10年12月12日
クルマを見極めて買うことの重要性



コカー減税、補助金制度が実施されたことが大きく、2009年から2010年にかけては乗用車の
買い替えが目立つ形となり、多くの家庭に新車がやってきた。
減税対象は、ハイブリッドカーなどに限らず、現在ヒットしているコンパクトカーやミニバン
などにも及び、ユーザーの選択肢は本当に多岐にわたった。
多くの人々が「クルマを買う」という行動を取ったわけだが、クルマを買おうとした時点で、
どこまでそのクルマを見たのだろうか。今回はクルマを買う時点での「見極めて買うこと」に
焦点をあてることとする。

クルマを買う時に、展示車を見に、もしくは試乗しにディーラーへ行くことが多いと思うが、
何を見てそのクルマに決めたのだろうか。
性能のすばらしさか、使い勝手のよさか、それとも値引きがよかったことか、判断基準はいろ
いろあると思われる。



1つの車種だけでなく、他メーカーのライバル車種数車種と比較するケースも少なくないだろう。
中には値引き合戦を繰り広げて一番条件が良かったところに決めたとか、下取査定金額が一番
良かったなど、金額によって決まることも多いと思われる。
時間をかけてトコトン見極めるという場合もあれば、あっさり決めてしまうという場合もあり、
これも人によって様々なようだ。
中には、ディーラーへ行くこともなくセールスの来訪だけで購入決定する、フルモデルチェンジ
をするごとに買い替えといったケースも少なくないようだ。
最近では、ハイブリッドカーの普及が進んだが、単に「燃費がいい」というだけで、実車も
見ないで決めてしまうというケースもあったようだ。



2010年2月に、プリウスのリコールで世間は騒がれ、日本国内だけでも20万台という大規模な
リコールに至ったが、対象台数が膨大になった要因のひとつとして、「話題性だけでの購入」が
あるような気もする。

このように、人によってクルマの買い方は当然違ってくるのだが、実際のところ、どのような
傾向にあるのか、TPH公開アンケートを2年ぶりに実施した。
今回のアンケートでは、質問項目を5つ設定した。今回の有効回答数は15件、回答いただいた
皆様に感謝したい。

まず1つ目が、クルマを購入する時に、展示車など実車を確認してから決めるか。

 


結果、大多数がディーラーなどで実車を見るとの回答であった。普段使っている荷物が確実に
積めるか、視認性はどうか、イメージと実際の乖離がないかなど、カタログだけでは得られ
ない情報を求める意見がやはり強かった。クルマなど頻繁に買うものではなく、大金が動くと
いうこともあり、実車を見てから買うのは当然という意見もある。
逆に、カタログだけであっさり決めてしまうのが慣例、実車は街中で走っているのを見て、
ディーラーなどで見るのはもう購入を決めている時だという意見もあった。
それでは、現在乗っているクルマについて、購入前に実車を確認したかというと、最初の質問に
比例する格好となった。

それでは、現在のクルマを購入する際に、他の車種との比較をしたかどうか、これは意見が
分かれた。過半数はほぼ同クラスの他メーカー車との比較をしたうえで購入したとの回答で
あったが、比較はしなかったという意見も、意外と少なくなかった。



これは、最初からターゲットを決めており、他に考えていた車種がなかった、最初は他車種の
カタログ程度は見たが、商談の時点ではすでに絞り込んでいたというものであった。

次に、試乗してから購入したかというと、大多数が試乗してから購入との回答であった。
実際に運転感覚をつかまないことにはわからないという意見が大多数だったが、中には試乗車
まで用意されていなかったというケースもあったようだ。



ここまでを総括して、展示車を見て、試乗してそれから購入を決めるという流れが一般的に多い
傾向が伺えてきたが、実際クルマを手にして、そのクルマに対して満足しているかどうか、アン
ケートの結果、満足しているという回答が圧倒的な結果となった。
楽しさがいっぱい詰まっていること、性能、燃費がとてもよいという意見が主に多かった意見だが、
中には走る・曲がる・止まるが自分の感性と合っているという意見まであった。
不満という回答は、排気量を大きい方にしておくべきだったという後悔の声であった。



一番大切なことは「納得して買うこと」である。クルマを買うということは、100万や200万、車種に
よってはそれ以上、その倍以上にも及ぶ金額が動くということである。
これだけの支出が伴うのだから、やはり後悔しないクルマ選びをするべきであると考える。
他の車種と比較した場合でも、金額の安さがすべてかと言ったら、一概にそうとも言い切れないの
ではないか。実際、比較してみて、値引きが一番よかったところに決まるかと言ったら、全部そう
とも言い切れず、安い条件ではなかったが、実用性はこの方がよかったからこれに決めたという
ケースだって少なくないはずである。



外観を見ただけ、中に入ってみただけではすぐに目に映ってこない要素がクルマにはいろいろあり、
他の車種と比較する場合、小物入れの造りひとつでもいい、試乗してみた感触でもいい、他とのいろ
いろな違いを見い出すことがカギなのだと考える。
ただ、これはクルマを「売る側」にも何か工夫が必要なのではないかと思われる。
不景気でクルマが売れない状況から、一時的なものとはいえ、減税、補助金制度で状況はプラスと
なったわけだが、とにかく1台でも多く売ろうという一心で、クルマという「商品」に対する説明、
他と違ってこんな特徴があるなど、「ユーザーに理解してもらう」といった動きが疎かになっていない
だろうかという疑問も残る。
ノルマを確保するべく、値引きを最大限努力することが、売上計上のためにも最重要なのかもしれ
ないが、売る側にも他車種を含めて、「クルマを見極める」という行動が、今必要なのではないかと
考えるのである。


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