幸乃さんからまたまたお話をいただきました!\(^∇^)/
アルフィーさんの43回目のお誕生日という良き日に、何て素敵なのでしょう♪

しかも、先月私が書いた「賢の疑問」の坂崎さんバージョンですよ~(*>∇<*)
あの時、坂崎さんは何を思っていたのか!
あの行動は無意識なのかはたまた計画的なのか!!w

というわけで、我が家の「賢の疑問」とセットでお楽しみくださいませ♪

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『幸之助の疑問 ~ツアーファイナル~ 』

俺たちミュージシャンだよね?

目の前の風景にふとそんな疑問がよぎった。
さっきまでステージの上でいつも通り曲を演奏していたはずだ。

いつも通りの……いや、いつも以上の客席からの熱気に負けないように気合いをいれて。

大好きなファンのみんなが少しでも楽しんでくれるように。
そんな気持ちで歌っていた……はずだよね。

今回のツアーはいつもとはちょっと違ってて。一部カンレキーズ、二部アルフィー。
どっちも同じ、俺たちがやってるのには変わりないんだけど。

たった一度の企画からあっという間にここまで規模が大きくなってしまったけれど。
俺としては悪くないと思ってる。

……いや、かなり楽しい。

この歳で3人お揃いの衣装を着れるとは思っていなかったし、お揃いの衣装もしっかり憧れのミリタリー。
少し照れくさいけどすごく楽しい。
楽しくない方がおかしいでしょ、うん。

そしてみんなにもペンライトを持って踊ってもらっちゃってるし。
ステージから見る客席はキラキラしていてすごくきれいなんだよ。
今じゃ振り付けだってきれいに揃ってるから星の中で歌ってるみたいなんだよ。

みんな、ありがとねっ!


でもね?
今目の前にある風景はなにか違う。
そう思うのです。

ライブという非日常の中にある舞台裏という日常。
張りつめた空気が少しだけ弛んだこの空間で。
今はカンレキーズのお色直し中。
俺はもう着替え終わって出るタイミング待ち。
後は桜井の着替えが終われば…なんだけど。

桜井もあと少しで終わるっていうところで頭をブンブン振って抵抗している。
そりゃそうだよね。
着ている衣装がいつもと違うんだし。

「動かないでください」
なんてスタッフに怒られてる。
せっかく決めてる髪型が崩れちゃうよ?

あ、でも頭にそれつけたら崩れちゃうかな?

もう仕方ないなって感じで立ちつくした桜井にスタッフが今度こそ白いのを着ける。
お髭のメイドの出来上がり。

何度か着せられた時は黙って着てたのに何で今更抵抗してるんだろう?

これで最後なんだから諦めればいいのに。いつも仕事だって割りきっていろんなコスプレしてきたんだから。
変な所で我にかえったんだろうけど。なにも今じゃなくていいのに。
まったく間が悪いんだから。
桜井を見てたらムクムクと沸き上がる悪戯心。

……ちょっとくらいならいいかな?

まだ往生際悪く考え事してるらしい桜井にそっと近づいて耳元に顔を近づける。
似合ってる、と囁いたら勢いよく顔を上げた。

フフッ、桜井ってば……

面白い顔してる。
でも笑っちゃったらきっと拗ねて大変だろうからここはガマン。

「……笑うな」
「笑ってないよぉ」

低い声で恨めしそうに言う桜井になんとか返事はしてみたけど少し声が震えちゃった。

笑いを我慢してるのバレちゃったかな。

「もう何度か着たんだから、慣れたんじゃないの?」
「慣れるかバカッ」

そうだよね。
高見沢くらいだよね、こういうのに慣れてるのって。
あいつはこういうの着た自分を見たみんながびっくりするの楽しんでるんだけど。
高見沢がこういう格好したら普通に似合うしみんなも慣れちゃったからそんなに驚かないだろうけど。
桜井がこういう格好したらただのネタだもんね。出落ちだよね。
笑われるのを分かってて出ていくのは嫌だろうな。
みんなを笑わせるのはいいんだろうけど。

きっと複雑な気持ちなんだろうね。
がんばれ桜井。
桜井ががんばってくれれば俺にはこういうの降りかかって来ないもんね。
悪くてもちょっとしたコスプレくらいだし。

……いや、40年以上この仕事をしてきて今更コスプレしてるバンドもどうかと思うけど。
「ちゃんと可愛く出てこいよ!」
スタンバイのできた桜井の肩を高見沢がポンって叩きながら言う。
桜井に複雑な思いさせてる元凶が言ったって逆効果だろうな。
「そうだよ、ちゃんと可愛くね」
あ、桜井が口をキュッってしてる。
きっと言うとおりになんかしてやるか、とか思ってるんだろうな。

スタッフから俺と高見沢は出るようにって指示が出た。
高見沢が歩き出したからそれに続こうとしてふと沸き上がる悪戯心その2。

桜井の方に向き直ってニッコリ微笑んでみる。
あ、桜井が警戒してる。
やだなー。
そんなに警戒しなくてもいいのに。

ボクそんなに怖くないでしょ?

ビクビクしている桜井にもう一度、可愛いよと告げてみる。
「……へっ?」
このタイミングでこの台詞は桜井にとって予想外だったらしくの間が抜けた顔になった。
「嘘じゃないよ?本当に、可愛いと思ってるよ」
狼狽える桜井にたたみかける。
「だから、ちゃんと可愛く出てきた方がいいと思う。こんなに可愛いんだからさ」
「……え、あの、坂―」
ワタワタする桜井。
そのかっこで困り果ててます、なんてほんとに可愛い。
見た目は髭のおっさんなのにね。

「ステージで可愛いメイドの桜井、俺、見たいなぁ…」
少し照れくさそうにしてみせて。
俯いて、上目遣いで桜井を見てみる。

しぶといな。
普段だったらこの辺でうん、とか言っちゃうんだろうに。
さっさと『分かったよ』って言えば楽になれるよ、桜井さん。

もう一押しかな?

桜井の衣装の裾を掴んで引っ張ってみる。
「ねぇ、桜井ぃ…」
「…う……い、いや…」

チッ、なんだろ?
今日はムダにがんばるんだね。
じゃ、奥の手。

桜井の瞳をサングラス越しに見つめる。
そして軽く首を傾げてみせる。

「……ね?」
「……はい」

やっと落ちた。
どうせ最後には頷いちゃうんだから最初から諦めてくれればいいのに。
「約束だからね?」
「…はい…」
「ふふっ素直なメイドさん、可愛い♪」
背伸びして桜井の頭をポンポンしてみる。
ちゃんとやりやすいように頭を少しさげてくれた。
まったく桜井ってば優しいんだから。

なにか言いたげにしてる桜井がまた駄々をこね始める前にスタンバイしていた高見沢の後ろについた。桜井にヒラヒラと手を振って合図にあわせてステージ向かう。

……楽しみだな~


桜井がステージに出てきた。
スカートをフリフリさせてスキップをして。
桜井なりの精一杯の可愛いメイドさんなんだろうな。

まあ、これで許してあげよう。
後でちゃんと褒めてあげなきゃね。

隣にいた桜井がチラッと俺を見た気がした。

その瞬間、悪寒が走る。
何だろう。嫌な予感がする。

……いや、嫌な予感しかしない‼

ライブが終わったらどこかへ逃げようかな……



―おわり―

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いかがでしたでしょうか!
やはりあの時の坂崎さんは計画的犯行でしたね~w
桜井さんを良いように転がしちゃって、何て小悪魔さん♪

我が家の小話とリンクしたお話を書いてくださるなんて、うれしいなぁ(*^^*)
裏設定とか、サイドストーリーとか大好きなんですよ。
自分で書いた話も、長編は特に裏設定があったり頭の中にはサイドストーリーだらけだったりします。
書き切れないので、作品として生み出してはいませんけどね(^^;)
坂崎さんバージョンを書いてくださって、ありがとうございました!

「賢の疑問2」の坂崎さんバージョンもいただいてますので、ぜひそちらもみなさん読んでくださいね♪