心不全


みなさんは、「心不全」と聞くと、とても重症で、大病院の集中治療室にて、加療している患者さんのイメージがあると思います。たしかに、心臓が機能不全に陥ったわけですから、ひどければ生死に関わる問題であることは、否定できません。しかし、「心不全」といっても、程度はさまざまで、実は、単なる「高血圧」で通院している方でも、軽症ではありますが、心不全ということは、意外に多いのです。今日は、心不全についての最近の知見や考え方をわかりやすく、解説してみようと思います。

心不全の原因は、さまざまです。心筋症といって、心臓の筋肉が徐々に弱り、心臓の収縮力が低下していく病態もあれば、心臓を栄養する血管がつまり、心筋梗塞がおきて、心臓の収縮力が低下して、機能不全となるような場合もあります。このように、原因がはっきりしていて、循環器内科の先生に定期的に診察していただいているようなケースは治療も早期からおこなわれるでしょう。
しかし、最近の心不全は、もっと身近なところにあり、多くの原因は、高齢化による心臓自体のポンプ機能の低下や、心臓の弁の異常で、心臓の機能が落ちてしまうことにあります。

最近では、心臓の超音波検査などにもとずいて、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)、駆出率が低下した心不全(HFrEF)、そしてこれらの中間(HFmrEF)に分けられて、治療方針をたてていく
ようになりました。(日内会誌 111:206~212、2022)
心機能が比較的保たれているような場合には、安静時の普通の生活では、とくに症状はありませんが、少し、負荷がかかったような場合、たとえば、階段を2階まであがっただけで、胸がどきどきしたり、坂道を上がっただけで、とても息切れがひどくて、休まないといけないなどがでてきます。
あるいは、咳やたんが長引いてちっとも軽快しないなど、が実は、肺の病気ではなく、心不全が原因であったということがあります。
このように、患者さんだけで、診断をつけることは難しく、まずは、かかりつけの先生に相談してみましょう。
今回は、ここまでにしますが、この続きは、今の治療薬などについても、解説してみたいと思います。


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