07年2月10日
安全技術の進化への警鐘



アバッグは今や運転席、助手席への標準装着率は100%に近く、ABSも同様、装着していない
クルマのほうが今となっては珍しくなりつつある。横滑り防止や、発信する時の空転防止
なども採用されているクルマまであるくらいだ。
このように、ハイテクを駆使した安全技術、安全装備が盛込まれているわけだが、自分と
してはこれが必ずしも良いことかといったら違うように思える。

   


懸念することは、クルマを運転する人自身の「運転技術」である。ハイテク装備に頼り、
人間のドライビングテクニックというものが退化しないか、そこが不安なのである。

安全技術の進化ついて、ユーザーはどのような認識を持っているのか、TPHでは公開アン
ケートを実施。5つの質問に対し、以下のようなグラフにまとまった。
ひとつは、ABS、エアバッグ、トラクションコントロール(空転防止)、横滑り防止の中で、
もっとも必要性の高い装備はどれかである。結果、半分以上がABSという回答であった。
何かあったらひたすらブレーキを踏む、いかに短距離で止まれるかなど、とにかく止まる
ことが最優先だと考えるドライバーが多いことが伺える。
2つ目は、エアバッグについて。現在運転席と助手席への装着は当たり前となっており、
車種によっては車両側面にも装着されているが、側面や後席への装着の必要性について、
アンケートをした結果、オプションでも設定はするべきとの意見が最も多かった。

 


運転席、助手席以外への装着についてはあくまでも任意と考える人が多いようだ。
運転席以外では、自分で装着したいところを選べるようにすればよいなどいった意見も
あるが、エアバッグを装着した分全幅が広くなるなどといった懸念もあった。
また、欧州車と比較し、国産車の安全性への意識を問う声もある。

   


続いて、車間距離が縮まったら自動的にブレーキがかかる、車間距離を維持するなどと
いった装備(レーダークルーズコントロールなど)や、車線逸脱警報、自動車庫入れシス
テムの必要性についてだが、いずれも「必要ない」との意見が半分以上を占めていた。

 

 


車間距離維持システムについては、賛否両論なところもあり、長距離運転での疲労軽減や、
追突事故による渋滞を防止するなどといった意見もあったが、車間距離を自分でつかむこと
こそ運転技術といえる、疲労軽減にはいいかもしれないが休憩をしっかり取るべきだとの
意見も少なくない。車線逸脱警報についても同様に休憩を取るべき、感覚をつかむことこそ
運転技術との意見が強かった。

 


最後に、自動車庫入れシステムについて。こちらは必要ないとの意見で大多数を占めた。
やはりシステムに頼ることなく自分で感覚をつかむことが重要と考える意見が多い。
逆に車庫入れ前にシステムをセットするのに時間がかかり、通行の妨げにならないかとの
意見もある。自分で乗っているクルマに装備されているが、使ったことがないとの意見まで出た。



これらの結果からわかったことは、全てシステムに頼りきった運転をしてはいけないと
いうこと。ハイテクを駆使した進化は確かにすばらしいとは思う。時には使える便利な
装備なのかとも思える。但し、こういった技術が進化することにより、クルマそのものの
安全性、利便性は向上しても、運転する人の運転技術が退化しないか、そこが懸念されるのである。

クルマは生命を乗せているものであり、もしもという時に、運転をサポートする、乗員を
保護するといった観点から見れば、安全技術の進化については否定しないが、運転感覚に
何らかの影響を及ぼすような装備はいかがなものかと考える。
いくらハイテク装備が充実したとはいえ、運転するのは人間であることに変わりはない。
自分で車間距離や幅の感覚をつかみ、安全運転を意識することこそ、本当の運転技術なのである。
ハイテク装備に頼りすぎた運転は決してしてはならない、それを肝に銘じて運転することを、
こういった時代だからこそ重要視しなければならないのである。
極端な話、将来的には運転技術がなくても運転できるような社会にならないか、そうなっては
ダメだと今から警鐘を鳴らしておくべきだと考えるのである。



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