藪漕ぎの楽しみ
「一の谷新道(本谷?)」と地獄谷
【アクセス】 鈴鹿スカイラインの御在所山の家を登山口とする。私たちは大阪在住なので、西名阪〜名阪国道(国道25号線)〜東名阪で、四日市ICで降りて菰野町経由で鈴鹿スカイラインを目指す。しかし、名神高速を利用して栗東ICから国道1号線を利用して、土山町から鈴鹿スカイラインへ向ける方法もある。こちらの方が我が家(吹田)からは時間的には短縮できるし、経費も安くつく。しかし現在は、鈴鹿スカイラインは工事箇所が多くて対向車に注意が必要である。又、御在所山の家前の駐車スペースは10台余りしか駐車できない、もっとも、近くに数箇所のスペースがあるので安心だ。
【一の谷新道(本谷)〜中道〜御在所岳〜国見峠〜地獄谷出合い〜国見峠〜裏道】(2003年5月14日) 今回は、本来、このページには載らない山行のはずである。御在所岳といえば、ロープーウェイが架かっている“観光地”で、ハイカー達の集まる山域である。・・・が、改めて山の怖さを知ることとなり、此処に載せることとした。今回は先週末、相棒が体調を崩したこともあって、平日の天気の良い日を選んだのだが、前日の予報は、前線の通過を伝えていたので、午前中が勝負である。もちろん、目的は“花”であった。そして、“フルカラー特選ガイド”でルートを決めたのだ。私たちの場合、ガイドブックに載っているルートでは無くて、紹介されていない破線や廃道のルートを選ぶ習慣がついている。この事が、後の事件(?)につながった。 先の“フルカラー特選ガイド”の春山及び夏・秋山のコース紹介で、破線で記されている『一の谷新道』を上がって国見峠を目指した。目的の花はこの峠の先にある・・筈である。私たちは車を利用するので、登山口と下山口には気を配るのである。しかし道路歩きの30分くらいは、もちろん許容範囲でもある。「天気の崩れによって、下山路を決めよう!」は、小回りが利く(優柔不断な?)私たちの特徴でもある。兎に角、四日市ICを降り湯の山温泉を目指す。温泉街を通り抜けて、スカイライン手前の空き地を駐車場所とした。
ガイドブックの記述のとうりにスカイラインをくぐって、登山口に着く。ここは「中道」の登山口で、私たちの今日のルートは左に橋を渡って“・・小屋手前を右に入る道は、一の谷新道の登山口である”の記述どうりに進む。しかし、標識には“本谷”と記されていて、相棒が「こちらでいいの?」と念を押しているが、私は「本にも本谷と載っている」と歩を進める。実は、この一の谷新道は「山と高原地図」に載っているコースなのだが、このガイドブックは昨日私のバッグに入れたままだった。そのバックは、吹田でお留守番である。
このルートは、25,000図に破線の記載も無かった。しかし、歩き始めてしばらくは立派な道なので、何の心配も無かった。峪沿いの道を歩き、徐々に高度を稼ぐ道になった。道沿いには、可憐な花たちが咲き競っている。相棒の腕の見せ所である。そして、傾斜の緩やかな場所を選んで小休止である。やがて峪を右手に高く巻くようになって、炭焼き小屋跡と思われる場所で道が不明瞭となってきた。しかし、右手上に明瞭な踏み跡とテープを見つけて一安心である。
天候は相変わらずの霧雨模様で視界は利かない。おまけに風の音が木々を揺らしている。カッパを羽織っているので寒さは感じないが、やがて、尾根道が近づいたのか階段状の登りとなって、前方が明るくなってきた。高度計は既に900mを指している。そして、ガスの中に岩峰が見え隠れしながら現れ、ザレた道を一踏ん張りで、尾根道と出会った。「中道に出たゾ!」と、相棒に声をかけた。「こっち側が国見峠なんかなあ〜」と、北谷を覗いてみるが歩ける道は見つけれなかった。「とにかくここが中道なんで、御在所岳まで行こう」と、歩を進めることとした。
道は岩の間や林の中を縫うように続いていて、晴れていれば街並みが見渡せるであろう岩の上などに道は続いている。ガスは相変わらず風の音と共に吹き付けているが、シロヤシオの花はジット耐えているかのようだ。そして、短いハシゴを登った場所は、公園の端に着いたみたいだった。看板には、「ここから先は登山の服装をしている人以外は立ち入り禁止」と記されている。コンクリートの遊歩道が続き、案内板が建っている。朝陽台(あさひだい)という場所に着いたが誰もいない。 とにかく、国見峠への降り口を探さなきゃ〜と、頂上を目指す。と、道端に9合目と国見峠の案内板を見つけた。先ほどの案内板と同じく「・・・以外は立ち入り禁止」の注意書きが添えている。相棒と、とりあえず頂上まで行くか?と相談していると、三人連れが歩いて来た。「頂上まで行きましたか?」にも「霧で何も見えないので引き返して来ました」との事だった。「ここら辺りのシロヤシオは未だ蕾ですねぇ〜」と、シロヤシオ目当ての人たちだった。
レストランやカモシカセンタの脇を通り、石段を登ると『三角点』の大きな看板が建っていた。なにか放送が聞こえてきた。ロープーウェイは止まります・・という様な内容に聞こえた。まだ10時を回ったばかりなので「国見峠まで行って、裏道を降りようか?」と、ここで昼休とした。 国見峠への道は、とりつきはザレた滑りやすい道だった。小さな沢を渡ると間もなくで国見峠に着いた。相棒の目的は、峠を降った沢を頂上に直接突き上げる「地獄谷」にある。「とりあえず出合いの確認をしよう!」と、午後からの天気の崩れを考慮しての行動として上水晶谷を降ることとした。 相棒のストップの声は“撮影タイム”を意味している。ハルリンドウが咲いているが、目的の群落には程遠い。「陽が出ていないから、今日はダメかなあ〜」と、うらめしそうである。路は谷沿いに降りているが、藪に覆われて足元が見えない箇所もあり慎重に歩を進める。踏み跡と、テープを頼りに降る。間もなくで地獄谷の出合いに着く。「今日は此処までだなあ〜」と、誰にも出会わない山歩きの終わりとした。
帰路は国見峠へと登り返して“裏道”へと向かう。シャクナゲのピンクや赤の色が、新緑の木々の間に浮かぶ。峠からの道は岩がゴロゴロしている中に付いている。朝方の登路と違って、広い立派な道だ。また、浮き石も少なく整備もよく行き届いているようだ。しばらく降りると、「藤内壁へ」の案内板があるが霧で何も見えなかった。そこからは直ぐに藤内小屋の“こいのぼり”に出会った。 相棒が「コーヒでも飲む?」と、小屋の玄関先をお借りして小休止である。小屋主の佐々木さんの「スカイラインまで20分程です」の言葉で、小屋を後にした。平日のスカイラインは交通量も疎らなようで、充実の山歩きに足取りも軽く、間もなく朝方の出発点へと辿りついた。
ここで終われば、この山行記録は『藪日記』に載ることは無かった。しかし、帰宅後今日のルートを『山と高原地図』と25000図を見比べて再確認してみるが、納得がいかない。そして『鈴鹿の山風』さんのhpに載っている、ルート図の発見で『事件発覚』である。今回の私たちの登路は?一体、何処だったのか?
【中道〜国見峠〜上水晶谷〜地獄谷〜御在所岳〜一の谷新道】(2003年5月18日)
昨日の疲れが体の節々に残っているが、吹田ICから名神へと愛車を走らせた。目的地は鈴鹿スカイラインである。今日の目的は、先日は霧の為に確認出来なかった群落の花とルートだ。御在所山の家の前へ駐車して、中道へと歩を進める。すでに単独の人が三名先行して行った。快晴の元、ザレた道と岩塊が続く道を汗を拭いながら歩く。快晴の日曜日は、ロープーウェイが空中を走り始めた。 先に記したように、今日の命題は“一の谷新道(本谷)から中道の何処へと登ったのか?”の合流地点の特定にある。しかし、今回はデジカメが“お留守番”である。次々に現れる変わった形の岩峰は、それぞれ名前が付いている。また、道は整備が行き届いているので歩は進む。そして“キレット”と名付けられた箇所に着く。その景色に息を呑んだ。それは、そこが先日の合流点だったからである。先日私たちは、本谷からキレットへと上がっていたのだった。登山口からここまでの所要時間も、先日とほぼ同じである。
しばらく行くと上の方から“ドカドカ”と下山して来る、“そこのけ、そこのけ状態”である。この道は、降り優先の一方通行道路なのか?一定の間隔で2〜3名で降りて来る。どうも、ロープーウェイを利用して下山している人たちらしい。こんな道は一刻も早くパスしなくちゃ〜・・・と、先を急いだ。
そして、先日霧の中辿ったルートを、国見峠へと進む。もちろん、初めて見る周りの山々を胸に焼き付けながらの一歩一歩である。今日は国見岳をピストンして地獄谷を上がることとした。もう一つの目的のタテヤマリンドウは、既に中道から姿を現しているが、相棒が見たいのは“群落”である。しかし、4日前の霧の中と違って、陽を浴びて誇らしげな薄紫色の可憐な花は嬉しそうに咲き競っている。 地獄谷の出合いで中休として、hpの打ち出しを片手にして谷を上がった。路は、何度か沢を渡りながら高度を稼ぐ。踏み跡とテープに導かれての山歩きである。自然のシャワーを浴びながら、山頂直下と思われる場所で、第二の目的の“群落”に出逢った。観光客の歓声のする御在所の頂上(先日はこの頂上さえ確認出来ない霧の中だった)は、記念写真だけにして帰路へと付いた。そして“本当の一の谷新道”へと、踏み出したのだった。愛車に辿り着いた時間は、先日と同じ14時40分だった。
いや〜、立山リンドウの足の踏み場もない群落に出会った時はうれしかったじょ! おまけに、四国では高山にしか咲かないイワカガミがず〜っと咲いているのにも感激!! サラサドウダンも見たし (^_-)-☆ 昨日の荒地山でのロッククライミングの練習後の下山は急な岩階段も怖くなかったのに、高所恐怖症の克服の効果は一日も持たず、一の谷新道の尾根の下りはビクビクものじょ! トホホ (@_@;)
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