クリスマスのころ
                                                絵と文:都筑信介

                          (本作品はフィクションであり、登場人物等の名称は、すべて架空であり、実在しません。)

章夫さんは、アンナちゃんと二人暮らし(?)です。クリスマスを三日後にひかえた夕方、章夫さんは、ベーカリの敦子さんに電話をしました。
「敦子さん、ひさしぶり。今日はそろそろ仕事終わり?」
「ああ、あきおさん、もう外は真っ暗で「こんばんは」ね。?もう、店はクローズで、戸締りの段階よ。」
「今年は、クリスマスをひかえて、○○公園に、出店がいっぱいでているらしいよ。アンナを連れて、ちょっと夜の散歩に行ってみようと思ってるんだけど?いっしょにいってみないか?」
「アンナちゃんと、夜のお散歩ね!いくいく。」
というわけで、章夫さんは、もう暗くなった夕方、アンナちゃんを連れて、敦子さんのお店に足を運びました。



店の前には、大きなクリスマスツリーが飾ってあり、黄色や白色のまばゆい光が、時間とともに、チカチカと点滅していました。
「アンナちゃん、ひさしぶり~。元気だった?」アンナは、よろこんで、敦子さんのところへ、走ってゆきました。
「わあ、アンナちゃん、毛がいっぱいで、暖かいわね、これならコートはいらないわね。」
「きょうは、いろんなところが、イルミネーションできれいだぞ~、みにいってみるか~?」



しばらくいくと、いろんな出店が、「ところ狭し」とならんでいました。
「わあ、みんなとてもきれいね。どこのお店も、きらきらの照明で、いろんなものが「宝石」のように、みえるわ」
「そうだね、こんな、かがやくものをたくさんみるのは、久しぶりというか、あまり、みたことないなあ!」
「昔と違って、LEDがすごく多用されているからかな、、まるで「お星さま」の国にきたみたいだわ~」
「気分は、きょうは、私は星の王女さまで、章夫さんは、「家老」?ははは。」
そんな会話がずっと続いてゆきました。四つ角を曲がると、



「あ、サンタクロースと、プレゼントを入れる「長靴」だ。」
「なつかしいわね。その昔、子どものころは、これにお菓子が入っていると、とてもうれしかったわ」
「うん、僕にも、いろいろ思い出がある。」
「どんな?」
「実は、僕は、小学1年まで、サンタクロースが実在すると、信じていた。クリスマスイブにサンタクロースが今日来るから、「寝ないで起きてる。」と言って、母親に言ったら、「早く寝なさい。起きていると、サンタクロースは来ませんよ。」といわれて、一生懸命起きていたけど
結局は寝てしまってね、朝起きたら、あの長靴に「お菓子」が入っていた。」
「そう、、」
「そして、次の日、学校で、友達に、きのうサンタクロースが来たといったら、ある「ませた」同級生が、「おまえ、まだ、信じているのか?
あんなものはいないんだぞ~。」
「それは、ちょっとショックだったわね~」
「ああ、正直なところ、当時は衝撃的だった。そして、ずーと信じていたかったなあぁ、と今でも思っている。」
「けっこう純情派だったのね。でも、私も時々思う、サンタクロースはほんとはいるって。嘘や、隠し事がなく、すなおに生きている人には、
必ずサンタクロースは、プレゼントをくれるって。?」
「そうだな、そういう人には、何歳になってもプレゼントはくると、、」
「ところで、アンナちゃん、ずっと長靴を欲しそうな顔してみてるわよ、一つかってあげたら?」
「そうか」



さて、クリスマスイブです。アンナちゃんは、長靴が大変気にいったようで。いつも寝るときには、抱えて寝ます。
どんな夢をみているのかな~~。アンナちゃんにもサンタクロースはくるのかなあ


いかがでしたか?皆さんのなかにも、サンタクロスは、生き続けていますか?そう、毎日を一生懸命にまじめに生きているあなたには、きっと、サンタクロースはやってくると思います。



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