05年6月11日新規投稿、06年3月20日一部改訂
自動車販売店の「取扱車種」の在り方について考える
何
もクルマに限った話ではないが、我々は商品を「メーカーや工場から直接買う」という
ことはまずしていない。家電製品は量販電気店だったり、飲食料はスーパーやコンビニ
だったり、着るものはデパートや紳士服店だったりと、必ず小売店を通して
購入している。
クルマの場合は自分の家から最も近いその自動車メーカーの代理店、販売店
(ディーラー)
から買うのが一般的だと思うが、ここではその販売店の「取扱車種」につい
て考察する。
一概に販売店といっても、細かく見るとこれがけっこう複雑。
例えばトヨタだとトヨタ店、トヨペット店、ネッツ店、カローラ店、日産だとブルーステージ
とレッドステージ、ホンダでもクリオ店、ベルノ店、プリモ店といった具合
に系列が分かれて
いるのである。
そこでややこしいのが、各系列店によって取扱車種が異なってくることである。
特にトヨタの場合は系列店が現在のところ4系列あり、その系列ごとにまるっきり違っている
ので非常にややこしい。例えばクラウンはトヨタ店、マークXはトヨペット店、ヴィッツは
ネッツ店、カローラは名前の通りカローラ店といった具合である。
日産はというと、従来はレッドステージ、ブルーステージで取扱車種が違っていたが、
ここで「日産なら何でも買えます」と両ステージとも日産全車を取扱うことになった。
ホンダでも一部車種は取扱いが異なっていたが、06年3月からこれを統一し、ホンダ全車種を
全ディーラーで取扱う体制となった。
マツダも10年くらい前はアンフィニやユーノスなど、違いを分けていたが、今ではほとんど
全車種取扱となった。
何故取扱車種を分ける必要があるのかというと、高級車中心、若者向けのコンパクトカー
中心というふうにディーラーの特色を出すとかいろいろな理由があるだろうが、買う側、
ユーザーに言わせてみればこれは単なる売る側の都合にすぎない、関係ない話なのである。
例えば「クラウンが欲しい。家のすぐ近くにトヨタの販売店はあるけどクラウンは扱ってない。
クラウンを買うには5キロも離れた販売店でないと買えない。同じトヨタなんだからトヨタ
だったら何でも買えるようにすればいいのに。」というふうに思った人が世の中多くいる
はずである。ユーザーの買いやすさを考えても、トヨタならトヨタ全車取扱にすることが
やはり望ましいのである。
日産、ホンダがここで全車取扱になったが、いろいろな声があるようだ。ユーザーが混乱しな
くて済む、当たり前のことといった声もあるようだが、その反面販売する側は、車種が
多すぎる、商品知識を身につけるだけでも一苦労といったこともあるようだ。
確かに今は昔に比べて車種、バリエーションの数が非常に多い。「多くのバリエーション
からお客様にあったクルマを」ということなのだろうが、これが必ずしも良いかといったら
そうとも言えない。
バリエーションが多すぎても、結局はユーザー、セールス両方とも混乱を起こすだけなのである。
今思うことは、まず多くて混乱している車種を整理したうえで、トヨタならトヨタ全車種を
買えるような体制を作るべきなのである。
そうすればまずユーザーはスムーズにクルマを買えると思うし、クルマを売る側でも同じ
メーカーのクルマを扱うディーラー間で同じ土俵にたてるので、競争意識が今以上に
できると思う。全車種取扱いにできない事情はいろいろあるのかもしれないが、やはり
ユーザーにとっての「買いやすさ」を無視してはならないと思う。