Ephemerose.
ヨーロッパの、ある辺境の地に住まうヴァンパイアの血族。
世界結界前から、人間はおろか他のヴァンパイアとすら交じることが少なく、
半ば非難を込めた『彼らはつかの間(エフェメラ)にしか咲かない薔薇(ローズ)のようだ』
との言葉からそう名乗るようになった。
正式な名称は非常に長い上に、一族の者しか発音できないほど複雑らしい。
一族の特色としては、薔薇を好み、外見が老いにくい、生涯一人の相手しか愛せない(恋愛感情として)
などが上げられる。また、十字架を身に付けることが多い。

長い時を経て、来訪者としての力はだいぶ弱まっており、優秀な能力者はそれほど多くない。
ただ、一族の中でも”当主”と呼ばれるものだけは、
自分の領地内にある”封印の森”(ゴーストタウンに当たるもの)を封じるため、
それなりに強い能力を求められる。

結果、当主は酷い狂気に犯されることがしばしばあり、出来るだけ幼いうちに地位を与えて、
狂気の兆しが見え始める頃には棺に封じられてしまう。
セオドアが弱冠五歳で海辺の城の当主となっていることは、実は一族の中ではそれほど珍しいことではない。
また、衰えてきた能力を、少しでも維持するためにしばしば親近婚が行われるのも、狂気に拍車 を掛けている。

上記の理由から、ヴァンパイアの中でも特に排他的な考えが強く、
一族以外の血を受け入れることは少ない。
しかし、セオドアたちの父親が人間の女性を娶ったことで、
少しづつそれも変わりつつある。
”他種族とももっと親しく交流すべきだ”という意見もあり、
それを見極めるために、ブランシェットが学園に入学したと言っても良い。
ただし、争いを避けるためには人間と関わるべきではない、という考えは相変わらず根強い。




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