熱中症について

今年は、7月の「海の日」あたりから、連日連夜、35度を上回る気温が続き、かなりこたえている方も多いと思います。このため、私たちのからだと熱について、ある程度は知っておく必要があります。

私たちの体から、熱を逃がす方法には、大きく2通りの方法があります。
@自然な熱移動、これは、私たちの体の体温は通常35度から36度ですから、外気温が、35度以下であれば、その「効率」はともかく、理論的には、体温の高い「体」から外界に「熱」は逃げます。このため、気温が30度以下なら、ほかっておいても、私たちの体からは、「熱」は放射され、私たちが、体温上昇してしまうことは、あまりありません。しかし、最近のように、気温が35度はおろか36度、37度ともなると、気温のほうが体温より高いわけですから、熱は容易に体から、逃げていきません。このため、体に熱が蓄積する状態ーいわば、熱中症になりやすくなっています。

A庭に「水」をまくと、その「水」は蒸発しますが、この時に「蒸発熱」を蒸発する物体から奪います。みなさんも、注射をするときに「消毒用アルコール」で皮膚をふいてもらうと、「スー」と冷たい感じが残ることを経験していますね。あれは、揮発性の高い「アルコール」が蒸発
(気化)するときに、みなさんの皮膚から蒸発熱を奪うからなのです。私たちの体も、「高温下」では、汗を出して、この汗が蒸発することにより、私たちの体から、この「気化熱(蒸発熱)」が奪い、体温を下げようとしています。

この「汗の分泌」は、体内の「水分量」とNa(ナトリウム)の濃度、その他の塩分の濃度の影響を大きくうけます。大量の「汗」をかきますと、水分とともに、Naを含めた塩分も汗とともに喪失し、自分では感じていなくても、「水」とともに、かなりの「塩分」の濃度が低下していることが、よくあります。正常人のNaの血中濃度は、135〜145mEq/L くらいで、ほとんど140mEq/Lで一定です。、50歳くらいまでは、このNa濃度は、よほどのことがない限り、通常の発汗程度では、139mEq/Lを下回ることはありません。しかし、今年は、だるい、頭痛がある、等のなんらかの異常をうったえて来院された方でしらべてみますと、138mEq/L以下であることが、たびたびあります。これは、炎天下でクラブ活動をしていた中学生でも、例外ではないようです。とくに、80歳以上の方で、2月からのNa濃度のデーターがある方の、推移をみますと、2月に、140mEq/Lだったものが、6月には137mEq/L、そして暑くなった7月には135mEq/Lと、正常値ではあるものの、かなり限界に近づいており、わずかなことで、熱中症になりうることがわかります。しかし、本人はさほどの口喝感も訴えず、塩類入りのの水分を十分にとったり、していないことが大半で、ここに大きな「落とし穴」があります。

        熱中症かな?と思ったら
まずは、部屋を冷却し、氷枕等で、頭部、脇などを間接的に冷やしましょう。そして、まず、
ペットボトルでよいですから、水分を十分に与えてください。吐き気や、高熱があるとき、頭痛があるときは、すみやかに医療機関を受診してください。

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