07年8月18日
乗用車買替えによるダウンサイジングについて
ひ
と昔前は、ハイソカーブームなんていったものがあった。今から約20年ほど前は、2,000ccクラスを
主体としたアッパーミドルセダンがとにかくよく売れたものだ。
コンパクトクラス、ミディアムクラスからクルマをグレードアップしていくユーザーが次々と現れた。
そのハイソカーブームは10年近く続いただろうか。それから時代は移り変わり、クルマが実用性重視
からか、RVやミニバンへとブームは移行していき、2リッターオーバーのミニバンが注目されるように
なった。これが今から10年くらい前の話で、今でもミニバン需要は順調なままとなっている。
ところが、あえて大きいクルマから小さいクルマに替える、いわゆるダウンサイジングという
ケースもここ最近では珍しくなくなってきたのである。
下のグラフは、ダウンサイジングを実施した例で、買替え前と後の排気量の比較である。
TPH公開アンケートも実施し、いただいた回答もここに盛り込んだ。
この結果、従来2,000ccオーバーのクルマに乗っていたユーザーが、買い替えにより1,500cc前後の
クルマにしている傾向がうかがえる。ガソリン価格の高騰により維持費の節約を強いられる、全幅や
排気量が拡大化傾向にあり、同じ車種を選択すると必然と一回り大きいクルマになってしまう、主に
団塊世代によるクルマのユーザー高齢化に伴い、今までほど大きいクルマの取り回しがしづらくなる
などといった現実が、ダウンサイジング現象につながっている様子である。
また、経済的に見ても、不景気による収入の減少などからクルマにまわす予算を減らさざるを得ないと
いった切実な理由もあるようだ。クルマの維持費にかかわることでもあり、
ガソリンの高騰がこれに
更に拍車をかけているといっても過言ではないだろう。
このダウンサイジング現象は、現在の日本の景気、経済情勢が動かした現象といえるだろう。
その昔、ハイソカーがとにかく売れまくった20年ほど前はバブルの真っ只中。景気がよかったころで
ある。あっちこっちで200万円オーバーのセダンが飛ぶように売れ、街中でも
当たり前のように見かけた。
今では考えられないことである。そのバブルも崩壊し、世の中のクルマに対する考え方も変わったといえよう。
より合理的な考え方をするようになっているのかもしれない。
実際、ダウンサイジングをしたユーザーの中でも大きく2つに分かれると考えるのである。ひとつは
「本当に大きいサイズが必要なくなった」場合、もうひとつは「仕方なくダウンサイジングをした」
場合である。前者の場合は、クルマの必要性の問題であり、ユーザー高齢化などが当てはまると考える。
後者の場合は、クルマの必要性の問題というよりは、むしろ主に景気に左右された問題であり、様々な
制約の中でクルマの選択を強いられるなどで、景気の変動によっては今後
サイズアップすることも
考えられない話ではない。
結論からすると、あえて小さいクルマに替える、いわゆるダウンサイジング現象は、日本の経済情勢に
左右された現象であると考える。今後の経済、景気の変動によっては、この傾向にも何か変化は現れる
だろうと考えており、この現象が今後もずっと続くかといったら、その確約はないといえよう。
全てのユーザーが大きいクルマが必要なくなったというわけでもなく、賢い選択をしているとも
一概には言えず、経済的な制約の下でクルマの選択肢が限られてしまうということも現実にはあるようだ。