農薬に関する法律

農薬取締法の1部改正(あなたも懲役3年、罰金100万円かも?

bullet食品衛生法の改正(2006.2.20)

農薬の問題に食品衛生法は一見関係ないようですが、野菜などの食品について栽培の際に使用されるのが、農薬であることを考えれば関係ないとは言えなくなります。残留農薬も避けて通れない問題です。このほど改正になった主なものはポジティブリスト制度の導入『農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する制度』です。食品衛生法で規定する『人の健康を損なう恐れが無い量(一律基準)』人の健康を損なう恐れが無いことが明らかである物質(対象外物質)』を定める。ポジティブリスト制度の円滑な施行を図るため、食品の成分にかかる規格として、暫定的に農薬等の当該食品に残留する量の限度『暫定基準』 を定めること、この3点について検討されましたが、このほど暫定基準を公表するとともに検討が行われてきましたが、平成18年5月末にポジティブリスト制が施行されることになりました。大きく変わったところは今までは出てはいけない物質のみ規制されていました、つまりそれ以外は分析して他の物質が出ていてもOKでした、そこに一律基準を設定することになりました。

規定されているところ以外は空白でしたが、そこに一律基準が設定されます、わが国の食品摂取量を踏まえて、農薬登録の際に用いられる『許容1日接収量(ADI)』等を考慮して許容量の目安として1.5μg/dayを用いる事が妥当であると考えられることから、これを超えることのないよう、一律基準として0.01ppm(欧州連合も同じ基準を採用している)を定める。ことになりました。

この事自体は同じ消費者として歓迎すべきことですが、生産者(農家)にとっては大変なことです、自分のところできっちりと農薬について管理して登録のある、かつ適用のある農薬を使っていても、隣の土地で散布された農薬が風に乗って流れてきた場合、収穫後に分析してこの0.01ppmを超えた場合は出荷停止又は出荷後の場合は回収が必要になり経済的損出は計り知れません。自分のところは悪くないのにとなると、ただでは済ませないということで裁判沙汰も考えられます、我々植木屋もこの事は十分考えられます隣地が畑の場合などのときは飛散防止に十分な配慮が必要になります。庭木に散布したことで近隣農家の方に莫大な損害を与えることの無いよう注意が必要です。

bullet平成15年度の改正「登録のない除草剤について

平成14年度の改正は大きく報じられましたので、皆さん良くご存知と思いますが15年にも改正がありました。無登録農薬については14年度の改正で厳しく規制されることになりましたが、除草剤の中には非農耕地用除草剤と言うのがあります。農薬は農作物等に使用される薬剤と規定されていますので、農作物のない場所(例、駐車場、墓地)で使用される除草剤は農薬登録が無くても良い事になります。そのため登録のための毒性の試験など安全性の確認が出来ないものが、販売の時には同じ除草剤の棚に並べられているなど問題が大きくなっています、そこで一目でわかるように『農薬登録の無い除草剤』と呼ぶことに統一すると同時に、このことを表示することが義務化されました。安全性の確認が出来ないので、出来るだけ農薬登録のあるものを使用しましょう。

bullet住宅地における農薬使用について、その後(2005.2.15)

農薬取締法の改正が行われ、その一環として「住宅地における農薬の散布について」の通達が平成15年9月16日に出されました。その概要は(1)病害虫の発生被害にかかわらず定期的に農薬を散布することを廃し、被害が発生した部分の剪定や捕殺等に最大限努める。(2)やむを得ず農薬を散布する場合には最小限の区域に留め、ラベルの使用方法を遵守し、風の強さ・散布時間帯・ノズルの向きに注意し、周辺への事前周知をすると共に使用農薬の記帳に努めなさい。と言う内容でした。
今日(2/15)緑の安全管理士の研修があり、(社)日本植物防疫協会、試験事業部リーダーの藤田俊一氏を講師に
「農薬の安全使用(飛散防止)の課題と対応」と題して講義がありました。その中で新農林技術新聞に掲載された藤田氏の記事を中心に説明があり中央関係団体はいち早くドリフト(飛散)対策連絡協議会を発足し「農薬散布時のドリフトガイダンス」をまとめ広く関係機関に配布してきました、そしてそのガイダンスに示された考え方を具体的な対策として確立するために検討や実証がされています。
今の所、対策としては
1)飛散しやすい散布剤を止めて粒剤に切り替える。
2)風があるときには散布しない。
3)散布粒子を大きくする。
4)動力噴霧器の圧力を下げる。
5)遮蔽ネットを設置する。
と言ったことが考えられています。
特に3)の散布粒子を大きくするためのノズルの開発が進められています。
この法律は使用者が取り締まりの対象となっていますので、散布するときには注意を払って飛散防止に努めましょう。

bullet住宅地における農薬使用について(詳しくはこちら2004.2.11、

今般農薬取締法第12条第1項の規定の基づく、農薬の飛散防止に努めなければならない由、規定がありましたが、周知を図るよう通達がありました。(以下抜粋)

1 学校、保育所、病院、住宅地に近接する公園等の公共施設内の植物、街路樹及び住宅地に近接する森林等における病害虫防除については、病害虫の発生や被害の有無に関わらず定期的に農薬を散布することを廃し、被害が発生した場合に被害を受けた部分のせん定や捕殺等により病害虫防除を行うよう最大限努めることとする。このため、日頃から病害虫被害の早期発見に努めることとする。
 また、病害虫の発生状況を踏まえやむを得ず農薬を使用する場合(森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)に基づき周辺の被害状況から見て松くい虫等の防除のための予防散布を行わざるを得ない場合を含む。)は、次の事項の遵守に努め、農薬の飛散が住民、子ども等に健康被害を及ぼすことがないよう最大限配慮することとする。

1)農薬の使用に際しては、誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を検討し、やむを得ず散布する場合であっても、最小限の区域における農薬散布に留めること。

 

(2)非食用農作物等に対し農薬を使用する場合であっても、農薬取締法に基づいて登録された、当該防除対象の農作物等に適用のある農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度等)及び使用上の注意事項を守って使用すること。

 

(3)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選ぶとともに、風向き、ノズルの向き等に注意すること。

 

(4)農薬使用者及び農薬使用委託者は、周囲住民に対して、事前に、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類等について、十分周知するとともに、散布作業時には、立て看板の表示等により、散布区域内に農薬使用者及び農薬使用委託者以外の者が入らないよう最大限の配慮を行うこと。特に、農薬散布区域の近隣に学校や通学路等があり、農薬の散布時に子どもの通行が予想される場合には、当該学校や子どもの保護者等に対する周知及び子どもの健康被害防止について徹底すること。

 

  (5)農薬使用者は、農薬を使用した年月日、場所及び対象植物等、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数について記帳し、一定期間保管すること。

 

2 住宅地内及び住宅地に近接した農地(市民農園や家庭菜園を含む。)において栽培される農作物等    (以下省略)

  

bullet樹木に登録のある農薬《樹木類(木本植物)への登録農薬一覧》

 平成15年3月末現在(緑のたより http://www.midori-kyokai.com/topix/topix.touroku.dwt)より

  薬 剤 名

 

使

 

使

 

使

 

適 用 害 虫 名

 

 

 

 

 

オルトラン水和剤 1,000 発生初期 5
スミチオン乳剤50 1,000  6
〃    (家庭園芸用)  ●                  
スプラサイド乳剤 1,000〜1,500    5                
ダーズバン乳剤40       * 2,000〜3,000  4                
ダイアジノン水和剤34     *   1,000〜1,500 発生初期  4                
ディプテレックス乳剤      * 1,500
1,000               ●    
トレボン乳剤 4,000 幼虫発生期 6  
2,000
バロックフロアブル 2,000 発生初期 1
ニトルア〈アメシロ〉  (3個/10a、1個/40m)  ―                  
ガードジェット水和剤  4,000 発生初期 6
ターフル水和剤   4,000 発生初期 6

トアロー水和剤CT 

 1,000〜2,000 発生初期 6          ◆        

◆個々の樹木(さくら、つばき、さつき)で登録されている。

*を付けた薬剤は、一般樹木で登録

 

薬 剤 名

 

使

 

使

 

使

 

適 用 病 害 名

 

 

 

 

 

トップジンM水和剤   1,500〜2,000 5      
トップジンMペースト 原液塗布 枝切除後      
トリフミン水和剤  3,000 発病初期 5      

 

薬 剤 名 使用量(10a) 使用時期 使用回数 対象雑草名



 

バスタ液剤300〜500ml 雑草生育期

300〜500ml

雑草生育期

3 一年生雑草
トレファノサイド乳剤200〜300ml

200〜300ml

植付後・生

育期(雑草

発生前)

 

2

畑地一年生雑草

(ツユクサ、キク、カヤツリグサ、アブラナ科を除く)

トレファノサイド粒剤2.5

4〜5kg

(注)作物群に属する作物又はその新品種に初めて使用する場合は、使用者の責任において事前に薬害の有無を確認してから使用する。

 

bullet「特定農薬」及び「農薬の使用基準の考え方」について(2003.3.1)

「特定農薬」と違反すると罰則の対象となる農薬の使用法のルールなどの「使用基準」設置に関して、1月30日に行われた農材審議会農薬分科会で、各々下記の通り指定及び策定されることになりました。

3月10日施行の改正農薬取締法に併せて省令で制定される予定で、概要は下記の通りです。

◆特定農薬

「食酢」
「重曹」
「使用される場所周辺で採取された天敵」

◆農薬使用基準の考え方

T農薬使用基準が適用される農薬
(1)農薬取締法第2条又は第15条の登録を受けている農薬。
(2)(1)以外の登録を受けた農薬(販売が禁止されているものを除く)。
(3)以下の場合には適用されない。
 @試験研究の目的で使用される場合。
 A検疫有害動植物に対し使用する場合。
 B輸入国の要求により使用する場合。

U使用基準の考え方
1. 農薬使用者の責務
農薬使用者は以下の各号の責務を有する。
(1) 農作物等に害を及ぼさないようすること。
(2) 人畜に危害を及ぼさないようにすること。
(3) 農作物等の汚染が生じ、その農作物等の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること。
(4) 農地等の土壌汚染が生じその汚染により汚染された農作物等の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること。
(5) 水産動植物の被害が発生し、その被害が著しいものとならないようにすること。
(6) 公共用水域の水質汚濁が生じ、その汚濁に係わる水の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること。

2.罰則を科す基準
(1)食用作物及び飼料作物に農薬を使用しようとする場合
農薬登録時に定められた、
 @ 適用作物
 A 単位面積当たりの使用量の最高限度又は希釈倍数の最低限度
 B 使用時期
 C 使用総回数
について、遵守を義務とする。
(2)食用作物への適用がない農薬を食用作物に使用してはならないこととする。
以下省略

3.遵守の努力を要請する基準
(1)容器に表示された最終有効年月を超えて農薬を使用しないよう努める。
(2)省略
(3)住宅地及び住宅地に近接する地域において農薬を使用する者は、農薬が飛散することを防止するための必要な措置を講じるよう努める。
(4)農薬の使用者は、以下の事項を帳簿に記載することに努める。
 ア 使用した年月目
 イ 使用した場所
 ウ 使用した農作物名
 エ 使用した農薬の種類又は名称
 オ 使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数
以下省略

4.経過措置について
(1)マイナー作物等については、登録農薬に適用がない(少ない)ため、病害虫が発生した場合、防除手段が無く農業生産の安定に著しい支障を来し、改正法施行(平成15年3月10目)後に、直ちに、Uの2の(1)の違反行為として処罰の対象となるおそれがある。
(2)このため、当面の経過措置として、以下の安全性を確保する措置を講じつつ、一定期間、Uの2の(1)の適用を猶予する措置を講ずることとする。

以下省略「緑の安全推進協会、ホームページ、みどりのたよりより抜粋」

なお、食品衛生法が改正される予定で(残留農薬の問題)まだ一部改正の見込みです。

bullet農薬取締法の1部改正(2002.12.31)

この改正は無登録農薬の販売および使用の問題から無登録農薬の使用を法的に禁止し罰則を強化する目的により改正されました。 詳しくは「みどりのたより」をご覧下さい。

しかしそうした改正も、 農薬の使用基準の設定及び罰則の適用(第12条)により登録農薬においても使用基準の適用外使用(登録適用のない「ラベルに記載のない」農作物および虫や樹木に使用した場合)により罰則が適用される危険性が出てきました。

農薬の使用基準の設定及び罰則の適用(第12条)
・ 概要;一般の農薬の使用基準については、現行では遵守することが望ましい基準としての「安全使用基準」であったが、改正後は遵守しなければならない基準としての「使用基準(農薬の種類毎に使用時期、使用方法、その他について省令で定める。)」を定め、違反した場合には罰則が適用される。
・ 趣旨;作物への残留農薬問題発生防止のため、農林水産大臣及び環境大臣が登録農薬の使用基準を定めることとした。

このまま行けば15年3月10日施行の見込みです。但し現在も農薬資材審議会農薬使用基準小委員会において論議されていますのでその成り行きに注目をしていて下さい。