刊行にあたり ―森に想いを込めて
 

私は最初の写真集となる『精霊の森 剣山「一の森」』を2009年に作りました。剣山[つるぎさん](徳島県)のお花畑にある森の大桂に魅せられて撮り始めたのがきっかけでした。

この度の写真集『精霊の森 森遍路』は、大阪で8年間過ごすうち、奈良県と三重県にまたがる大台ケ原[おおだいがはら]、前鬼[ぜんき]、台高[だいこう]などの山や森を、そして四国に帰ってから、愛媛県の石鎚山系[いしづちさんけい]、皿ヶ嶺[さらがみね]、小田深山[おだみやま]、さらに天狗高原[てんぐこうげん](高知県)、剣山などの山や森を、夫と共に遍路のように歩き撮り続けた写真で構成しています。

森に浸り、森の精気を感じ、癒されて、ファインダーを覗いていると、2005年に発症し、今も治療中のリウマチの痛みも忘れることができました。近年、生態系が壊れつつあり、森の花が減り絶滅危惧種が増えたり、鹿が繁殖し過ぎて森の木が枯れたりしています。森から流れ出た水が、里を潤し、やがて海にたどりつき魚を養う自然の循環がいつまでも正常に機能することを願っています。そして、諸事情で山や森に行けない方々にも、この写真集によって少しでも森を感じていただければ幸いです。

                          やの みちよ

                        

 

 発売日は、2013年10月31日です。