「泣かないで My Love」



「あ、これ・・・」
久しぶりに部屋の整頓をしていた僕の手に何かが触れた。
煩雑に置かれていた雑誌の中から顔を覗かせたそれを、そっと手に取ってみる。
「懐かしいなぁ」
手のひらの上の小さなそれが思い出させる、暖かく優しく、そして寂しくて切ない気持ち。
それは、もう、20年以上前の思い出で・・・。


25歳の夏。
いや、夏と呼ぶにはまだ早い、梅雨の季節だった。
大手レコード会社から手を引いた僕達のバンドは、こつこつとライブハウスを巡って音楽活動を続けていた、いわゆる「途中からの下積み」をしていた、そんな時期。
僕の隣で、君はぐっすりと眠っていた。
やわらかい寝息を立てる唇に、そっと指をあててみる。
一瞬、純真無垢な寝顔を曇らせて身じろぎする。
そんな小さな動きでも、僕を笑顔にしてしまう魅力のひとつだ。
欠かすことができない、安らぎのひと時。
眠るのも忘れて、一晩中でも見つめていたい。
カーテンを通り越して、光が君を照らす朝が来るまで、ずっと。
そして、ゆっくりと瞼を上げた君が、その綺麗な瞳で僕を見つめて微笑む瞬間が見たいんだ。

かけがえのない存在。
この手の中に転がり込んだ、大切な大切な、なにものにもかえがたい・・・。
どんなことをしても、何があっても君を守る。
そんな風に思えたのは、君がはじめてだから。

僕達の出逢いは、それほど劇的なものじゃなかった。
僕の周りでは割と良くあるシチュエーション。
街角で、泣いている君を僕が見つけた。
ただ、それだけ。
しかし、それはやはりいつもとは違う特別な出逢いだったのだろう。
近寄ってきた僕に、君はとても怪訝な顔をしたね。
だけど、その時は悲しみが何よりも勝っていたらしい。
僕を見上げた目がまたすぐに潤んで、再び泣き出してしまった。
どうしてやることも出来ないもどかしさが、胸を締め付ける。
その涙を止めてあげたいのに、二人の間にはまだ時間がなさ過ぎて、なす術が見当たらない。
でも、そのまま放っておく訳にもいかなくて、とりあえず僕の家へ連れて帰ることに決めた。
もちろん君は驚いて、僕の行動を拒んだけれど。
だから、半ば無理やり家に連れ込んだ形になってしまって・・・。
それでも泣き疲れて眠ってしまうまでの間、ずっとなだめ続けていたから、少しは信頼してくれたのだろう。
翌朝、目が覚めて僕を見つけても、怖がる顔だけはしなかった。
まだ、笑顔は見せてくれなかったけれど。

そんな訳で、ちょっと奇妙な感じがする二人の生活が始まった。
とにかくはじめのうちは大変だった。
二人とも上手く意思の疎通ができなくて、その度に君は泣いてしまう。
そう、君はことあるごとに泣いていたよね。
いつまでも諦め切れずに、君を捨てていったあいつを想って泣くこともあった。
そんな薄情な奴、忘れてしまえばいいのに。
何度も何度もそう言い聞かせた。
でも君は、ただ泣くばかりで。
僕は僕で、そんな君を持て余して、つい八つ当たりしてしまったことなんかもあった。
そして君は更に泣いてしまうのだ。

そんな君が僕の前で初めて笑ってくれたのは、梅雨の合間に太陽が顔を
見せてくれた気持ちがいい晴れの日だったね。雨と涙とでじめじめしていた気持ちを払拭したくて、僕達は散歩に出かけたのだ。
外は、まだあちこちに残っている水滴に光が反射して、いつもよりも綺麗に見えた。
君も、気分は良かったのだろう。
まだ笑ってくれてはいなかったけれど、それでもずいぶん機嫌が良いようには思えた。
そして30分ほど歩き、静かな住宅地の中にある小さな林の辺りまで来た時。
君は何かを見つけて、林の中に手を伸ばした。
しかし、その林の前には、深さはそれ程ないが少々幅の広い溝が口を広げていた。
彼女の手ではどうにも届きそうになかったので僕が取ることになったのだが・・・。
溝を越え、お目当ての物を手にするまでは良かったのだが、戻る時がいけなかった。
そう、足を滑らせ、格好悪いことに溝へ落ちてしまったのだ。
幸い怪我もなく、溝は乾いていたので濡れることもなかったし、手に入れたそれも落とさずにすんだのだけれど、何よりも嬉しかったのが、彼女が、そんな僕を見て笑ってくれたことだった。
何だか情けない話ではあるのだけれど。
それでも初めて見る笑顔はとても可愛らしくて。
心が躍るっていう感じがこの時とても実感できた。
自然と自分も笑顔になっていて、身体の奥から暖かい何かが湧き出てくる。
それがもう、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
溝から抜け出て、手にしていたそれを渡す。
すると君は更に微笑んでくれた。
お気に入りとなったそれは、つねに彼女の傍らにあるようになり、それからだった、彼女が笑ってくれるようになったのは。
そして、きっとその時からだったのだろう。
僕が、この笑顔を守り続けたいと思うようになったのも。
傍に居て、君が幸せでいる姿を見続けたい。
そのためには、どんなことでもできる。
怖い思いも痛い辛さも、嫌なことのすべてから僕が守るんだ。
心の底から、そう思うことができたのだから。
だから君は、いつでも微笑っていて。
僕の傍を離れないで。
そう、願いはじめていた。
しかし・・・。

「え、ライブツアー?」
何事もなく、二人の幸せな生活が続いていたある日。
かかってきたのは、マネージャーからの電話だった。ライブツアーといっても自分達のではなく、どうやら事務所の先輩のバックバンドを務めるためらしい。
しかし、どうにも乗り気にはなれなかった。
その先輩は尊敬しているし大好きだ。それに何かと可愛がってもらっているという恩義もある。
バックといえどライブが出来るのも嬉しい。
けれど・・・。
ツアーだということは、何日も家を空けなければならない。
彼女を連れていく訳にもいかないし、かといって残していける訳がないし。
今回は、メンバー二人に行ってもらって、自分は残ろうか、なんてことも考えた。
しかし今後はどうする?
これからもずっとツアーには出ずにいることができるだろうか。
いや、ずっとじゃない。
今はまだ彼女を残していけないだけだ。
もう少し時が立てば、まだ早いから、だから・・・。
今回、自分は行けないと伝えよう。
そう思い、口を開きかけたのだが、少々タイミングが遅かった。
「あ、え、ちょっと待・・・っ」
4日後のリハーサルから参加だから明後日の昼には東京を立つことになっている。それまでに準備しておけよ、という声を残して、電話は切られてしまった。
かけ直そうとダイヤルを回しかけたが、ふと指が止まる。
理由をどう説明していいか分らなかったからだ。
残せない訳。
正直に話したら、ツアーに行かないだけの話じゃなくなる。
友達であるメンバーにすら言っていないのだ。
言ったら、引き離されるのは目に見えている。
信頼しあっている仲間であっても、こればっかりは認めてくれないだろう。
けれど僕は彼女を守ると決めたのだ・・・。
しかし隠し続けられるだろうか。
彼女のことを。

このまま、ずっと?
途方に暮れる僕を、彼女は不安げな顔で見つめていた。

その日の夜。
結局マネージャーに電話できないまま、うだうだと時間だけが過ぎていった。
夜も深くなって、彼女がまどろみかけた頃。

コンコン、コンコンコンコン・・・。

「おい、入るぞー」
ノックの後、声と共にドアが開らく。
僕はとっさに布団で彼女を覆った。
どうか、気付かれないでいてくれっ。
「居るなら返事くらいしろよな、お前」
「あ、ああ、うん、ごめん。それよりどうしたの、桜井」
「どうしたもこうしたも・・・。様子が変だって言ってたからさ」
どうやら、マネージャーから今日の電話で俺の態度がおかしかったことを聞いたようだ。
呆れ顔のまま、桜井は俺と向かい合う格好で腰を下ろした。
「なあ、坂崎。どうしたんだよ、一体。最近ちょっとおかしいぞ」
「なにが、だよ」
「何がって、なんだか付き合い悪いしさ。一人でなにやってんだ」
「別に、何も」
まともに顔を見ることが出来ず俯いた俺に、桜井は小さく溜息をついた。
「なあ、悩みがあるなら言ってみろよ。解決してやるなんて大きなこと言えないけどさ。言ってすっきりするってことだってあるだろ」
「本当に何もないっての。考えすぎだよ」
「本当に?」
やけに暗い目で俺を見つめる桜井。
心配してくれるのは嬉しいけれど、話せないことだって、あるんだ。
返事もせずにうなだれただけの俺を、桜井は焦っているような目で覗き込む。
「・・・なあ、アルフィー辞めたりしないよな」
「馬鹿なこと言うなよ!辞める訳ないだろ」
「状態が、似てるんだよ。あいつの時と。だから心配なんだ。お前が何も言わないから」
桜井が寂しそうに呟く。
以前、俺達にはもう一人、仲間がいた。
デビュー後しばらくして、色々な理由が重なって去っていった友達。
そいつのことを思い出してしまったのだろう。
「辞めないよ。ごめんな、心配させて。だけど、俺・・・」
その時だった。
俺達の話し声で彼女は起きてしまったのだろう。
布団が大きく動いた。
「おい、そこに何かいるのか」
「やめろ!桜井!!」
布団をはがそうとする桜井の手を止めようととっさに手を伸ばしたが、タッチの差で間に合わなかった。
「何・・・っ」
彼女を目にした桜井の動きが止まる。
だめだ、見つかってしまった・・・。
「坂崎・・・。これ、どういうことだ?」
「どうって・・・」
「まさか、お前」
信じられない、という顔で俺と彼女を見比べる桜井。
あまりにも動揺している表情が、何かを俺に気付かせた。
もしかすると少し勘違いしているかもしれない。
これはもう、正直に全て話してしまうしかなさそうだ。
小さく深呼吸をして、固まったままの桜井に向き直った。
「あのね、桜井。落ち着いて、最後までちゃんと聞いて欲しいんだけど」
何もかも、自分の気持ちも洗いざらい話してしまえば、もしかしたら分ってもらえるかもしれない。
このままで何とかできる案を一緒に考えてくれるかもしれない。
桜井なら、きっと・・・。
そんな期待をしていた。
けれど・・・。

「話は、分った」
彼女とのいきさつから、今後のことまで、とにかく自分が思っていることもまとめて伝えた。
その間、桜井はじっと何も言わずに聞いていてくれたのだけれど。
「坂崎、俺は、このことに賛成できない」
発せられたのは、出来れば一番聞きたくない言葉だった。
「どうして!分ってくれたんじゃないのか!?」
「話は良く分ったよ。お前の気持ちも、分らなくない。けどな、良く考えて欲しいんだ」
「考えたよ!すっごい考えたんだ。ずっと色々悩んでどうしたらいいかって・・・っ」
「いや、お前は彼女の気持ちを考えてないよ」
「何で!?考えてるよ!だから守ってやりたいって思ってるんじゃないか!」
「じゃあ聞くけどよ、彼女のためにお前がやりたいことを我慢して、人生を棒に振っているってことに彼女が気が付いた時、どう思うと思うんだ。」
「棒に振るなんて思わない!」
「坂崎のやりたいことって何だ。このままじゃバンドなんて続けていけないのは目に見えてるだろ。彼女と居られればそれでOKか。生活はどうするつもりなんだ。彼女のためにどこにも行けないっていうんじゃ、仕事なんてできやしない。二人揃って飢え死にするぞ。それともなにか、親や兄弟にたかって生きてくとでも言うのか」
「そんなことしない!アルフィーだって続けるよ!今はまだちょっと早いってだけだ、もう少ししたら・・・」
「もう少しっていつだ。彼女の傍から離れられるようになるまで、どのくらいの時間がかかるか分ってるのか」
「けど・・・っ」
「落ち着けよ。ちょっと頭冷やせ。感情的になりすぎてる。坂崎らしくないぞ」
「俺らしくないってなんだよ。どうしたら俺らしくなるんだよ!」
「だから、落ち着けって。いいか、確かに彼女には今、坂崎が必要かもしれない。だけどお前はこれからどうなるんだ。今回のツアーだって、確かに一回ぐらいは理由つけて休ませてもらうことだってできるだろうさ。けれどこれからは?毎回毎回仕事が断れるような身分じゃないだろ、俺達はまだ。それに、そんなことが続けられる程甘い業界でもないぜ。それはお前が一番分ってることじゃないのか。プロとしての自覚、ちゃんと思い出せ」
プロとしてやっていくこと。
確かにそれは三人の中でも一番俺が強く望んでいたことだ。
今のような、下積み時代に出演の依頼を断って、それでも次にまたその仕事が貰えるなんてラッキーなこと、まずないのも分っている。
「な、そうだろう?それにな、まだ売れてないって言っても俺達は芸能人なんだ。彼女のこと隠し続けるなんてこと出来るわけがないだろ。週刊誌や何かにでも載ってみろよ、傷付くのはお前だけじゃないんだぞ。彼女だって、望んでもいないのに世間に公表されるんだ。そんなこと嫌だろ?」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ・・・っ」
八方塞がりになっていた。
どんな結末も、彼女を不幸にしてしまうなら意味がないのに。
僕の存在が彼女を苦しめるなら、僕は傍に居てはいけないんだ。
だけど、僕の気持ちは、この想いはどうすればいい。
傍にいる、と。
ずっと傍で守ると誓ったのに・・・。
桜井も考え込んでいるのか、しばらく俺達は黙ったまま俯いていた。
「警察に、届けるしかないだろうな」
「え・・・」
桜井が呟いたその言葉に、俺は驚いて顔を上げた。
「警察って・・・ちょっと待ってよ。なんで・・・」
「犬や猫とは違うんだ。もしかすると探しているかもしれないだろ。彼女だって、本来居るべき所にいた方がいい」
「それは、そうだけど・・・」
捨てたやつの所に戻るというのか。
それが彼女にとって良いことなのかどうか、判断が、つかない。
「坂崎、お前が辛いなら、俺が彼女を連れて届けるよ。今日はもう遅いから、明日。明日の昼頃にでも迎えにくるから・・・」
「ううん、いい。俺が連れてくよ。ちゃんと、届ける」
「坂崎・・・」
「でも、ひとつだけお願いが、ある」
「お願い?」
「うん。明日一日だけ、明日だけはこのままいさせて。明後日の朝、警察にいく。ちゃんと仕事には遅れないようにするから」
「・・・わかった。でも坂崎・・・」
「何・・・」
「いや、なんでもない。じゃあ、俺帰るわ。ゆっくり、寝ろよな。・・・おやすみ」
立ち上がり、少しだけ、歩き出すのを躊躇った後、桜井は部屋を出て行った。
小さな音だけ立てて、扉が閉まる。
そっと閉めてくれたのだろう桜井の気遣いが分った。
だからこそ、先程言いかけてやめた桜井の言葉が分ってしまった。
『妙なこと、考えるんじゃないぞ』
きっとそう言いたかったのだろう。
自分が帰った後、俺が彼女とどこかへ逃げ出すとか、そんなことを心配したんだ。
だけどそれを抑えて、何も言わないでくれた。
あいつの優しさが痛いほどにわかる。
だから、約束は守るよ。
どこにも逃げたりしない。
逃げたりなんか、しない。
「君を、不幸になんか出来ないもん、な」
傍らで、再び眠りについていた君をそっと抱きしめる。
「どうしてこのまま・・・」
どうして、このままいられないんだろう。
先のことなんか考えず、「今」だけで生きていけないんだろうか。
大切なものを守る。
それは決して悪いことじゃなかったはずなのに。
二つ以上のことを手にするには、僕はまだ小さすぎたのか。
どうしようもない苦しさが身体の奥から全身に広がる。
腕の中のぬくもりが、この手から切り離される痛み。
暗闇の中、言い知れない不安に押し潰されるように。
その夜、僕はずっと眠らずに、ただ彼女をみつめていた。


翌日。
一日中、僕は今まで以上に彼女の傍にいた。
彼女の動作、声、笑顔、一つも逃さず記憶しておきたかったからだ。
一緒にいるはずだったこれからの分をほんの少しでも奪い返すかのように。
精一杯の、二人だからできる幸せの時間を過ごしたのだ。


そして。
約束の日。
彼女を連れて、警察へと向かった。
手続きを済ませ、彼女を婦警さんへ託す。
とうとう、別れなければならないのだ。
「じゃあ・・・彼女のこと、お願い、します」
深く頭を下げて、その場を離れようとした、その時。
それまで状況が分らずにきょとんとしていた君の顔が、とたんに泣き顔に変わった。
「やぁーーっっあーーーーっっ」
彼女の小さな両手が僕にのびる。
けれど、その手を包むことはもうできない。
無理やりに振り切って、僕は走り出した。
更に強くなった君の泣き声が、見えない糸になって僕を止めようとする。
止まれない僕に、その糸は絡みついて全身に切り傷をつけていく。
無数のそれが皮膚にくい込み、バラバラに引き裂かれる。
それでも、振り向くことはできなかった。

警察署の出入り口をでると、そこには見慣れた人影が見えた。
こちらから声をかける前に、向こうも気が付いたのだろう。
駆け寄ってきてくれたのは、心配顔をした桜井と、そして話を聞いたのであろう高見沢だった。
そしてその時、自分の中で押さえつけていた何かが弾け飛んだ。
「うわあぁぁぁーーーーー・・・・・・っっっ」
心の奥から溢れ出た想いだった。
流れ出した涙を止められずに、俺は大声を上げて泣き続けた。
「よく、頑張ったな」
「えらいよ、お前」
言いながら、桜井、そして高見沢が、しっかりと俺の肩を抱いてくれた。
右肩に桜井が、左肩に高見沢が、それぞれいつもの立ち位置でいてくれたのが、俺に何よりも暖かい安心を与えてくれたのだ。
かけがえのない存在を失ってしまっても、かけがえのない友がいてくれる。そのことを二人は教えてくれたのだった。


そして今。
僕の手の中に、君の思い出がある。
そう、君のお気に入りだったあの小さなピンクのボール。
投げる度に可愛い笑い声をあげて喜んでいたね。
僕はまだ、独身でいるよ。
色々と彼女もできて、結婚のことなんかも考えなかった訳ではないけれど、やはり君の存在はなかったことにはできなかった。
君は今、幸せで暮らしているのかな。
まだ、泣いているなんてこと、ないよね。
僕も辛いことや悲しいことはあれからいっぱいあった。
でも、大切な人達に囲まれて、大好きなことをやり続けられている。
とても幸せな生活を送っているよ。
だから君も、どうか幸せに包まれていてくれ。
僕の人生でほんの一時、大切な『娘』で居てくれた君だから。
血は繋がっていなくても、君にとってあの日々だけは僕が『父親』だったんだ。
そう、僕にとって、最初で最後・・・


僕だけの・・・


『My Girl』



〜終〜

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後書きと言う名の悪あがき(涙)


これ、フィクションですからね〜?(そりゃそうだ)
相方に、たまにはまじめに書いたらどうかと言われたのでまじめにかいてみたのですが、いかがだったでしょうか。
今回ももう少し「彼女」さんの正体を隠したかったんですけど、バレバレだった気がします。(^^;)
途中まででも『幸ちゃんと猫』シリーズかと思って読んでいただけてたら大成功なんですが。(笑)
そんな訳で「幸ちゃん細腕子育て日記」でございました。(タイトル変わっとるがな)
気が付けば、坂崎狂のアルフィー作品の中で一番長いお話に。
いやぁ、びっくりびっくり。