提案ビジネスの体験談
教育の現場でeラーニングを導入するということになると、よほどの専門家がいる学校でない限り、いくつかの業者から情報を収集し、機能や見積もりを比べて決定に至る。業者が決まれば納品だけにとどまらず、メンテナンスや普段の運用まで教職員と業者の付き合いが続くことになる。その間の信頼関係はシステムがスムーズに動くかどうかを左右するくらい重要だ。筆者(高橋)は業者側としての長年、学校におけるeラーニングの導入から運用までを見てきた。その泥臭い経験を披露することによって日本のeラーニングの地道な発展に寄与したい。
システム構築で重要なこと
お客様が何をしたいのかを伺い、そこから幾筋にも連なる小枝を作り上げる。先生と職員さんとの打合わせから始まる。打合せ時の雰囲気がいいと一回の打合せでほとんどが決まる場合がある。後は修正をすればいいのだから助かる。第一は、簡単な操作で運用可能にすること。どんなに立派なシステムであっても利用されなければ値打はなしと考える。
売込み成功例
ビジネスとが人と人との情報交換であるがうっかりすると墓穴を掘ることになるから気をつけよう。実は私事であるが、ある大学様にシステムの納入をさせていただく。その後時々大学には伺うが問題なく動作は順調であった。その為か、心に隙が出てしまったのだ。この少しの心の隙が大きくなり、そこに他社が入り込んだのである。営業もスポーツも同じである。最大の防御は攻撃である。この言葉を実行しなければ、相手に攻撃されやすい環境を自らつくり、遂には思ってもみない程惨めに商戦に負けるのである。悔しいのは、今まであり続けた私への情報が無くなることである。こうして情報戦争はあっけなく敵の手にわたるのです。同じようにその反対の立場に遭遇することも幾度かある。過去に数度訪問したことがある、ガードが固く取引額は少ないが、規模は大きく将来性豊かな某大学。その大学から見積依頼があり既存の参考図面まで頂く話に喜んだことがある。
話の源流
話は情報系学部から来ることが多い。計画の話を頂いた時、私は必ずこの話は何社の提案
現代GPの利用
10数年前に比べ、大学も資金に苦労している。やりたいことはたくさんあるがいざ実行となると資金難に直面する。そこで文科省の現代GPを申請するわけだが、採択された予算を初年度は使い切り立ち上げる。次年度以降の資金繰りをどうするかが問題である。継続するためには、学生に認知してもらうことが必須条件であり、単年度で実績を出すことを前提に計画しなければ立ち切れになる。学内で評価され存在価値があれば、予算はおのずから獲得可能である。
強敵に遭遇
ビジネスを勝利に結びつけるにはありとあらゆる手を講じて対処するのだが自分にできないことを前面に出してやってきた場合は、手強い敵に遭遇である。文科省に提出する提出書類関係の作成をお手伝いしている会社は新学部、新学科、現代GPにおいて大学の予算を獲得している例が多い。大学の教授にしても毎日が忙しいし、授業で教えている内容とはまた異なった内容をまとめ文章にするわけであるし、ある会社から話も聞かなくてならないし、当然予算案を決めなくてはならないし、最終的には見積書が必要になる。一回で決まることなどあまりなく数回の打合せが必要にもなるし、特別なソフト、コンテンツを作り込むことなどが発生すると大変な労力が必要になる。こんな打合せをすべてやってくれる会社があれば、かなりの割合で指名する確率は高くなる。要するに大学から一番使命を頂くためにはすべてに関して平均点以上の力を持ち他社がやっていない作業項目まで柔軟にこなす提案力と熱意が要求される。
提案書の出来栄え
提案書のページを数えるとなぜこんなに多くなるのか不思議におもう事が多い。頁数が多ければいいというものではないはず、肝心なことが簡潔に明瞭に書かれた
プレゼン中の先生の反応は
某大学でのプレゼン中のことである。意外なところで一人の先生の反応がある。その内容は先生が授業で使うパワーポイント資料の操作のところである。ページ送り、チョークで書き込むところである。二点共授業をいかに白板の如くに、機器を簡単に操作できるか、書き込みをいかに簡単にするかの説明を支持して頂いたのだ。将来対応とか、夢を感じていただける提案、作成者としては自信作の部分では意外と反応が少ないのだ。その後の反省会で、プレゼンは教授、事務方と経営者には内容と説明の仕方を変えなければならないことを確認した。このところが重要であり軽い気持ちでやり過ごすと指名から外される。
提案後の質問内容は
一番多いのは納入後のメンテナンスに関することが多い。システムに障害が生じた場合の対処策に関することであり、すぐ対処可能か、電話してから何時間で来てくれるのか、機器の故障の場合代替え品対応してくれるのか。短時間で復帰可能なサービス体制を有していないと指名から外される。その次は各先生の個人的な判断に基づいてあります。事務方
選考はどのように、指名は日程は
選考はどのようにされるのかを聞くと数社の中から3社を選び再見積もりを依頼するとのこと。3社に選ばれたことは素直に喜ぶが、ビジネスの世界は一位に指名されなければ、すべては水の泡と消えうせるのである。これから先の再提案と積算はありとあらゆる手段を全開にして対処しなければならず、社内においてもシステム構築にあたり一番信頼のできる連中に入ってもらう。ネットワーク系、映像系、音声系、ソフト制作系とシステム性能は下げずにコストダウンに奔走します。ここの最終作業で重要なのは営業の判断である。
セミナーの効果と実績向上
年2回のプライベートセミナーは、アクションプランに組み込まれていて私はこのセミナーを有効に利用します。対象は大学の先生、情報系の職員、企業の研修に携わっている人を中心にセミナー招待を開始する。2回ほど高校の先生、にも参加して頂きセミナーの終了後の立ち話で貴重な話を頂いた事がある。先生方には貴重な時間を頂く訳なのでそれなりの内容をしなくては次回の参加に大きく響くし、この手のセミナーは情報の横展開があるため内容が貧弱だと、後でボディブローを食らったように効いてくる。自ずと真剣になるし、緊張を伴い話したいことが伝わらない事も時にはある。セミナーの講師には大きく分けて二つのタイプがあり両者共必要な要素である。まず一つ目はセミナー講師経験数十回ともなると話すことがしっかり頭の中で組み立てられ、さらーっと流すところ踏み止まって時間をかけ説明するところ実に見事な演出である。淀みなく話す熟達した講師の話を感心して聞きその姿を見ていると羨ましくなり、もっと緊張感が高まるのである。次が自分の番であり、この人のように堂々と話ができたらどんなにいいかなど思うのであります。
受注案件の内容
早くから大学担当者から情報を頂いていた。
指名に迷った時
ビジネス形態が変わってきてはいるが肝心なところは変わっていない。
適材適所に十分に気をくばることである。営業担当が1年未満で変更になるところは、あまりお勧めできない。
相見積もりに当てられた。
この手のビジネスは近年多くなり、多くの時間を使う。お客様から話があると、まず担当営業の営業活動報告書を見る。記入されていない案件があるとそれは、どこかの会社が参加している可能性が高いのだ。提案、積算共困難な事が多い。このようなビジネスの時は
ビジネスは人なり
昔も今も営業は人と向かい会話するところから始まる。
大切なことは
お客様の気持ちになってシステム設計することでしょう。お客様が学内においてシステムの設計を行いその計画に沿った形での提案でも大学から呼ばれた各社の提案内容は今回分と将来構想案などを作り、他社との差別化を図りたいと考える。何とかこの案件をものにしたいかららである。特にネットワークを伴う仕事である以上機器構成は高信頼性であります。コストはあがるがメインのHUBをシスコにし、まず通信の信頼性を向上させます。
アドバイスの重要性
経営者が考えていることは学園の経営そのものを第一に考えており、予算を実行するにあたり無駄なことを発見すれば厳しく追及することだろう。では無駄なことと必要なこととはどこが違うのだろう。学内で委員会を作り検討された計画はたくさんの人が関係しているので意外とそのシステムは活用される。学内にシステムにもコンテンツにもめっぽう強い先生がいるものである。その先生が強引に構築したものは立ち上げても利用されているとはいえないものがある。余程内容がしっかり構成されている場合を除いては成功していない。トップダウンの場合は二分される。決定力が格段に違う事と、実行は短期間で行われる。そのため学内での先生の意見が反映されない場合が多いのである。この場合は導入後問題が噴出する場合が多いのである。経営者側としては最新の教育機器を用いて授業を支援する事を望むだろうし、他の大学のやっていることが気になるものである。一人でも多くの学生に来てほしいし、受験者数も気になるだろう。学力アップは当然である。業者としてその場におりなんとアドバイスをすればいいのか迷う事がある。導入時は楽に数字があがり気楽であるが、試験期間が終わり稼働し始めると大きな問題に遭遇するのはお互いプラスにはならない。
提案から運営
何度かの提案を経て構成が決まり先生と業者の打ち合わせが始まるわけだが、最初は多くの関係者に参加してもらうことは非常に大切なことである。学内でのPR上からも、これからの運営面、資金調達面からも、学内のトップの方々に参加してもらうことを必ず実行することをお勧めする。こちらも最初が大切だし学内のTOPが参加することで、説明にも自ずと熱意と緊張と期待が交錯する。実用的で、そこに少しでも先進性を加えようと考える訳である。二回、三回になると参加人数は少なくなるが、熱意のある人が残る例が多くなり、成功への道のりが少しづつ見えてくる。打ち合わせ会議での話、「自分は使いたいとか、自分は苦手だとか言うのではなく授業を受ける側の学生の立場に立って考えませんか。」使える先生とそうでない先生が出てくることはまずいんではないか。たまたま、使えない先生が担当だった学生が、かわいそうです。均等に機会を提供しましょう。ある先生からの発言を聞き、学問とは平等でなければならないことを再確認した。使いたいときに故障していたり、操作があまりにも難しく、先生が本来の授業に集中できないようなシステムは決して作ってはならないという事である。このような事一つ一つの積み重ねが重要であり、怠ることがないような仕組みが必要である。導入までは、導入検討会等を経て中身を関係者でよく吟味し、実践活用に持って行くように手順をしっかり踏むことも必要である。成功へのキーワードは、成果を得られるように、人材、教材、割当資金をフルに利用し、PRにも力を入れ、その時々にマッチした、より変化のある充実した内容を提供することである。