11年07月22日
カーナビの普及と進化



や装着率が圧倒的に高くなっているカーナビゲーションシステム。
カーナビが初めて実用化されたのは、1980年代の話であり、装着されるのもごく一部の
車種(特に高級乗用車)に限られていた。
音声案内機能搭載のカーナビが発売されたり、VICS(Vehicle Information and Communication
System 道路交通情報通信システム)が実用化されたりしたのはさらに数年後のことで、
カーナビの普及が加速したのは1990年代後半になってからである。
地図情報についても、最初はCD-ROMで、エリアごとに入替が必要だったものがDVDに
進化、1枚で全国版の情報が入るようになり、それが21世紀になってからはHDD方式が主流と
なり、現在販売されているほとんどの機種がこのHDD方式である。
20数年のうちに、目覚ましい進化を遂げてきたカーナビだが、価格が手頃になったことも
普及の一因と言えよう。



1980年代、初めて実用化された当時は、カーナビを装着するだけで100万円かかることも
珍しい話ではなかった。現在の価格相場のおよそ10倍にも及び、決して庶民的な金額とは
いえず、なかなか普及には至らなかった。
機能面でも、検索速度が飛躍的に向上するだけでなく、バックモニターとして使うことも
できたり、例えばラジオを含むオーディオなど、それまで別々にあったものがナビに集約
されるなど、使用目的が目的地検索だけに留まらなくなっている。



目的地検索以外で主に使用することが多いのは、バックモニターにHDDミュージックがやはり
多いようだ。
バックモニターについては、カーナビとセット装着となるケースが今は圧倒的に多く、装着
するクルマも非常に多くなっている。当初は、後方をカメラで写すだけだったのが、画面に
ラインなどが入って距離の目安を確認することができたり、場合によっては音声案内も
加わったりしている。



HDDミュージックについては、カーナビがHDD方式になってから出てきた機能だが、1回CDを
挿入してHDDに録り込めば、その次からはHDDで再生できるというもの。
それまではCDプレーヤーもしくはCDチェンジャーでわざわざCDを入替えていたが、その手間が
省けるようになった。現在市販されているほとんどのカーナビでは、3,000曲以上の録音が
可能とのこと。現に自分も、500曲は入っている計算になる。
このHDDミュージックに留まらず、ipodなど、外部機器との接続も可能となっている。
今、カーオーディオもこのHDDが主流になってしまっているからか、CDチェンジャー、MD
プレーヤーなどという言葉をほとんど耳にしなくなってしまった。
また、音楽を聴くだけでなく、DVDの再生もでき、車内で映画鑑賞やライブ鑑賞という
こともできる。 音楽に関しても、臨場感があることから、HDDよりDVD再生を好むこともあるようだ。

VICSについても、ほとんどの機種が今は対応している。
FM文字多重放送の電波を利用して、渋滞や規制情報を画面上に文字や図形などで表示する
ことができるシステムである。
ルート案内中であれなかれ、赤い矢印が出てくれば渋滞を意味するのもその一つである。
また、現在では、オプション設定ではあるが、VICSビーコンユニット(3メディア)の
装着も可能である。
これは、FM文字多重放送だけでなく、道路上に設置されている電波ビーコン、光ビーコン
からも情報が入手できるものであり、より精度の高い情報を入手することが可能となる。
自身のクルマにもビーコンユニットを装着しているが、これは大変重宝している。
渋滞や事故の情報はナビ画面にポップアップ表示されるので、朝や夕方・夜の通勤中でも、
迂回ルートを探ることができたり、ルート案内中の場合は、渋滞や事故情報をキャッチ
→ルートを自動的に再探索もしてくれたりする。
単なる地図表示やルート案内に留まらず、常に変動する道路情報を入手できるように進化
しているのが現在のカーナビなのである。

Bluetoothについても、今となってはほとんどの機種が対応している。
Bluetooth対応オーディオや携帯電話と無線接続ができ、それで音楽を聴くことができたり、
携帯電話の場合は、ハンズフリー通話ができたりもする。



特に、携帯電話を持ちながらの運転が罰則強化された背景もあって、ここ数年でカーナビ、
携帯電話ともにほとんどの機種がこれに対応するものになっている。

このように、カーナビは、昔と違って、何も目的地、ルートを検索する、地図の役割を
することだけに留まっていない。
渋滞や規制・事故などといった情報入手や、内部、外部オーディオ、DVDなどといった
エンターテイメント機器としても利用できるようになっているのである。
10数年前までは、「高いしそこまでは必要ない」という価値観だったのが、価格的に手が
出やすくなったことも手伝ってか、今となっては新車購入の時点で、ユーザー年齢や性別を
問わずほとんど装着されるという状況である。
世に出回り始めてから20数年で、驚くほどの進化を遂げたカーナビだが、この進化は
留まることなく、今後更なる機能拡充が期待される。
道路渋滞の緩和にも寄与していることから、今後、クルマを運行するうえでの必須アイテムに
なっていくことだろう。


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