No.301

運動靴と赤い金魚

2001.4.21掲載

幼い兄と妹の兄妹愛が感じられる作品。
主人公の少年アリは、妹ザーラの修理
を終えたばかりの靴をうっかり失くして
しまうことから、物語は始まる。
兄妹は両親と4人暮らしだが、貧しい生
活のため、ふたりはそのことを親に言え
ないまま、兄アリの運動靴を代わりばん
こに履いて学校に通うようになる。とは
言っても、そこは子供の考えることで、そ
こが観ていて微笑ましい。

その後、妹ザーラの失くした靴を偶然見
かけて後をつけて行ったてみたりと、こ
のふたりの靴に対する思いがひしひしと
伝わってくる。大事なザーラの靴!それ
もそうだろう。何しろ、兄妹で1足の靴を
共有しているのだから。
今の日本では考えられない事なだけに、
豊かな生活を送っている私たちが失って
しまった大切なことを思い出させてくれる。
そして、また彼等は子供心に、日々の生
活の為に必死に働いている親に対する
遠慮とか、人の痛みも分かっているのだ。
その、何といたいけでいじらしいこと。あ
まりにもかわい過ぎて泣けてくる。

そして、物語の終盤、兄アリは小学生の
マラソン大会の賞品の3等が運動靴だと
いうことを知り、妹の為に、3等になって
運動靴を手にするためにマラソン大会
の選手になって走るのだった。

私はこの作品を見て、とにかく胸の中に
温かいものがぱぁーっと広がった。兄弟
のいない一人っ子の私には、これが兄
妹愛というものなのかな、と少し羨ましく
なった。なかなか自分の思うとおりには
事は運ばないけど、貧しい中にも彼等な
りに知恵を絞って、たくましく生きてゆく、
純粋な子供の心を描いた素晴らしい作
品です。





                      (ま)

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