※こちらは我が家の連載小説「Cafe I Love You」を読んでいないと分かりません。

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「S-Mart_Alfee支店」のしにょりなさまから、またまた素敵なお話をいただきました!
今度は「Cafe I Love You」のお話ですー!(*>∇<*)
登場するのは、広場の野良猫のトリオの一匹、トウフです。
トウフがあれこれ語ってくれていますよ。

トウフのほわわんとした柔らかい雰囲気が楽しめ、さらに野良猫、多頭飼いでの崩壊など、現実にある問題について、猫側の気持ちに触れられる、とても勉強になるお話です。

ぜひ読んでいただけたらと思います。

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Park in The Cat.

やあ、そこのキミ!初めて見る顔だね。引越ししてきたの?…まさか、放浪?
あ、そんなに怖がらないで。ボク、こわくないよ、ほらほら。ごろ〜んもしちゃうよ。
え、危ない?わぁ、本当だ!噴水に落ちる所だった、ありがとう。
あっ。こっちに来てくれるの?うれしいな。
お腹すいてる?うんうん、そうだよねぇ。お腹すくよねぇ。もうじきご飯の時間だよ。
え?なんで知ってるのかって?結局、飼いネコじゃないかって?
ちがうちがう。あのねぇ、ここにはご飯を持って来てくれる人がいるんだよ。
なんでそんなことしてるのかって?う〜ん、ボクは難しいことよくわかんないけど、アルの父ちゃんみたいな人はボクたちのような猫が、できるだけお腹をすかせずに、人間にいじめられたりせずにいてほしいんだと思う。お腹すいたり水かけられたりするの、つらいもんねぇ…。
ボク?ボクはねぇいわゆる捨て猫。ある日兄妹と箱に詰められてこの広場に捨てられたの。
「この子たちにも餌をあげてください」って書いてあったんだって。勝手だよね。
その時の兄妹は…どうなったのかなぁ?みんな自力でママを探しに行くんだって、箱から出て行ったけど、もうこの街では会えなかったよ。誰かのお家で可愛がられてるといいなぁ…。
ボクはどうしてここにいるのかって?うん、ボクもねぇ、箱から出たけどどこに行ったらいいかわかんなくてね、ママー!ママー!って泣いてたんだ。そしたら「うるさい!チビ助!」って怒られたんだ。おっきな茶色の猫でね、うわぁ怖い!って。
でもね、その猫は「黙って待ってろ、もうじき夕飯だ」ってゆったりボクのそばに座ってくれたんだ。それがタクローさん。
ん?タクローさん?タクローさんはこの広場の顔役。ここでアルの父ちゃんからご飯をもらう子とか、飼い猫だけど時々広場にやってくる子がケンカしないようにしてくれてる。飼い猫の顔役はね、ジェイっていうんだよ。
そうそう、タクローさんにいつもくっついてるのがコパンダで、ボクはトウフ。ぷるぷるつるん、ってとこが似てるなってアルの父ちゃんがつけてくれたの。
さっきから出てくる「アル」は誰かって?ふふふ、「アル」はね特別な猫なんだよ。
アルは、放浪猫だったんだ。
あとで聞いたんだけどね、アルのお母さんは野良だったんだって。小さい体でね、一生懸命アルたち兄妹を育ててくれて。アルが後から考えて言うには、とっても小さかったから一歳になるかならないかでアルたちを産んだんじゃないかなぁって。
猫の女の子は半年でもう子供ができるんだ。だから、流れ者のメスが来たときにはもう大変。アルの父ちゃんや他の「ぼらんてぃあ」の人たちが一生懸命つかまえて妊娠しないようにするんだよ。
あ、オスもそうだね。だからこの広場の猫は新しい子は生まれない。
ん?そんなのヘンだって?う〜ん、難しいなぁ。
だけどさ、今日のゴハンに困ったり、道に落ちてるものを食べて吐いたり…とかつらいよね?それが自分の子供にもずっと続くの、ボクはやだな。
この広場はね、アルの父ちゃんがボクたちにご飯をくれるから、ゴミ漁りもしないし、周りでしたトイレもキレイにしておいてくれる。
アルの父ちゃんのおかげで、ボクたちはここでいじめられずに暮らせるんだ。
その「アル」は何者か早く話せって?あっ、そうだった。
アルはいろんな街を旅したって言ってた。他の街でもゴハンをくれる人はいたらしいけど、食べていいのは顔役に受け入れられた子だけ。アルはダメだったみたい。
そうしてこの街にたどりついたんだよ。見つけたのは多分ボクが最初。
アルは真っ黒猫だけどすごく汚れてたから、放浪猫だってすぐわかった。だからボクは声を掛けたんだよ。さっきキミに声をかけたみたいにね。
「ここにいれば美味しいゴハンがもらえるよー」って。
でもね、あの時のアルはボクのこと、見えてもいない、声も聞こえてない、みたいな感じでね。ぼんやり広場を眺めてからとぼとぼと坂道を下りて行った。
タクローさんにもどうしようって相談したけど、こればっかりは仕方ないって。
悲しかったな。この街は今でこそアルの父ちゃんみたいな人たちが増えて、僕たちは『ちいきねこ』って呼ばれてる。
でも、その人たちの目の届かない所で野良猫に餌をあげて増えたらどこかに捨てに行くとか、ボクみたいに堂々とこの広場に捨てていく人とか。
トイレのそうじもしてもらえない環境で何十匹も飼っている人とか。そんな人の庭でカラスに突かれてる子猫もいるんだって。
イヤだよね。ボクらはそんなことのために生まれたんじゃない。美味しいゴハンを食べてお昼寝をして、お気入りの場所を一巡りしたら夕方になって、またゴハンを食べて、まあまあ気に入った所で寝る。それが、ネコの生活なんじゃないかなぁ。
だから、ボクすごく気になったんだ。悪い人に捕まってませんように、だれかあの、「父ちゃん」の仲間の人が見つけてくれますようにって。
あ、父ちゃん、って呼ぶのはアルのクセね。
本当は「サカザキ」さんっていうらしいんだ。ほかに「サクライ」さんと「タカミザワ」さんっていう人がいるんだ。たま〜に会うけど、三人三様おもしろいよ。
そうそう。アルのことだね。この広場に現れる様子もないし、誰かに飼われてるといいなぁ、それか他の「ぼらんてぃあ」さんからゴハンをもらっているといいなって思ってたら、なんと!アルが現れたんだよ!アルの父ちゃんに抱っこされて。
もうビックリ!
だってね、父ちゃんはサクライさんがやってる『かふぇ』で働いて、同じ建物で生活してるんだ。だから、猫を飼うの、父ちゃんはあきらめていたみたい。
何であきらめなきゃいけないかって言うと、『かふぇ』のお客さんには猫嫌いの人もいるかもしれないし、サクライさんの店のものをひっくり返したりしないか心配だったみたいだよ。
それなのにね、父ちゃんがアルを連れてるってことは…そう!猫を!飼ってもいいってことになったんだ!
しかも『アル』ってちゃんと名前をつけて!
ボクたちは父ちゃんたちの事情の他に、あんまり人とは暮らしたくないなぁ、って思っているからこの広場で十分だけど、あの時の人も猫も信用しません、っていうアルを見たらみんなきっと「だれか助けてあげて!」って思うよ。
実際は店の真ん前で行倒れてたんだって。そりゃ助けるしかないよね。
しかもその時のサクライさんのゴハンが美味しくて、ここにいたい!って思うくらいだったんだって。
いいなぁ、そんなゴハン。ボクも食べてみたいよ。飼い猫になっちゃってもいい!なんてステキだよ。
あとね、アルには「秘密」があって…。
あっ!アルの父ちゃんが来た!ほら見て!あの「じてんしゃ」から顔を出してるのがアル!!
どっからどう見ても飼い猫でしょ?
さあ、ボク達もゴハンをもらいに行こう!キミの分?もちろんあるよ!
アルの父ちゃんはいつも余分のお皿を持ってきてるんだ。キミみたいな子がいる場合にそなえてね。
今日はちょっとゴハンの量が少ないかもしれないけど、明日は大丈夫!
明日は明日の風が吹くよ!

END


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いかがでしたでしょうか?
私自身、野良猫については上辺だけの知識しかないのですが、それでも野良猫の未来がとても辛いものだということは分かります。

猫だけでなく、どんな生き物もそうですね。
自己満足、目先のことだけではなく、その生き物、そしてその生き物の子供たちの幸せを考えて、飼うなら最期まで面倒を見る、これは大前提です。
誰もがそんな風に生き物を飼ってくれたら、人間のせいで不幸になる生き物はいなくなると思います。
そんな世の中になってほしいなと心から思います。

しにょりなさん、素敵なお話、ありがとうございました。
ほら、トウフ!君もお礼を言いなさい!

ト「しにょりなお姉さん!ボクをお話に登場させてくれてありがとぉ!ボク、主役になったみたいでとってもうれしいよ!」
コ「何言ってるんだよ。トウフが主役だったら、この話のタイトルも内容も全部変わっちゃうよ。」
ト「え〜、何てタイトルになるの?」
タ「…そりゃ、”行け!食いしん坊トウフ!”だろ。」
コ「ははははははっ!タクローさん、それいいっすね!で、内容はとにかく街中あちこちでエサをもらうって話っすね!」
タ「当然だろ。で、エンディングは毎回食い過ぎて坂をゴロゴロと転がっていくって話だな。」
ト「……」
コ「ははは!今の物語、ひとかけらもなくなっちゃいますね!」
タ「だって、主役がトウフじゃなぁ…」
ト「……」
コ「…あ、タ、タクローさん、トウフが…」
タ「あ?…あちゃ、ちょっと言い過ぎたか。悪い悪い、冗談だって。」
ト「……冗談…?」
コ「そうだよ、冗談に決まってるだろ。」
ト「…ヤダ!冗談なんてヤダ!」
タ・コ「は?」
ト「ボク、坂をゴロゴロ転がるのは嫌だけど、エサはあちこちでもらいたぁい!!」

ズコーッ!!

ト「ね!お母さん!”行け!食いしん坊トウフ”って話、書いてよぉ!美味しいご飯をもらう話、書いてぇぇ!!」



…書きません!


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 「伝えたい言葉たち」管理人