2声対位法−7−2声対位法の応用  ・・・(その1)

<応用1> メロディーラインとベースライン
 2声対位法は、2声で書かれた楽曲のみに存在する訳ではない。何声部で書かれた音楽であれ、重要な動きをする2つの声部が存在するときにはその2声部による2声対位法が存在すると考えられる。例えば、和声的な書法による音楽においては旋律線(メロディーライン)と低音の動き(ベースライン)は重要であり、この2つの外声(旋律と低音)による2声対位法が存在すると考えられる。
 次のベートーベン作曲の「悲壮ソナタ」第2楽章の冒頭部分をみてみよう。旋律線と低音の動きの音程関係を調べてみると、3度や6度を中心に好ましい音程関係で作られていることがわかる。このことを逆に考えると、2声対位法の確かな知識や経験を身につけることは、対位法的楽曲のみならず和声的楽曲を扱う上でも多いに役に立つと考えられる。


次の例はJAZZの名曲からの引用であるが、冒頭部分は低音の動きと旋律の動きが、緊張感と調和感を持って対峙しており興味深い。同じ曲のテーマの後半部分では、メロディーラインとベースラインの音程が、3度や6度を中心に構成されており、曲の輪郭をしっかりと形作っていることが解る。