春の日の出来事
                                                           絵と文:都筑信介

                    (本項は、フィクションであり、登場人物等の名称はすべて架空であり、実在しません)

章夫さんは、アンナちゃんと二人暮らし(?)です。だいぶ暖かくなり、外の風が心地よく思えるようになりました。章夫さんはアンナちゃんを連れて、春の日のお散歩です。
今日は天気がいいから、町の中心の公園まで行ってみようかと。しばらく行くと、見慣れた顔の人が、向こうから歩いて来るではありませんか。
それは、敦子さんでした。駅のスーパーで買い物をした帰り路に、章夫さんとあったのでした。
「やあ、敦子さん、ごきげんよう?」
「章夫さん、お元気?だいぶ暖かくなったよね。」
「そうだな、まだちょっと朝夕は、ひんやりしているけどね。」
「ねえ、ちょっとこれみて?」
「え、それ何?」
そういって、敦子さんが持つレジ袋のなかを覗いてみると、」
「あ、これ、青虫じゃないの?」


「そうなのよ、キャベツをかったら、ついてきたみたい。。」
「そうか、それなら、自宅のプランターに移してやっては、どうかな?」
「それは、いい考えだわ。」



「さあ、マリーゴールドの森の中に、入れてやったぞ。気持ちいいか?」
「でも、この子、食欲旺盛みたいよ。このマリーゴールドの葉っぱ全部食べちゃうかも?」
「まあ、その時は、その時だな~」
章夫さんは、細かいことは、全然気にしていないようでした。



そうして、ある日、プランターを見に行ったら、青虫は見当たらず、代わりに立派な「さなぎ」ができていました
「けっこう、早くさなぎになったなあ、どんな蝶になるんだろ?」
そんなことを考えていて、7日ほどたってしまいました。
そして、章夫さんがある日、ふと見にいってみたら、もう、さなぎはもう「もぬけの殻でした。
きっと、立派な蝶になって、旅立っていったんだな~。」



それから、3日ほどたったある日、庭にいた章夫さんに、敦子さんが声をかけました。
「章夫さん、頭のてっぺんに、なにか止まっているみたいよ。」
それは、大きな青色のアゲハ蝶でした。
「そうか、主人の顔はわかっているんだ。すごいな~」
そんな、春の1日でした。

どうでしたか?意外と昆虫とはお話ができるかのしれませんよ。

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