ノロウイルスによる胃腸炎

ノロウイルスについて

正確には、ノルウォークウイルス(Norwalk virus)といいます。
ウイルス学的には、カリシウイルス属に属し、JawetzのMedical microbiology 23版のよりますと、この仲間には、4つあり、
@ノロウイルス( ノルウォークウイルス(Norwalk virus) )
Aサポウイルス
Bラゴウイルス
Cヴェジウイルス があり

@とAは、人の関係したウイルスで、Bはウサギの出血病のウイルス、Cは豚や猫の小庖疹や、クジラ、アザラシ、魚の海洋性生物のウイルスであるとされています。

近年、人に感染性の胃腸炎をおこすことで、有名になりました。

ウイルスの特徴
(以下は、JawetzのMedical microbiology 23版の記述から引用します。。)
直径27−40nm(ナノメーター)の粒子ですが、世界中に分布し、特定の地理や集団には
関係がなく、非細菌性の胃腸炎の原因ウイルスとしては、もっとも重要で、アメリカ合衆国では、年間2300万人もの感染者があるようです。感染はあらゆる季節でおきますが、やや寒冷期に多いとされています。人への感染経路は、多岐にわたり、水や食べ物を介する感染や、人から人への感染があるとされています。人へは、わずかウイルス粒子10個たらずで感染が成立してしまいます。
特徴の1つに、ウイルス粒子は非常に安定性があり、人のまわりの環境下で、死滅せずいろんな物質に付着しているとされています。10ppmの塩素で死滅せず、60度の高温下でも、生き延びるようです。このため、物→手→口といった経路で容易に感染します。

症状と経過
ウイルスに感染してから発症までの潜伏期は、24−48時間で、発症は急です。
このため、朝は元気に学校に行ったのに、昼に急に嘔吐した、というようなことがよくあります。おもな症状は、下痢、吐き気、嘔吐、微熱、腹痛、頭痛、そして全身倦怠感です。
ロタウイルスにくらべ、嘔吐の頻度が高く、脱水がとくに幼年者や、高齢者では問題となります。適切な治療が行われれば、経過は良好なことが多く、後遺症はほとんどありません。


診断と受診について
ノルウォークウイルス(Norwalk virus)の検出は、臨床出現期と一致します。
つまり、症状がある時期に、本院を受診して検査をすると陽性にでます。本院では、
感染しているかどうかを、5分ほどで判定できますので、急に吐き気や嘔吐をきたした方は、
すぐに受診されるとよいでしょう。

治療、予防
嘔吐と下痢がひどいと、体から急激に水分が失われ、倒れたり、めまいがしたりします。
とくに糖尿病や、脳梗塞の既往のある方は注意してください。
このため、点滴等、体に維持液を補給する治療が必要になります。
適切な医療がおこなわれれば、回復は早くなり、仕事等への復帰もはやまります。
ウイルスに対する抗体は、病期から上昇しますが、その効力は短期的で、ワンシーズンは
かからずにすみますが、時間がたつとウイルス抗体価は減少し、1〜2年後の次の流行期には、再び感染することもまれではありません。
予防は手洗いをきちんと入念にすることです。とくに、食事前は必ず手洗いをしましょう。


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