します。具体的には、右の【図4-5】に示すように、1度目に落とし穴に落とす際には南方向(図の右方向)を向いて歩いていたのを、【図4-5】の❾の位置に誘導するために何らかの方法で移動方向を北方向(図の左方向)へと方向転換させなければなりません。

移動方向を南方向から北方向へと180度転換させる方法としては、次の3つの方法が有効です。

1回目の落とし穴ヒット後に南側から這い上がってきたところを、
□アタックウォールで飛ばして北方向を向かせる
1回目の落とし穴ヒット後に南側から這い上がってきたところを、
×スマッシュフロアで反対側の壁まで飛ばし、北方向を向かせる
1回目に落とし穴に落とす際に、□マグネット系か×バキュームフロアを用いて、
北方向を向かせつつ南方向へ吸引する

では、それぞれの場合について検討してみましょう。
まず、④の□アタックウォールを用いて方向転換する場合についてですが、この場合は1回目の落とし穴ヒット後のコンボを次のように膨らませることができます。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

この終盤の形を膨らませて十連コンボとしたものが、以下に示すコンボ④です。なお、トラップの重複を避けるため、コンボ④では4ヒット目の□壁トラップである❹アタックウォールを❹□スパイクウォールに変更しています。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ④における最終累積Ark倍率は約84.7倍で、トドメの獲得Arkは最大約29,800Arkです。トドメにテクニカルボーナスを1つ付加したものの、前頁で紹介したコンボ②(97.7倍)に比べて最終累積Ark倍率が低下したため、トドメの獲得Arkは僅か5,000Ark弱しか増加していないのが難点です。
(このコンボは、コンボ集として収録したコンボ12と同じものです。)


【コンボ⑤の構築】

残る⑤×スマッシュフロアを用いる場合と、⑥のうち×バキュームフロアを用いる場合についても、トドメの❿落とし穴にエリアルヒットしか付かずさほど獲得Arkは伸びません。 まずは、⑤の×スマッシュフロアを用いる場合について見ていきますと、あまり稼げないため詳細な説明は割愛して、十連コンボは以下の通りとなります。
一応簡単に説明すると、終盤の❾×スプリングフロア❿落とし穴の形に持ち込むために、図の❾のマスに誘導する手段として、❽□プレスウォールを用いて、北側(図の左側)の壁際(❼△カビンの位置)から2マス先へと移動させています。
なお、コンボ①には3ヒット目、コンボ②には4ヒット目にあった❸/❹×コールドクローは、このコンボ⑤では省略しています。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

【コンボ⑥の構築】

次に、⑥のうち×バキュームフロアを用いる場合についてのみ見ていくことにします。このコンボもトドメの❿落とし穴にはテクニカルボーナスが1つしか付かずあまり稼げないため、詳細な説明は割愛します。
一応簡単に説明すると、Ⓐ×バキュームフロアで吸引して、敵の向きを北向き(図の左方向)に変えつつ、吸引方向を南向き(図の右方向)とすることで、❺落とし穴の後に進行方向である北側から這い出たところを南側に吸引してもう一度落とし穴(❻)に落とし、その後北向きに歩かせて❼△アブラカビンを被せて3マス歩かせ、落とし穴から4マス先である❾×スプリングフロアを設置したマスに誘導します。その後の8ヒット目の❽□コールドアローは、あってもなくてもコンボの流れとしては変わらず、ヒット数調整の意味で挿入しています。ここでは、ロングレンジヒットが狙えるのと、続く❾×スプリングフロアにコアヒットを付けることが可能となるため、この8ヒット目で挿入しています。
なお、コンボ①には3ヒット目、コンボ②には4ヒット目にあった❸/❹×コールドクローは、このコンボ⑥でも上記のコンボ⑤と同様に省略しています。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

【更なる稼ぎを目指して ~❿落とし穴にコア&エリアルを安定的に付加する方法を発見するまで~】

筆者がコミケで初の影牢攻略本(コピー誌)の発行に向けて徹底研究を始めた2005年までは、落とし穴にコア&エリアルの2つのテクニカルボーナスを付けるのは至難の業でありほぼ不可能であると信じて疑いませんでした。
後述する所定の距離から□アタックウォールで飛ばす方法を筆者が発見するまでは、落とし穴にコア&エリアルを同時に付加する方法は、世間(Web上)では次の3通りしか知られていませんでした。
落とし穴から這い上がってきたところを、「×クロー系→□バズソー→落とし穴」と決める
落とし穴から2マス先のブロック中央で、「×マイン」を当てて落とし穴へと飛ばす
落とし穴の右側に設置した□スパイクウォールを当てて落とし穴の左側へ強制移動させ、
その後×スプリングフロアを当て、引っ込む最中の□スパイクウォールを「つっかえ棒」にして落とし穴の中央へと落とす
しかしながら、上記の3つの方法は、どれも重大な欠点を抱えていました。まず、①と②については、Ark倍率が1.0倍と低い□バズソーや×マインを用いているために累積Ark倍率の伸び悩みを招いており、また③については、×スプリングフロアの起動タイミングが非常にシビアであるため成功確率が低く、とても使い物になりません。
そのため筆者は、徹底研究の末に後述する方法を発見するまでは、安定的に落とし穴に2つのテクニカルボーナスを付けられる方法は存在しないと思い込んでいました。

しかし、□アタックウォールの飛距離を正確に測定する研究を行っているうちに、□アタックウォールの軌道を逆算すれば、落とし穴の中央へと飛ばせる□アタックウォールのヒット地点が判明することに気付きました。
そこで□アタックウォールの軌道を計測誤差±0.01ブロックの精度で徹底的に研究した結果、以下に示すような結論に到達しました(詳細は第1章参照)。

・アタックウォールの軌跡の方程式は、y=-(x2-4 x-2)/4
・アタックウォールの飛距離は、平地では4.45ブロック(≒2+√6)
・アタックウォールのヒット地点から落とし穴のヒット判定面の中心地点までの距離は、4.8ブロック(≒2+√8)

コアヒット成立範囲はブロック中心から半径0.1ブロックの円内ですから、以上により次のことが言えます。

落とし穴の中心地点から4.8ブロック先を中心とする半径0.1ブロックの円内の地点で
□アタックウォールを当てると、落とし穴にコア&エリアルの2つのテクニカルボーナスが付けられる

アタックウォール→落とし穴のコアヒット範囲上面図

【図4-10】アタックウォール→落とし穴のコアヒット範囲上面図

これを言い換えると、上の【図4-10】に示すように、ブロック中央のライン上においては、落とし穴の縁から4.2ブロック先~4.4ブロック先の範囲内にて□アタックウォールを当てれば、続く落とし穴にコア&エリアルの2つのテクニカルボーナスが付けられるということになります。
つまり、トドメを刺す直前に、この「落とし穴の縁から4.2ブロック先~4.4ブロック先の範囲内」へと敵を誘導することができれば、❾アタックウォール→❿落とし穴とコンボを決めることでトドメの❿落とし穴にコア&エリアルが同時に付き、大量のArkを、具体的にはテクニカルボーナスが何も付かない場合と比較して2.25倍ものArkを稼ぎ出すことができるのです。  これでトドメの形は固まりました。この形であれば、稼ぎと決め易さの両立が図れます。後は如何にしてこのトドメの形に持ち込むかを考えるだけです。

【トドメの❿落とし穴にコア&エリアルを同時に付加する十連コンボが完成するまでの過程】

トドメの形を「❾□アタックウォール→❿落とし穴」とするコンボを構築するにあたり、筆者は❾□アタックウォールの前の8ヒット目、その前の7ヒット目、……というように、ヒット順の逆を辿ってコンボを膨らませていきました。
その結果、❾□アタックウォールに至るまでの形は、以下に示す3通りの形が有効であるとの結論に達しました。

コンボ⑦北側を向かせた状態で一度落とし穴に落とした後(例:□パワーマグネットで吸引して落とす)、
落とし穴から北側へ這い出たところを△カビン系を被せて北側へ歩かせ、
コア&エリアル同時成立範囲に到達したところで×クロー系で拘束する
コンボ⑧北側を向かせた状態で一度落とし穴に落とした後、△カビン系を被せて左側へ歩かせ、
その後×バキュームフロアを用いてコア&エリアル同時成立範囲へと吸引する(直接はヒットさせない)
コンボ⑨落とし穴の1マス手前(北側)のマスから×スプリングフロアで北側へ飛ばす

【コンボ⑦の構築】

まず初めに、1つ目に挙げたコンボ⑦を十連コンボへと膨らませていくことを考えていきます。まずは、コンボの終盤を構築します。
❿落とし穴のコア&エリアル同時成立範囲に到達したところで、左上の【図4-11】に示した位置で❽×クロー系、具体的には❽×コールドクローで拘束します。
この❽の位置まで誘導するには、その直前の❼△カビン系(設置位置は落とし穴の1マス手前)は、❼△ヨウガンカビンである必要があります。落とし穴の縁からコア&エリアル同時成立範囲の中心までは4.3ブロック離れており、△カビンや△アブラカビン(移動距離3.36ブロック)では届かないからです。
また、落とし穴から這い上がってきたときの位置を❼のマスとするためには、Ⓐ□パワーマグネットで吸引して左側を向かせた状態で落とし穴に落とす必要があります。
従って、Ⓐ□パワーマグネットを用いて落とし穴には2回落とすと仮決めすれば、❼までの形は、「Ⓐ□パワーマグネット→❺❻落とし穴→❼△ヨウガンカビン」となります。

次に、コンボの序盤を構築していきます。
❼で△ヨウガンカビンを用いているため、これまでの定番の序盤の形(開始型ミニコンボ)であった「❶×カタストロフボム→❷△ヨウガンカビン」の形は使えません。そこで、❷は△アブラカビンに変更することとし、それに伴い移動距離が3.36ブロックへと変化するので、❶と❷の設置位置を右上の【図4-12】に示すように西側(図の下側)に2マス移動させます。

こうして、コンボの序盤の形は「❶×カタストロフボム❷△アブラカビン」と決まりました。左上の【図4-11】では5ヒット目~10ヒット目を、右上の【図4-12】では1ヒット目~2ヒット目が定まったので、残るは中盤の3ヒット目と4ヒット目の2つです。

コンボの中盤では、残る2ヒットでⒶ□パワーマグネットの効果範囲内(壁から5マス)へと誘導せねばなりません。現時点でまだ決定していないトラップの種別の数は、天井が1個、が1個、が1個です。しかし、4ヒット目の直後にⒶ□パワーマグネットを用いるため、チャージ時間を考慮すると3ヒット目に壁トラップを使うことはできません。そうなると、2ヒット目で天井トラップである△アブラカビンを使っているため、必然的に3ヒット目は床トラップ、4ヒット目は天井トラップということになります。

以上の点を踏まえると、中盤の形は❸×スプリングフロア❹△オオタライ(または❹△カビン)とするしかありません。より多くのArkを稼ぐ観点から、ここでは4ヒット目はArk倍率の高い❹△オオタライとします。
こうして、コンボの終盤、序盤、中盤がすべて決定され、コンボ⑦は十連コンボとして完成しました。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ⑦の最終累積Ark倍率は97.7倍、トドメの獲得Arkは最大69,500Arkです。トドメをコア&エリアルで当てることにより、これまでのコンボに比べ飛躍的にトドメの獲得Arkが上昇しました
なお、❶×カタストロフボムの暴発対策として、Ⓐ□パワーマグネットはその起動直前に設置し直す必要があります。
(このコンボは、コンボ集として収録したコンボ13と同じものです。)


【コンボ⑧の構築】

次に、2番目に挙げたコンボ⑧を膨らませます。このコンボ⑧は上記のコンボ⑦との共通点が多いので、重複する部分は説明を省略します。
まず、終盤の形は、「❼落とし穴→❽△カビン→Ⓑ×バキュームフロア→❾□アタックウォール→❿落とし穴」で決定です。コンボ⑤とは異なり、ここでは❽の△カビン系を△ヨウガンカビンとする必要がありません。
また、Ⓑ×バキュームフロアは直接はヒットさせませんので、このままではヒット数が1減少してしまいます。そこで、落とし穴に落とす回数を1回増やします。そのためには、❸×スプリングフロアを当てた後に落とし穴の方向に少々歩かせる必要があるので、❹を△オオタライではなく△アブラカビンにせねばなりません。

以上により、コンボ⑧は次のように決定されました。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ⑥の最終累積Ark倍率は94.2倍、トドメの獲得Arkは最大62,800Arkです。与えるダメージがあまりにも高いため、対象となる敵は将軍、国王、ガーディアンに限定されます。
(このコンボは、コンボ集として収録したコンボ14と同じものです。)


【コンボ⑨の構築】

最後に、コンボ⑦の構築を行います。このコンボ⑦は、上述したコンボ⑤、⑥とは構造ががらりと変わります
筆者は×スプリングフロアについて鋭意研究を重ねた結果、×スプリングフロアには位置補正の効果があり、どの位置で当てようがその着地位置は必ず設置ブロックの中央の地点から3.8ブロック先であることを突き止めました。この位置補正の効果はコンボの安定性に大いに寄与することから、本サイトでは×スプリングフロアを最重要トラップと位置付けています。
この性質を利用して、落とし穴の1マス手前のマスから×スプリングフロアで北側(下の【図4-15】の左側)へ飛ばすと、その着地位置は、落とし穴の縁を基準点に取り直すと、必ず3.8+0.5=4.3ブロック先となります。

落とし穴コア&エリアル誘導法

【図4-15】落とし穴コア&エリアル誘導法

この「落とし穴の縁から4.3ブロック先」という位置は、上の【図4-15】に示すように、先の【コンボ⑦】の説明の際に用いた図に示したとおり、落とし穴のコア&エリアル同時成立範囲(4.2ブロック先~4.4ブロック先)の中心地点と完全に一致します
つまり、コンボの終盤を「❽×スプリングフロア→❾□アタックウォール→❿落とし穴」とすることで、位置補正の効果により簡単確実に❿落とし穴にコア&エリアルを同時に付加することができるのです。

しかし、この「❽×スプリングフロア→❾□アタックウォール→❿落とし穴」と決める終盤の形には重大な欠点があります。それは、コンボの中途段階に落とし穴を挟むことができないことです。その理由を、①南側(図の右側)を向いて一度落とし穴に落ちた場合と、②北側(図の左側)を向いて一度落とし穴に落ちた場合とに分けて説明します。
まず、①南側(図の右側)を向いて落とし穴に落ちた場合、左上の【図4-16】に示すように、落とし穴の南側(図の右側)のマスへと這い上がってきますが、この後に❽のマスに誘導するには、□プレスウォールを当てるか、あるいは「□スパイクウォール→△カビン」とするしかありません。しかし、いずれも□壁トラップを使用することから、その後の❾□アタックウォールのチャージを溜める時間が確保できません。従って、この場合は「❽×スプリングフロア→❾□アタックウォール→❿落とし穴」とつなげることができません。
また、②北側(図の左側)を向いて落とし穴に落ちた場合は、右上の【図4-17】に示すように、□マグネット系Ⓑ×バキュームフロアで落とし穴へと吸引した場合が該当します。この場合、落とし穴の北隣(図の左隣)のマス(すなわち❽のマス)へと這い上がってきますが、□壁トラップか×床トラップを使用して吸引した直後であることから、❽×スプリングフロアと❾□アタックウォールのいずれかのチャージがまだ溜まっていません。従って、この場合も「❽×スプリングフロア→❾□アタックウォール→❿落とし穴」とつなげることができません。
つまり、このコンボ⑨においては、落とし穴に落とせるのはトドメの1回のみなのです。

では、落とし穴に落とす回数をトドメの1回に留めた形でコンボを構築していきましょう。
上述した終盤の形と、もはや定番の序盤の形、つまり「開始型ミニコンボ」である「❶×カタストロフボム❷△ヨウガンカビン」と、これらを有機的につなげられる中盤の形、つまり「中間型ミニコンボ」である「❷△ヨウガンカビン→❸×コールドクロー→❹□スパイクウォール→❺△アブラカビン」とを組み合わせると、

 ❶×カタストロフボム❷△ヨウガンカビン
→❸×コールドクロー→❹□スパイクウォール→❺△アブラカビン
→❻×スプリングフロア→❼□アタックウォール→❽落とし穴
という8連コンボになります。しかし、十連コンボとするには、あと2ヒットを追加せねばなりません。
ここで、この8連コンボにおけるトラップ種別ごとの使用個数を確認してみると、△天井を2個、□壁を2個、×床を3個使用しています。つまり、残る2ヒットとして、通常であれば△天井トラップ1個と、□壁トラップ1個とを挿入すれば、十連コンボとすることができます。例えば、❷△ヨウガンカビンと❸×コールドクローの間に「□コールドアロー→△バーサークガス」を挿入すれば、十連コンボとなります(注:□コールドアローは❷△ヨウガンカビンで5.03ブロック歩かせ切ってダウン後起き上がる段階まで待ってから用いる必要あり)。
しかし、この場合は最終累積Ark倍率が61.0倍と低く、□パワーマグネットを直接ヒットさせたコンボ①(57.5倍)と殆ど変わりありません。その原因は、全体的にArk倍率の低い□壁トラップ(最大でも1.3倍)を3回も使ってしまっている点にあります。

油だまりを絡める

【図4-18】油だまりを絡める

ここで筆者は、❸×コールドクローによる拘束時間が長い点に着目し、□壁トラップの使用回数を2回に減らす代わりに、どの□壁トラップよりもArk倍率の高い「油だまり」(Ark倍率:1.5倍)を❸×コールドクロー~❺△アブラカビンの間に挿入することを思い付きました。こうすることで、累積Ark倍率のより一層の向上が見込めるからです。
×コールドクローの拘束時間は14秒。一方、△アブラカビンを床に落として油だまりを発生させてから△アブラカビンのチャージが再開されるまでの時間は、それよりも短い10.5秒です(詳細は第5章参照)。
よって、「油だまりの発生→△アブラカビンのチャージ再開」の後に再び❻の位置に△アブラカビンを設置してもなお、×コールドクローによる拘束は続きます。

以上をまとめると、コンボの中盤である「中間型ミニコンボ」は次のように変更されました。

❷△ヨウガンカビン→❸×コールドクロー
→(❻アブラカビンを落下させ油だまりを発生)→(10.5秒後に❻アブラカビンを再設置)
→❹□スパイクウォール→❺油だまり❻△アブラカビン
これで1ヒット追加され、合計9ヒットとなりました。残る1ヒットは、△天井トラップの使用回数が1回余っているので、❽×スプリングフロアと❾□アタックウォールの間に、天井トラップの中でArk倍率の最も高い△オオタライを挿入します。

こうしてコンボの終盤、つまり「終了型ミニコンボ」は、

❻△アブラカビン→❼×スプリングフロア→❽△オオタライ→❾□アタックウォール→❿落とし穴
と変更され、十連コンボの完成です。

※表の見方はこちらをご覧下さい。

このコンボ⑨の最終累積Ark倍率は84.7倍で、トドメの獲得Arkは最大約47,300Arkです。このコンボ⑨の利点は、HP・防御力の低い敵(弓使いなど)に対しても最後までコンボを決められる点にあります。
(このコンボは、コンボ集として収録したコンボ11と同じものです。)


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