夏祭りのころ

                                                          絵と文:都筑信介

                  (本作品はフィクションであり、登場人物等の名称はすべて架空であり、実在しません。)

章夫さんは、アンナちゃんと二人暮らし(?)です。今年も夏です。今日は、駅前の公園で、恒例の夏祭りが、夕方から始まるとのことで、章夫さんは、敦子さんを誘って、アンナちゃんと3人(?)で、出かけることにしました。ここ2年ほどは、疫病の流行で、夏祭りは中止されてきたのですが、今年は久しぶりに開催されることになりました。夕暮れとともに、夜店の明かりが映え、子供たちの声と
流れている七夕の歌が、賑わいを盛り上げていました。遠くから眺めると、夜店の明かりの連なりは、まるで「天の川」のようです。


「久しぶりに、夏らしい風景ね」
「そうだな、ずいぶん、長いこと見ていなかったような気がする。」
「あちらに、なにか、人だかりができているわ?なにかしら?」
「なんか宇宙列車なんて描いてあるぞ、見に行ってみよう!」



「こうやって、火星人たちは、さよならをいいながら、飛んできた宇宙船にのって、遠く宇宙のかなたにとんでゆきました。」
「パチパチパチパチ」
こういって、子供たちの前で、紙芝居を演じているのは、髪の長い、きれいなお姉さん。
「なつかしいわね、こうやって、紙芝居をやっているのね。」
「そうだな、こうやって、目の前でみてみると、デジタル画像に慣れた今でも、とても新鮮だね。」
「ところで、横で笑ってみているの、猫田さんじゃないの?」
「ほんとだ、シャツは三毛猫みたいだ。あいかわらず、猫みたいなひげをはやしてるぞ。」
「キャー、ここは、本物の宇宙人までいるぞ~」とこどもたちが、猫田さんをみて、叫んでいます。

にぎやかな声が地上でこだまするころ、天の雲の上では、



そう、織姫と彦星がデート中でした。
「地上では、ずいぶんにぎわっているわね」
「そうだな、例のアンナちゃんもいるぞ、ずいぶんたのしそうだ。よかった、よかった」
「そういえば、雷神のピカゴロが、遊びに来るようなことを言ってたから、来ないように言っとかないと!」
「そうだった、雷雷ネットにメッセージいれておかないと。!」




どうでしたか?天空の世界でもデジタル化がすすんでいるようですね。でも、やっぱり、楽しいのは、お姉さんが語る「紙芝居」ですよね。

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