骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

近年、よく使われるようになった言葉です。通常、医学では「骨粗鬆症」とは、加齢にともなって、骨がもろくなり、骨折しやすくなる現象を、こう呼んでいます。特に、閉経後1〜2年後の女性におきる骨粗鬆症が、大きな問題となっています。本人は、この時点で特に異常を感じたりしませんが、体の内部の骨は、静かに変化をしているので、10年後、路上で転んだ後、どうも背中が痛いので、最寄りの整形外科を受診したら、「背骨(胸椎)の圧迫骨折を起こしていますよ。」といわれ、その重大さにはじめて気づくということが多々あります。もちろん、いったん骨折を生じれば、整形外科の先生にお世話になるわけですが、こうなる前に、内科で、検査をうけますと、
自分の骨が今どういう状態になっているのかがわかり、対策をたてることができます。いくら、若いときに多くのカルシウムをとったり、運動をしていても、加齢による骨の老化は、ある年齢以降は避けられず、いままでなんともなかったような、簡単な転倒や、よろめきだけでも、容易に骨折になってしまうわけで、「自分は元気で大丈夫と思っていたのに!」といって骨折に至る例はけっしてまれではないようです。
           
             骨粗しょう症はどうやって調べる?
現在、骨粗しょう症は、おもに2つの方法で測定、評価されます。
1.骨の量(骨塩)を、直接測る。通常は、手の骨のレントゲン写真をとって、
これの密度をはかるというもの。
2.骨がどのくらいの速度で壊されているかを骨代謝マーカーという数値で測定する。骨は私たちの体で、つねに古い骨は壊され、新しい骨が作られているので、
この崩壊速度が速いと、骨粗鬆症になるわけです。この骨代謝マーカーは本院で、尿または血液で簡単に調べることができます。
1.または2.の方法で、骨粗鬆症が科学的に判定可能です。

            
               骨粗しょう症の治療は?
今までは、骨折が生じてからこのような検査をして、その結果が悪ければ、
骨粗しょう症として治療してきましたが、2002年ごろより、骨折を生じる前に、このような検査をして、骨粗しょう症になりそうな人には、骨折前に、積極的に
治療をしようというような流れに移行しつつあります。
現在、骨粗しょう症に有効な薬剤は、大きく分けて次の2つがあります。
(1)ビスフォスフォネート剤、
  わかりやすくいえば、骨の分解速度を遅らせる薬です。一般には、
  フォサマック、アクトネル、ベネットなどの名で処方されています。
  通常は、毎朝起床時に1回内服し、一度内服したら、寝たり、体を横にしたりできません。最近は、週に1回の内服でよい薬も登場してきました。
(2)女性ホルモン剤
  主に婦人科の更年期外来で処方されている。
女性ホルモンは、わかりやすくいえば、骨の老化や血管の動脈硬化を防止する効果がありますが、反面、いろんな副作用があり、骨粗しょう症の第一選択薬としては、難しい面がありました。
新しい治療薬として注目されているのが、2004年5月13日に発売された
エビスタという薬で、これは、女性ホルモンの骨に対するよい効果をもちながら、乳房や子宮等の女性生殖器に悪い影響がない点で、今後、骨粗しょう症の治療の主流になる可能性があります。
くわしくは、本院で御相談ください。


                     
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