あうすとらろっぴ って何?

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あうすとらろっぴは、「最もサルに近く、しかし思考を始めたヒトの原始」という意味です。


 アフリカで発掘された、350万年前の類人猿ルーシーを知っていますか?それは、1974年のことで、そ

れまでに確認されていたどの原始人の化石よりもずっと古く、人類の発生の起源がアフリカにあったこ

とを表していました。発見当時ルーシーは、サルから分かれてヒトへの進化の道を歩み始めたことを示す

最古の化石だったのです。この種はアウストラロピテクス、この個体はルーシーと名付けられました。

アウストラロピテクスはホモ・サピエンス(現代人)など「ホモ族」に含まれない、もっと古い種で、二足

歩行は確かながら生活そのものはほとんどサルであったと思われます。


 伝説のSF、『2001年宇宙の旅』を書いたアーサー・C・クラークは、この小説の中で、初めに進化の道

に踏み込んだサルを「月を見る者」と呼びました。サルは月を眺めないのかどうかはわかりませんが、クラ

ークは知性の兆しを「月を眺める」という行動で書き表しました。その後、そのサルは、もてあそんでいた

草食獣の骨を使って「殴る」ことを覚え、それを武器にして縄張り争いを勝ち進み、やがてヒトへのはっ

きりとした道を力強く歩み始めます。それは同時に、世界の覇者への道でした。


 私が「あうすとらろっぴ」と自分に名づけたのは、どこまでも自然に近く感性と直感に優れた「動物」で

ありながら、しかし「知性」を持った、つまり思考できる存在でありたいと考えたからでした。自然を畏れ

自然に抱かれ、そして自然の中で進化を進めていくあうすとらろっぴとして存在し、現代人との架け橋

になる現代のアウストラロピテクスでありたいと考えています。「月を見る者」は、世界の覇者として自分

が何をすればいいのか、わかっていませんでした。クラークはこう書いています。「時間はたっぷりある。

やがて思いつくだろう」と。それから300万年以上のときを経て、私たちは覇者がするべきことを思いつ

いたのでしょうか?やみくもに前に進むことにかまけて、大切なその事を忘れたまま来てしまっていない

でしょうか…?アウストラピテクスのときに戻って、もう一度考えてほしいのです。

――考えること。それこそが、知性と共にアウストラロピテクスの小さな肩に乗せられた、「覇者のするべ

きこと」だと思うのです。