進行性核上性麻痺

脊髄小脳変性症と同様に、変性疾患という疾患群に属する病気です。通常、中高年に発症し、その名の通り、
除々に進行します。運動失調つまり、歩いたりするときにふらついたり、ころびやすいとか、手足の動きが
拙劣(不器用)になり、バランスのとれた滑らかな動きができないことは、
脊髄小脳変性症とよく似ていますが、
この病気では、目、つまり眼球の運動がおかされることが特徴的です。進行したケースでは、上下左右すべての
方向に目(眼球)を動かすことができなくなる場合もありますが、病初期には、目を上の方へ動かすことができず、
(上方注視麻痺という。)このため、患者さんは上をみるため、顔を上にむけて生活するようになります。
しかし、このために逆に自分の足元を見ることができにくくなり、下り階段の歩行が困難になったり、足元の障害物が見えなかったりして、よく転倒が、おきます。
進行すると、体の揺れやふらつきがひどくなり(体幹性失調)、立っていられなくなり、眼球運動がほとんどできなくなるため、極端に視野がせまくなり、ほとんど介助なしには外出できなくなります。

MRIという検査で、患者さんの脳をみてみると、中脳といわれる部分、とくに被蓋(ひがい)という部分に異常がありこの付近の神経構造がおかされることは、おおむねわかっていますが、原因についてはいまなお不明で、
脊髄小脳変性症に準じて治療されます。
この病気では、とくに患者さんの転倒に注意してください。
     
                            
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