夏祭りのころ

                                                                   絵と文:都筑信介

(本作品はフィクションであり、登場人物等の名称はすべて仮名であり、実在しません。)

今年は、雨が多く、梅雨空とはいうものの、世の中の停滞感もあるせいか、ぱっとしない気候だなあ、と。「ほんとに、明るい日本の夏は来るのかしら?」といった感じです。そんなことを考えていたある日、敦子さんから、電話がありました。
「今日は、午後から、晴れるみたいよ、偶然だけど、今日は、駅前の商店街で夏祭りよ、行ってみない?」
てなわけで、この夜、二人は、ゆかたをきて、久しぶりに、駅前の商店街を歩いてみました。久しぶりにみる「夏祭りの風景」。



横の公園では、子供たちが、線香花火を、キャー、こっちのほうが大きいだの、玉が落ちちゃっただの、たのしんでいるようです。
「子供のころは、ああやって、はしゃいで、花火をしたわね。」
「そうだな、子供のころは、何をやって楽しかったもんな、今の子供たちの顔をみると、昔も今も何にもかわっとれせん(名古屋弁:昔も今もなにもかわってないねえ)」
「あすは、竜神池で、花火大会があるそうよ、なんか天気もいいんだって!」
「そうか、ひさしぶりに、、夏のイベントか?いってみるか?」



竜神池は、結構な賑わいでした。天に、パーンという音とともに、黄色やピンク色の、花火の祭典。とてもきれいで、ひさしぶりにみる
「日本の夏」茶屋にすわって、花火を見ながら、食べるお団子は最高です。
茶屋のお姉さんが、「いらっしゃいませ、きょうはいい日になりましたね、」と

しばらく、花火の光が夜空を彩って、もう残りわずかかな?と思って、空をこころ惜しそうに、眺めていたとき、ある歓声がわきおこりました。
「みて、竜よ、空を泳いでるわ~」



「ほんとだ、ここは竜神池だもんね、」
ほんの、わずかの時間でしたが、竜はみんなにご挨拶してくれたようでした。

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