茶摘みの季節

                             絵と文:都筑信介

                          (本作品はフィクションであり、登場人物等の名称はすべて仮名であり、実在しません。)

夏も近づく八十八夜♪野にも山にも若葉が繁る、ということで、章夫さんが新茶を求めて、ある「お茶屋さん」に立ち寄ったら、店の中に、こんなパンフレットがおいてありました。「茶摘みを一度体験してみませんか?○○茶園、おひとり¥3000、おみあげ付き」
章夫さんは、そうだな、天気のいい日に一度いってみるか~」と、
夜、パン屋が終わった敦子さんに電話をしたら、快く「いくいく、でもアンナちゃんつれてくなら、章夫さんは、実質は茶摘みできないわよ?」
「まあ、そんなことなら、アンナと草むらを散歩しているからいいよ、雰囲気だけでも味わえたらいいから」
ということで、ある晴れた日、アンナを連れて、○○茶園にいってみました。



「いらっしゃいませ?茶摘み体験ですが?」
「はい、犬がいますので、一人だけでもよいですか?」
「はい、けっこうですよ。だいたい1コース2時間くらいですから、今、案内しますね」
と声をかけてくれたのは、茶摘み姿のきれいなお姉さん。
敦子さんはやる気満々です。



「さあ、こうやって、茶の葉をちょっとずつ、むしっていくのよ、いい?」
「思ったより、時間のかかる大変な作業ね。おいしいお茶が飲めるくらいに頑張ってむしらないと~」
「普段は、何かお仕事されてるの?」
「ええ、パン屋なんです。」
「そうなんだ、パン屋さんなんだ、毎日おいしいパン焼くんでしょう?いいなあ~」
「まあね、売れ行きはそこそこだから、毎日、決まった数しかやかないけどね。」
「焼いてると、いいにおいでしょう、あこがれるなあ~」
「お茶も一緒じゃない、毎日いい香りのなかで、仕事できるなんていいと思うわ、」
「ははは、でも、よかった、いいお友達になれそうで?」
「うん、わたしも、きてよかった。」
とずいぶん話が弾んだのでした。



「ずいぶん、お待たせ。アンナちゃん、お散歩してきた?」
「こちらは、そよ風にに吹かれて、とても気持ちよかったぞう」
「いま、摘み取った葉でいれたお茶よ?」
「うん、これは、特上だね、とてもおいしい。」
そういえば、ここから、雄大な山が見えるわね、まるで富士山みたい?」
「そうでしょう、ここからは、とても富士山は見えないけど、あの山は、似てるから、みんな「茶室富士」って呼んでるのよ。
と茶園のお姉さん。
「ははは、それはいい名前だ」
と、久しぶりに、初夏のひと時でした




   どうでしたか、この季節になると、おいしい新茶が、あちこちで出回りますね。それぞれ、「うまみ」に特色があって、甲乙つけがたいですね。
お茶は、健康にもいいとされています。ノーカロリーですからね。たくさんのんでのも大丈夫。

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