風神の娘(こ)
絵と文:都筑信介
(本作品はフィクションであり、登場人物等の名称はすべて仮名であり、実在しません。)
今年も、新緑の季節をむかえたなあ、と思ったら、もう南の方では、梅雨入りとか、今日も雲空ですが、あまり、自宅にじっとしていると、運動不足になるし、
柴犬のエマちゃんが、散歩に行きたそうなので、出かけてみることにしました。今日は、水曜日で、敦子さんのお店(ケーナイン、アツコ)はお休みなので、
電話機をてにしたら、エマは、もう敦子さんのところに電話をすることがわかったのか、こっちむいて、ニコニコしています。
外は、気温はそこそこですが、蒸し暑く、空はやはり、曇り空です。しばらくは、そよ風に吹かれて散歩していましたが、突然、風向きが変わったとおもったら、
急に「つむじ風」でしょうか、小枝がゆれ、一気に嵐のような風が吹き荒れました。そのとき、「ドッシャーン」という何かが落ちるような音が、先の方で
聞こえました。見に行ってみると
そこには、見たこともない、一人の風変りな「女の子?」がひっくり返ったように、座っていました。
「いてて、しまった雲の切れ目から、地上に落ちちゃったみたいだ」
「あなたは?」と敦子さんが尋ねると、
「私は、風神の娘(こ)で、父ちゃんは、京都の有名なお寺の肖像画にある、あの「風神雷神図屏風」にある風神なのよ。
「どうしたの?」
「さっき、父ちゃんに遊んでばっかりいるからといって、怒られて、逃げたら、ここに落ちちゃった。」
「大丈夫なの?」
「まあ、あたいは風神の子だから、風を起こせば、また、空に舞い上がると思う」
「それ~」
最初は、そよ風」でしたが、交通整理をやるような、スタイルになったと思ったら、、急に横風がふいて、その娘は、いっしょに飛び去ってゆきました。
もとのページにもどる