≪高見T遺跡2次 調査報告会の報告≫ [平成29(2017)年8月27日(日):伊予市下三谷 ウェルピア伊予にて]
平成29年8月27日(日)午後2時より、中山スマートIC建設に伴う発掘調査の成果報告として、伊予市上灘に所在する高見I遺跡2次・高見II遺跡・東峰遺跡第4地点2次調査について、伊予市教育委員会と合同で報告会を開催しました。
当センターが担当した高見I遺跡2次調査では、後期旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡が発見されており、後期旧石器時代の生活趾である礫群・多量のナイフ形石器・特定地域に集中する剥片尖頭器について説明を行いました。
この日は約140名の方々にご参加いただき、それぞれに説明や遺物について強い関心を向けていらっしゃいました。現地での説明会でこそありませんでしたが、数々の成果の意義などを感じていただけたのではないかと思います。
最後になりましたが、予想を超える多くの方に来ていただけたことにより、参加者のみなさまには会場内にてご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げますとともに、盛況のうちに合同報告会を終える事ができたことに篤く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
:遺跡の概要:
高見I遺跡は、中山川(肱川支流)の最上流域にあたり、独立丘陵の上にあります。以前からこの地域は旧石器時代や縄文時代の遺跡が多数存在することが知られている地域で、高見I遺跡は近隣の東峰遺跡とあわせて、当センターが平成7・8年度に発掘調査を行っています(この1次調査の発掘調査報告書はこちら)。
今回の調査で出土した遺物総数は約5,000点にのぼりました。多くの石器が互いに接合できたのみならず、生活趾である礫群まで伴っており、きわめて良好な旧石器時代の遺跡であることが判明しました。
出土した遺物としては、ナイフ形石器・剥片尖頭器(はくへんせんとうき)・角錐状石器(かくすいじょうせっき)・スクレイパー・彫器(ちょうき)・石錐(せきすい)などが確認できました。特にナイフ形石器は100点を数えます。
調査区の中で石器の出土が集中する場所が複数あり、かつそれぞれが関係することがわかってきました。礫群は必ず石器の集中域に近接していました。
また、縄文時代の落とし穴・遺物も出土しています。遺物量はとても少なく、耕作土や落とし穴にわずかに含まれる程度であるため、生活の場であるというより狩猟場的な様相が強いと考えられます。
礫群の出土状況(遠景) 礫群の出土状況 杭の痕が残る落とし穴(縄文時代)
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