藪漕ぎの楽しみ

東の川(大台)で沢遊び

【アクセス】

 大台ヶ原へのアクセスは、いろんなルートが採れる。今回は、案内役の先輩を門真で拾ってのアクセスだったので、その先輩の道案内での大台行きとなった。吹田からは中央環状線で門真の駅前の待ち合わせ場所へと着く。集合時間には無事に会えた。「大東鶴見」から近畿道へと乗って、松原からは西名阪で柏原で降りる。

 R165号線から、県道30号線(御所香芝線)へと入り南下。R309号線(日本武尊白鳥線)に出会って、下市を目指す。下市からはR169号線なので、いつも使っている川上村への道である。

 相棒の写真教室でも何回かの大台ヶ原行きがあるが、西名阪の「針テラス」経由でのアクセスもあるようだ。この場合は、針ICからR369号線〜R370号線を使ったりするみたいである。写真教室の人たちは奈良の道に詳しいみたいである。

 帰路は時間が遅くなったので、橿原から南阪奈道を経由しての、いつものコースを採用した。

 

 

 

 

 

 

大台が原駐車場〜シオカラ谷(吊橋)〜滝見尾根(通行禁止)〜東の川(泊地)】(2005年6月4日)

 今回の山行は、今年定年退職した、会社の先輩の誘いで実行された。このようなルート(一部、沢登りのルート)は、waiwai隊だけでは実現不可能なルートなのだ。「ロープを持って行く」という事なので、その言葉に甘えさせていただいたのだった。待ち合わせ場所に、先輩は大きなザックで現れた。そして、前述のルートからのアクセスで大台の駐車場に着いたのは11時ころだった。半分は不安も入り混じった期待で、大台駐車場を出発した。
 netでシオカラ谷を検索すると、
“POちゃん(四国では“叶姉妹”で通っている)が、仲間と登っている”記録があった。もちろん私達はこのようなルートは辿らない訳なのだが、滝見道を辿ることは一緒である。

シオカラ谷吊橋 滝見尾根

 今日のシオカラ谷吊橋までの道は、以前、日出ヶ岳から大蛇ーへ歩いたおりに辿った道だ。20分ほどで吊橋に着く。頑丈な通行止めの標識がある奥には立派な道が続いていた。先輩は先日の“痛みが癒えていない、ふくらはぎ断裂?”とは思えない足取りでずんずん進む。やがて木の間越しに中の滝が見えた。ここはデジカメで撮影。「『中の滝』がもっと綺麗に見える所があるんだが・・」と、撮影場所を捜しながら降りる。ずんずん降りるのだ。やがて、前方の視界が開けた場所に出た。相棒は、カメラを出さないで、給水を採ったのみだ。

中の滝 西の滝

 再出発後すぐに「ちょっと尾根を外れたみたいなので、上り返すから・・」と、休憩なしでの歩きだ。降りるに従い、やがて沢音が聞こえて来た。ロープが架かっている場所を降りると、その直ぐ先が谷底だった。今までとは違って明るく開けた景色だ。岩に腰を下ろして、おにぎりを頬張り今日の泊の場所まで先を急ぐ。が、ポツリポツリと雨が落ちてきた。大岩で埋まった谷を縫って降っていくのだが、慣れない沢靴を履いている相棒は苦戦している。

先が思いやられる テント場

 家の大きさほどもある岩がゴロゴロしている中を右へ左へと降りる。「今日は水量が少ない。ここなんかも、以前は渡れなかった」というものの、相棒が通過するのには苦労する岩が次々に現れる。やがて雨脚が大きくなってきたが、先輩は「もう直ぐだから」となおも進む。沢筋に降りてから1時間余りで泊場に着く。
 急いでカッパを羽織った。まずはビールで乾杯である。「去年の台風で水が流れたんか、ここはこんなに掘れてなかったんじゃが」と、泊まり場の整備と焚き火の準備である。相棒は撮影場所を探しに出掛けた。

 

 

 

千代の写真

 

 ツェルトを張り終え、焚き火の薪を拾い集め終わると、火を点けるのだが湿った木々は燃え点かない。結局、メタを使い果たしてしまった。焚き火を諦めて、先輩は釣りに出掛けた。実は私も一緒に釣りを楽しむ予定だったのだが、今日出発後、直ぐに竿をザックに詰め忘れたのを思い出したのだった。前夜の内にザックに詰めておけば良かったのだが・・・「車のトランクに忘れてきた!」と言った時の、先輩と相棒の呆れ顔は言うまでも無い。

 雨足は強くなったり弱まったりしている。テン場は高台にあるので安心なのだが、明日の行程が心配である。しばらく辺りの景色に浸っていると、あまごを手にした先輩の嬉しそうな顔である。

テント場から中の滝 釣りをする先輩先輩が釣ったアマゴ テント場近くに咲く白い花
 暫らくして、先輩が帰ってきた「大きいのを逃がしてしまった」と悔しそうである。「実は、一本目が折れて二本目にハリスを括って釣っていた・・」とのことで、「潜られてプツン」だったそうである。そして、夕餉の準備にかかった。先輩の大きなザックからは、大きな鍋まで出て来た。メインディッシュは先ほどのあまごのムニエルである。そして、今夜の鍋は“きのこづくし”である。先輩の山行(登攀)の話は、何時聞いても“嫌味”がない。誇るべき山歴(最初のヒマラヤ行き・・誇るべき初登頂の登攀隊でトップを務めながら凍傷で下山を余儀なくされる・・・での無念の経験や、マッキンリーへ隊長として迎えられ、無事全員登頂を果たしたこと等など。私の知識や経験では、付いて行けないこともある(当然の事ではある)のだが、高校の登山部の指導をしていた時期に会ったという、清家先生の名前が出て来たのには驚きだった。夜が更けるとともに身体に染み入る酔いが心地良い。酔いが身体を包む頃には、シュラフカバーに潜り込んで眠る夜を、ツェルト毎、闇が包んでくれた。

 

東の川(泊地)〜東の川探索〜千石ー尾根〜大台が原駐車場】(2005年6月5日)

 夜中中、沢の音が身体に伝わってきていた。幸いな事に、夜半からは雨の訪問はなかったようだ。ツェルトから這い出て、朝食の準備だ。手際良い先輩の手で、夕食の残りのご飯で朝食の準備が始まった。昨日は上手く焚き火に火が点かなかったのだが、先輩が挑戦している。昨晩の風で乾いた木を拾って、種火にくべる。私のメタ(実は、昨夜私のメタは全部は使っていなくて、二個は残していたのだ)で、火が燃え上がったのは笹だった。バチバチと音をたてて小枝に燃え移った。こういう時は相棒も手伝うのである。

 

やっと火が点いた焚き火 木の根ってすごい! こんな所降りるの〜 ロープいらないけど一応持って行くって言うけど・・ 

 さてロープ(60m)とカッパを持って、先輩の「少し降りるか?」の言葉で、不安顔の相棒も重い腰を上げることとなった。垂直に降りるような巻き道を降り。所々で釜を覗きながら、右へ左へとルートを採る。やがてロープが架かっている大岩に着いた。しかし、ロープは岩の上である。先輩はフリーで登るみたいで「よっちゃん(先輩はこう呼ぶ)は、このロープで確保して登る?」とアクロバティックに登って行った。降りもまた大変だった「30cm毎に足がかりがあるから、後ろ向きに降りたらいい・・」の言葉なのだが、ドキドキしながら降りたのは言うまでもない。そして、このような所は、相棒は繋がれたままである。

 

ボルダリング? ザックは持って貰っているのでロープは持たなくちゃ! 岩の隙間に入れるかしら〜 なんとかクリア〜 最後の釣り場

 次々に現れる大岩を縫って、ある時は潜りながら大きな淵に着いた。ここで、「四国の“釣り師”に釣ってもらおう」との先輩のはからいで、釣りタイムである。しかし、結果は散々なこととなった。当たりが無い。餌の“みみず”が無くならないのである。こういうこともある。相棒の撮影タイムでの、その出来については、私は口を挟む資格は無いのである。

朝のシオカラ谷と淵(落ち葉が回っているんだけど・・)

 残念な結果に終わった“釣り”はさておき、テン場に戻って撤収の準備である。昨日と違って、乾いた岩なので快適に登れるのだが・・。相棒は「登山靴と違って、よう滑る」と、半ベソ状態だ。先輩に続いて、私もスイスイと昇った岩も同様で・・。先輩は相棒をロープで繋いで、大岩の上で合図を送る。全く腰が重い相棒である。《♪あきれて〜物も言えな〜い♪》である。

 やがて“西の滝”が眼前に顕れた。豪快に落ちる滝をバックに記念撮影である。そして12時過ぎに、西の滝をを望む岩の上に着いた。ここで、休憩タイムである。後を振り向けば“中の滝”の下半部が豪快である。この滝は落差245mもあるそうだ。その下の部分しか姿を現していないそうだ。「この滝にもルートがあるんですか?」に、「うん、右側のクラックにルートがある」との事なのだが、誰が昇るの??  だ

帰りは自分のザックは自分で ロープは手放せません 西の滝(ここまでロープの世話になりました) 先輩ありがとう 中の滝

 行動食のおにぎりを頬張って、12時半ころには再出発である。昇りのルートは、降りとは違い、千石ーの尾根を昇る。中の滝を見ながら、尾根とは呼べないような急な崖状の場所に踏み跡が続いていた。鎖やロープが掛かった場所を登るのだが、鎖が掛かった2m程の岩の箇所で相棒が「滑りそうで、イケン!」と、立ち止まってしまった。ここは先行していた先輩の助けを借りて脱出した。暫らくで、iwahigeさんサイトの記述にもある鉄の階段の箇所だったがこちらは無事クリアである。

 中の滝 千石ー尾根を登る 上北山村の山々 足が重いけど、気持ちがいい道 シロヤシオ咲く

 

 先輩は「ここを30分で昇ったことがある」というが、千石ーの展望所には2時間近くかかったことになる。ここで、小休止だ。深く切れ込んだ谷の底を見ることは出来なかったのだが、昨日降りた尾根や2日間楽しむことができた峪が眼前である。

 展望所からは、穏やかな昇りだった。“シロヤシオ”だろうか?綺麗な木々の花々の競演である。「ここには撮影に来たいねぇ〜」と、暗に「来年は連れて来て〜」との言葉である。全く大台らしい林の中に踏み跡が続いていた。

 

 そして、15時半ころに昨日の駐車場所に帰り着いた。

 

 


 先輩には三脚を担いで貰い、時にはザックも担いで貰い、重い身体をひっぱり上げて貰い、夕食・朝食は作って貰い、いたれりつくせりでした。<(_ _)>
それにしても、身の重さと、技術のなさを思い知った2日間でした。ほんと、泣きそうになったんじょ!

 写真は、ハードな所だったので残念ながらあまり撮れませんでした。これじゃ〜山岳写真家にはなれないわね〜(^^ゞ