No.203

君について行こう

向井万起男

2001.4.9掲載

日本人の女性として初めて宇宙飛行士として
宇宙へ飛び立った、向井千秋さんの夫である
向井万起男さんによって、千秋さんや他の宇
宙飛行士の方々の素顔と、その訓練や打ち
上げまでの様子、NASAのことなどが大変分
かりやすく、またユーモアたっぷりに書かれて
ある本。

万起男さんといえば、あのシャイで有名な方
で、千秋さんが帰国された時も歓迎でもみくち
ゃにされている千秋さんを、こっそりと少し離
れた陰から見守っていた姿がなんとも微笑ま
しい方で、この本の中でもそのお茶目な印象
は少しも変わらなかった。

NASAだの宇宙飛行だのなんて、私が死ぬ
までに何の縁もゆかりもない遠いところにあ
る話だし、難しそうな取っつきにくそうな感じ
がするけど、それがなんのなんの。万起男
さんのおかげで、「ふうん、そうなのか、そう
なのか」とどんどん引き込まれていった。

中でも印象的だったのはNASAが宇宙飛行
士の家族を支援する「家族支援プログラム」
なるものがあるということだった。それはー命
をかけた任務につく宇宙飛行士に代わって、
打ち上げ数日前から地球帰還までの間、家
族の面倒はNASAが充分見ましょう。そのか
わり、宇宙飛行士は任務の遂行に全力を傾
けてくれー
ということなのだそうだ。そして、そ
の中でも特にNASAが特別に重要視してい
るのが乗組員の配偶者なのだそうだ。その
配偶者と子供は「直系家族」と定義され、NA
SAから特別な扱いを受ける。それが、血の
つながりのない配偶者であって血のつながり
のある両親でないことに、万起男さんだけで
なく、私も驚いた。そして、感動した。やっぱり
アメリカだ、と思った。いかにもアメリカらしい。

そんな、いろんな世界を私に見せてくれた本
です。元気になれます。そして、あっけらかん
と当たり前のように夢に突き進んでゆく千秋
さんと、少しおろおろしながらも、そんな千秋
さんをさりげなく支えていらっしゃる万起男さ
ん、このおふたりがまたほんとうに素敵なご
夫婦です。


                         (ま)

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