忍び寄る貧困社会

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貧困化する勤労世帯  (2009/10/23)
先日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、07年時点で15.7%、子どもの相対的貧困率は14.2% だったと日本政府としては初めて貧困率を公表しました。相対的貧困率というのは、OECDの定義では年収が全国民 の年収の中央値の半分に満たない国民の割合の事で、07年の中央値は226万円であった。

戦後高度成長期を経て経済大国となり、総中流意識が強く国は社会問題としての貧困に向き合ってきたとは思えない。 バブルがはじける90年代初頭まで、多少の上下はあるものの高度経済成長が持続したので、その延長線上で貧困問題は吸収出来 ると、現在のワーキングプアと違い、失業者は膨れ上がってきた経済に吸収されて、やがて解消されるだろうと考えられていた。 又、ある意味では日本の企業は国に変わり、勤労者が企業に就社することで傘の下で手厚く保護をしてきたといってもいいだろう。

しかし現在のグローバル化した経済状況の下で、雇用の非正規化が増大し、労働所得の格差が広がり、傘の下から放り出され労働者は 不安定な収入を埋める為に職を掛け持ちして働いていかざるを得ないのが現状です。調査現場での訪問も、そのような事情から 何時訪問しても会うのが困難だったが、最近になりあう機会が多少増えた、事情を聴くと昼の仕事が無くなり、仕事を探していると 聴く事が多い。それだけ雇用状況が厳しく、Wワークで生活が成り立っていたのが、いとも簡単に崩れる構造がそこにある。

そういった勤労世帯については、あまりきちんとした社会保障が手当てされていない。自己責任という下に「サービスは自分で稼いで 自分で買うもの」とされ生活領域のすべての分野にわたっている。失業して雇用保険を受けられないか、あるいは受給したとしても 低賃金のため生活保護を下回る金額になる。失業状態が長く続くと、いかなる制度でも救えなくなってしまう。 勤労世帯を「自助努力」に任せて放置していると、必ず一定数の落ちこぼれが生まれる。

そのような状態の中で、税制や社会保障制度を通じて行われる所得再配分機能は、逆に低所得者にとっては逆進性が高く よりその負担に苦しめられている。結果、国民年金制度や国民健康保険制度が多くの未納付が制度を形骸化させている一つの 原因にもなっている。そこに昨年来のリーマンブラザース破綻以降の経済的危機が追い討ちをかけている。日本の社会保障制度の 制度設計がいびつにある状態で、生活保護を増やすだけではどうにもならない。
もともと不安定な非正規雇用は、今までは主に家庭の主婦が夫の扶養控除の範囲内でパートやアルバイトで働くといった、男が 外で働き女が家庭を守るといったモデル家庭が税制にしろ年金にしろ基本体系になっていた。しかし人口構造の変化は、少子高齢化 だけではなく、未婚・単身世帯化を伴っており、世帯の働き手に非正規雇用が増大していることが従来の貧困とは構造的に違ってきている。 民主党政権になって、「コンクリートから人え」というポリシーの下で

「どのような国家を目指すか」その全体像はまだ明確に 伝わってきませんが、「貧困率」の算出を公表したからには、それを改善するための政策を是非施行してもらいたい。予算の 必要なものや、制度変更をするだけでも利用者サイドからの利便性がある。一例をあげれば失業者がハロワークで仕事探しの相談 をしても、長期の失業に伴う生活費の支援は各地の社会福祉協議会の窓口で申請しなければならず、決定権は地区の窓口ではなく 取次ぎのみである。

緊急を要する様々な困窮問題があっても、ワンストップで解決されずにあちこちと窓口をたらい回しにされるのである。 そしてそれらの制度の広報すら十分になされているとは思えない。厚労省のHPも以前に比べれば、多少は情報を探しやすくなった が、しかしすべての失業者がHPを見れる環境にあるとは限らない。特に現場を訪問していて感じることは、借金に苦しむことは どうしても心身の健康状態を損ないやすい、負のスパイラルに落ち込むと世間から孤立してしまい、再生への情報や知識を得るにも困難な 状況になってしまう。貧困を雇用や教育、住宅といった「縦割り」でなくトータルに捉える対策が必要である。勤労者の生活保障制度 のトータルな拡充が望まれる。
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