忍び寄る貧困社会

団塊世代のオッサンが綴る徒然コラム

トップページ
調査員が見た貧困化社会
忍び寄る貧困社会
住宅ローン破綻予備軍
ある共通の法則
貸金業法の改正
二極化する老後生活格差
深刻な貧困の連鎖
有効求人倍率0.44倍
貧困は、すぐ足下に
一歩踏み出す決意
単身世帯に潜む、貧困
貧困化する勤労世帯
情報格差がもたらす困窮
貧困化に拍車をかけるデフレ
顕在化する居住の貧困
住宅ローンと家計の債務超過

独立・開業・起業のサポート情報の検索・資料請求サイト「アントレnet」
徒然なるままに綴る、ランダムコラム
調査員が見た貧困化する社会

単身世帯に潜む、貧困要素  (2009/7/22)
調査案件の依頼から常々思うのは、大げさに云うと社会の問題が凝縮されそこに反映されているように感じます。 正確にデーターを取っているわけではないが、単身世帯と思われる調査案件の比率が意外と多いように思われ、 それも年代的には50、60代の男性が多かったのは意外でありました。

厚労省の2007年「世帯構造及び世帯類型の状況」では、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1501万5千世帯(全世帯の31.3%) で最も多く、次いで「単独世帯」1198万3千世帯(同25.0%)、「夫婦のみの世帯」1063万6千世帯(同22.1%)の順となって いて、近いうちにトップには「夫婦と未婚の子のみの世帯」に代わると予想されているのが、単身世帯であると統計から 推測されます。

長寿化に伴って高齢単身者が増加するだけでなく、実際、結婚しない人が増加を続ける一方で、離婚する人も同様に増え続 けており、国立社会保障人口問題研究所の推計によれば2005年〜2030年にかけて単身世帯は26%も増加するとされ、年齢階層別 人口に占める単身者の割合は2030年には50,60代男性のほぼ4人に1人が単身世帯と推計されている。人口構造の変化は、少子 高齢化だけではなく、未婚・単身世帯化を伴っており、社会のシステムに大きな影響を与えていくと思われる。

大家族→核家族→個人単位と現実には変遷していくような気配ですが、一方では社会保障制度は厚生労働省が年金の試算で 標準モデルとしている「妻はずっと専業主婦で勤労経験なし」という前提は時代錯誤のような気がしますが、未婚率の上昇と 離婚の増加により、「有配偶」という前提が崩れつつありますし、税制にしろ「配偶者控除」等の控除制度は少なくとも 時代に適合しなくなっている。企業や家族に所属する事を前提にしたセーフティネットだと云えます。

結婚は、基本的には個人の選択の問題であるが、単身世帯の増加は、所得格差の拡大や貧困層の増大といった要素を将来に 持ち込みやすい。生活保護統計にも、60歳代の男子単身者に限ればその2割が被保護世帯で、女性についても1割で二人以上 世帯で比較すると、60歳以上全体で0.8%と状況が著しく異なっている。単身世帯が経済的に困窮しやすいのは、家族ととも に生活すること自体に、失業や病気で経済的変動に対するリスク回避の機能が備わって、経済的や精神的にリスクを家族が 吸収する役目を果たしている事と表裏の関係にあると言える。

これまで日本の社会保障制度の補完として、企業が高度成長期を通じて形成された日本型雇用慣行により、一種の共同体として 就労を通じて職業訓練を施し、一方で長時間労働も単身赴任も厭わぬ働き方を要求し、他方で、家族を含めた長期にわたる 経済生活安定の保障を担ってきた。又、家族による支えあいが社会保障を補完する機能を果たしてきた。

しかし今後、未婚・単身世帯化が進展するなかで、年金制度をはじめ社会保障制度の制度設計改革論議が待ったなしである。 2030年に50、60代ということは、今の20〜30代の経済的に結婚できるような、雇用環境を作り出すことや、ひとりでも生きられる 公的なセーフティネットの拡充や、具体的な財源問題をどうするのか、おりしも総選挙にそのような争点を提示して欲しいものである。
Copyright(C) 2009 office taka All rights reserved.