藪漕ぎの楽しみ

     

 

不入山〜久井谷〜折宇谷山

【アクセス】

 剣山スーパー林道の奥槍戸の手前(適当に?)

【不入山〜久井谷山〜折宇谷山踏破】(1998年11月1日)

 林道脇の笹の斜面を、踏み跡を辿り稜線を目指す山登り歴1年の自己流“中高年ペア”の私達が、徳島の友人の“山の会のグループ”の山行に同行する事となった今回の山行が、以後の私の山との“関わり方”を左右することになるとは、当時は知る由もない・・・

 車を降り、今日の山行ルートの地図を渡され身が引き締まる想いだ。手袋を履き出発だ。取り付きから、笹を掻き分けての登りで、数分で息があがりはじめた・・・後ろから「ペースが速い!バテてしまうぞ」の声「わしが先を行く」、友人の心ずかいか?・・・感謝!しかし、稜線は思ったより近かった。振り返ると“次郎笈”が、聳えていた(カッコイイ-!!)そして、新九郎山の奥に連なる三嶺への山波と、これから辿る“人の匂いのしない”藪に覆われた権田山へと続く稜線である。

 

 

 左手は、スーパー林道と槍戸川を挟んで、次郎笈〜剣山〜一の森の稜線が連なっている。そして、不入山は笹に覆われていた。「地元の人たちから“入らずの窪”とよばれている・・」とHPの山行記に書かれているが、霧に巻かれたら方向を見失いそうな尾根だ。“これだけの人が通れば、路ができる”と密藪の笹を突き進むメンバーの後から、遅れまいと必死についていく・・と皆が集まっている。大きな木にしるされた爪痕だ。聞けば先刻、獣の声が聞こえたとの事。この山域は、熊の棲息域だそうだ。暫らく進むと進路は南に向く。そこが久井谷山だった。

 

 久井谷山で小休止。「私達のグループは昼休みを取らないから、休みの度になにか食べるように・・」で、折宇谷山へと進む。冬を直近にした木々は色付き、葉を落とし、そして、ここに棲む生き物はみんな、厳しい冬を越える為に、その準備をしている。踏み跡は、折宇谷山の間近でトラバースしている処にさしかかる。時期が合えば“お花畑みたいな所だ”が、今は晩秋である。折宇谷山で中食を取る。もう、全行程の大半はこなした筈である。

 

 此処からは、前方のピーク(中内山)からの北尾根を、権田山の登山口のある、林道の端っこに降りるみたいだ。その北尾根は、今までに比べ歩き良く快適に進む。やがて、尾根を外れて権田山側へ降りていくと前方に荒れた林道が現れた。林道は、クネクネと曲がりながら、下降している。何回かヘアピンを曲がるが、そのうちに植林の中を真っ直ぐ降りる。先着組は後着の迎えの為、車デポまで林道を足早に進める。

 

 しだいに、林道はしっかりした道となって、傾斜も緩やかとなっていった。勘場谷に掛る橋に着く。快適な林道歩きは、路のありがたさを再認識させる。

 

 四季美谷温泉で、疲れを癒しながら振りかえる今回の山行は、“文明と引き換えに”私達が失ったものを“再発見”させる山旅だった。